憲法をくらしと職場にいかし、多くの市民と力をあわせて脱原発、国民のくらしをまもるたたかいをひろげ、組織を前進させましょう
愛労連議長 榑松佐一
7月21日投票で参院選が行われました。自民党は改選議席121の過半数65議席を占めましたが比例区の得票投票率は34.7%にしか過ぎません。定数1の選挙区が31県もあり、ここで国民の期待を裏切った民主党が一人負けした結果です。民主党は議席を激減させ、総選挙で「第三極」と持ち上げられた維新・みんなも低迷しました。とりわけ維新の会はわずか半年で支持を半減させています。そのなかで日本共産党が3から8へ議席を倍増させました。景気回復に期待する国民が自民党に一定の期待をよせる一方で、「円安で、自動車産業は恩恵を受けているように見えるが、下請け企業に広がっていないという声や、円安による原材料の高騰で中小企業の収益性は悪化する傾向」(NHK,7/20)であり、安倍政権への批判の受け皿として共産党への支持が広がっています。
選挙後、安倍内閣はTPP交渉に参加しましたが最初に結んだのが「秘密協定」であり交渉の内容は国民にはまったくわかりません。多国籍企業が「世界一儲けやすい国」にするため法人税を減税するいっぽうで「限定正社員」など労働法制の規制緩和も企てられ、愛知がその特区候補になっています。参院選挙では「長時間労働や過剰なノルマで社員を酷使したり、大量採用後に社員を選別して退職に追い込む」(朝日「声」)ブラック企業対策も争点になりました。また秘密保全法の国会上程を決めるなど安倍政権は改憲・右傾化の動きをいっそう強めています。13春闘で私達は「もっとも阻止しなければならないのは賃上げ無きインフレだ」と訴えてきましたが、麻生大臣は消費税の引き上げを予定通り実施すると明言しました。公務員賃金の引き下げ、公務員攻撃を繰り返す勢力も引き続き動きを強めています。賃金は上がらず物価ばかりが上がり、生活保護費と年金引き下げなど社会保障の改悪では国民のくらしも景気もよくなるはずがありません。政治と国民の願いとの「ねじれ」はますます大きくなっています。
このようななか、労働組合の役割はたいへん重要になっています。しかし、労使一体路線の大企業労組を中心とする「連合」は賃上げに役割を果たせず、公務員賃金・退職手当削減に手を貸してきました。参院選では電機連合、電力総連など原発を推進する労働組合の組織内議員の応援ばかりで、組合員からも国民からも信用を失ってきています。この間、愛労連は職場から地域にでて県民のくらしをまもる運動を大きく展開してきました。中小企業アンケートではトヨタによる下請単価引き下げを告発してきました。民間部会による中立組合訪問や地域労連の公開講座では愛労連への大きな期待が寄せられてきています。この間公務員定数削減と民営化・民間委託の拡大で組織の減少を余儀なくされてきましたが、このような取り組みのなか、組織強化拡大三カ年計画の初年度の今年、約12年ぶりの増勢に転じることができました。各組合のみなさんのご奮闘に感謝いたします。今年は三カ年計画の2年目の年、愛労連に寄せられる県民の期待にこたえ、憲法をくらしと職場にいかし、多くの市民と力をあわせて脱原発、国民のくらしをまもるたたかいをひろげ、組織の前進をかならず実現させましょう。