【談話】愛知地方最低賃金審議会労働者代表委員の度重なる任期途中辞任と任命権者・推薦労組の社会的責任放棄に抗議する

1.愛知労働局長は4月24日、第49期愛知地方最低賃金審議会補欠委員の推薦に関する公示を行った。昨年4月に任命された労働者代表委員5名のうち3名の辞任によるものとしている。

 最低賃金法第23条は「委員の任期は、二年とする」と明記している。審議会は言うまでもなく、税金で運営される公的機関であり、最低賃金の改定額を審議する極めて重要な機関である。急な体調悪化など、いかんともしがたい事情による途中辞任ならばならやむを得ないが、3人が揃って辞任する事態は愛知労働局長の任命責任、そして委員を推薦した労組(連合愛知および関係労組)にも同様の責任があると言わざるを得ない。

2.途中辞任は今回だけでなく、この3期だけでも9人もの委員が任期を全うしていない。

・2019年(令和元年)4月任命の5名中、4名が1年未満で辞任
・2021年(令和3年)4月任命の5名中、1名が1カ月で辞任
・2021年(令和3年)4月任命の5名中、1名が1年未満で辞任
・2023年(令和5年)4月任命の5名中、3名が1年未満で辞任(今回)

 愛労連は、これまで途中辞任が発生する度に愛知労働局長に対して、①どのような基準で任命したのか、2年の任期を全うできるのかを確認したか、②途中辞任は無責任ではないか、③辞任の理由は何なのかを明らかにすることを求めてきたが、明確な回答はない。回答がないこと自体、労働局長が2年の任期をまっとうすることを軽視していることの現れではないか。

 また、労働者代表委員の中には、昨年12月に愛知県知事から県労働委員会労働者委員に重複任命された委員が2名いるが、辞任した委員にこの2名がいるとすれば、最低賃金審議や労働委員会の任務に対する認識があまりにも甘いと言わざるを得ない。最低賃金審議会委員であることを承知の上で県労働委員会労働者委員を兼務させ、結果として最低賃金審議会委員の辞任を招いた県知事の責任と内諾書に署名した両名の責任は重大である。

3.1人当たりの実質賃金が24カ月連続で前年を下回り、過去最長を更新した。春闘で大企業を中心に賃上げが進んだが、中小企業や非正規労働者は置いてきぼりとなっている。愛知県内には134万人を超える非正規労働者(36.4%)が働いており、自らの時間給に直結する最低賃金の改定審議を注目している。

 愛労連は、今回の補欠委員の推薦公示を受け、3名の労働者を関係労働組合とともに推薦した。歴史的な物価高騰のもとで、多くの非正規労働者が苦境に立たされている。最低賃金改定の影響を直接受ける当事者である非正規労働者が1人も審議会にいないのは極めて異常であり、非正規労働者を任命すべきである。また、現在15名(公労使各5名)の委員のうち、女性委員は4割にとどまっており、今回の補充においてジェンダー平等の観点からも女性を3名に増やすべきである。さらに、愛知県の就業状況(労働力調査地方集計結果2023年平均)によれば、産業別就業者数で「医療・福祉」は「製造業」「卸売業、小売業」に次ぐ規模であり、この5年間でもっとも増加している分野であり、「医療・福祉」分野からの選任は欠かせない。愛知労働局長がこうした点をしっかりとふまえて任命することを強く求める。

 愛労連は、まもなく始まる最低賃金審議において、物価高騰に苦しむ労働者に寄りそい、最低賃金の大幅引上げを実現するために全力をあげるものである。

2024年5月16日

愛知県労働組合総連合(愛労連)
事務局長 竹内 創

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