愛労連2022年度たたかいの成果と教訓、情勢の特徴と2023年度運動方針

愛労連第66回定期大会(2022年7月24日/ウィルあいち大会議室)
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■付属文書① 愛労連2022年度とりくみの経過とまとめ 
■付属文書② 愛労連2022年度活動日誌(2021年7月18日~2022年7月23日)

第一章 2022年度たたかいの成果と教訓・課題について

Ⅰ 1年のたたかいを成果を中心に振り返る

1.コロナ禍からいのちと暮らしを守るたたかいに全力
 この1年のたたかいは、長引くコロナ禍が3年目に入り、いまだ収束は見通せず雇用も暮らしも経済も厳しい状況が続く中でのたたかいでした。こうしたもとで愛労連は、第64回定期大会で1年のたたかいの柱となる要求を「いのちをまもる、医療・公衆衛生体制と公務・公共体制をつくる」「大幅賃上げ、非正規・ジェンダー差別解消、均等待遇実現でコロナ禍を乗り越える」「雇用を守り、貧困と格差の是正、労働時間短縮で人間らしく働けるルールを確立する」「総選挙で政治を転換し、憲法が活かされる社会をつくる」としました。またこの4つの要求を実現していく基調として、「要求の見える化で組合員参加の運動」「格差の見える化で当事者が声を上げる運動」「労働組合の見える化で仲間を増やして要求を実現する」「総選挙で政治を変えて要求を実現できる政治に転換する」ことを4つのアプローチとして提起し運動の具体化を図ってきました。
 菅政権の後手後手、無為無策のコロナ対策や五輪の強行開催は、深刻な感染拡大を招く危険があるのと同時に、医療や公衆衛生の現場をいっそうひっ迫させようとしていたもとで、職場・地域から現場の実態を可視化して、いのちまもる政治・政策に転換させることをめざして、「いのちまもる緊急行動」にとりくみました。とりくみでは、行政に対して小学校休業等対応助成金や看護休暇に関わる要請を愛労連と関係6単産(医労連・建交労・自治労連・福保労・愛高教・愛教労)で実施し、職場の実態をとりわけ子どもや保護者の立場から記者会見で可視化し、菅首相への手紙、VOICE、立憲野党に対する要請、スタンディングやTwitterデモ、全国120カ所・県内8カ所で実施した全国一斉蜂起0905など多彩な行動を展開しました。
 また、全国規模でとりくんでいる「コロナ災害を乗り越えるなんでも電話相談会」は、2021年8月から2022年6月までに6回実施し、これまでに14回のとりくみを重ね、883件の相談に応じてきました。
 こうしたとりくみは、たびたびテレビや新聞に報道され、実態を告発するとともに政府の不十分なコロナ対応を浮き彫りにし、総選挙を直前に控えた9月に「このままでは選挙に勝てない」と菅首相を退陣へと追い込みました。さらに小学校休業等対応助成金の個人申請復活や休業助成金をはじめ各種支援制度の延長も実現してきました。

2.最低賃金・公契約条例・ケア労働者の賃上げなど社会的な賃金闘争で前進
(1)生活改善には足りないが過去最高の最低賃金引上げ
 長引くコロナ禍と急激な物価高騰のもとで、最低賃金の引上げはあたりまえという世論をつくりあげてきました。四半世紀にわたって日本の賃金は上がらず、実質賃金が下がり続けていることを宣伝やSNSなども駆使して可視化してきました。2021年の改定では非正規労働者の生活改善には程遠いですが、過去最高の28円引上げを実現しました。
 愛知最低賃金審議会に対するとりくみでは、中央最低賃金審議会の示した28円の目安について、愛労連と5組合が最低賃金1500円を展望した引上げと「意見陳述」を求める「意見書」を提出し、署名は1万0464筆を提出しました。
 審議会では、中山会長が「意見陳述の実施について意見を聞きたい」と労働者代表委員と使用者代表委員に意見を求め、労働者委員から「意見書は事前に読ませてもらった。前回の本審で私ども2人から同様の発言をし、有期・パート労働者の思いを受け止めて望んだ。意見書を受け止めて審議に臨みたい」と発言。使用者代表からは「事前に意見書を事務局からいただき読ませてもらった。意見書の内容を受け止めて審議したい」と発言され、いずれも「意見陳述について必要ない」とは述べられず、昨年まで「意見陳述の必要ない」と発言していた状況からは大きく変化しました。しかし、中山会長が「意見陳述は必要ない。意見書の主旨をふまえて審議するということでよろしいですね」と仕切り、1人の公益委員が「愛労連の資料をみると全国28府県で意見陳述が行われている。今後は、意見陳述ができるような雰囲気を醸成するよう期待したい」と発言。2021年度の意見陳述は実現しませんが、これまでの愛労連・単産・地域の運動を反映した確実な変化を見た審議会となりました。
 全国一律最低賃金制度めざす運動では、2月6日に全労連が提起するローカルビッグアクションに呼応し、県内の国会議員要請を実施しました。2020年2月から4回目の訪問となり、真摯に対応してくれる事務所が増えてきています。今回の訪問では、自民党の神田憲次衆議院議員、伊藤忠彦衆議院議員、立憲民主党の吉田統彦衆議院、牧義夫衆議院議員、共産党の武田良介参議院議員が直接応対され全国一律制の必要性について率直な懇談ができました。紹介議員は、自民党が4人(委員会の役職者のため2人が今回は辞退)、立憲民主党が4人、共産党が3人で11人となり、全国では衆参110人となりました。署名提出の際にも、自民党の神田憲次衆議院議員、中川貴元衆議院議員、立憲民主党の吉田統彦衆議院議員、重徳和彦衆議院議員が直接受けとってくれ、継続的に訪問を積み重ねていることが信頼関係を築いています。
 国に対する意見書採択運動では、春の自治体キャラバンで議会に対する陳情項目に加え、6月議会で新たに扶桑町が採択しました。

(2)県内でひろがる公契約条例制定
 公契約条例は、地方公共団体などが発注する公共工事や委託事業に従事する労働者の適正な労働環境及び事業者の健全な経営環境を確保するとともに、サービスの質を向上させることによって地域経済の健全な発展と市民の福祉の増進に寄与するものです。毎年、春の自治体キャラバンで条例の制定を要望してきました。条例化を行った自治体は2022年3月末までに全国では76自治体で、県内では17自治体と急速にひろがり始めています。今回のキャラバンでも6自治体が条例化に向けた検討段階に入っていると回答しており、毎年、継続的に要請するとともに県内の進捗状況を各自治体に示してきたことが成果に結びついています。
 公契約条例には、業務に直接・間接に従事する労働者の賃金下限額の遵守を委託契約の条件として受託事業者に対して義務付ける賃金条項型とこれを定めない理念型があります。全国では76自治体中26自治体が賃金条項型の条例を定め、県内では豊橋市と豊川市で、両市担当者からの聞き取りでは、労働条件の向上にとどまらず、担い手の確保や育成、経営の安定、良質な工事や事業にも寄与していると報告されています。賃金の下限条項を定めていない自治体を含め、契約事業に関わる賃金や労働条件の実態把握は18自治体で行われています。愛知県との懇談では、対象となる工事請負契約(予定価格6億円以上)では、労働環境報告書とともに賃金単価および報酬単価の報告を義務づけており、概ね国が定める設計労務単価の8割程度が支払われていることがわかりました。
 また、愛知県公契約条例に基づくとりくみを効果的かつ円滑に行うために、関係団体や有識者が協議する「愛知県公契約に関する協議の場」では、労働関係法令が遵守されているかの検証について「実効性が無ければ、賃金条項の議論につなげていかなければならない」と発言されるなど、私たちの運動が実効性のある条例となるよう後押ししています。
 国に対する意見書採択運動では、春の自治体キャラバンで議会に対する陳情項目に加え、6月議会で新たに扶桑町が採択しました。

(3)ケア労働者の賃上げで春闘をけん引
 四半世紀に渡って賃金が上がらず、長引く新型コロナの最前線で国民のいのちと生活を守るために奮闘しているケア労働者の賃金が全産業平均と比べても6万~8万円も低いことを可視化して、政府にケア労働者の賃上げ制度をつくらせました。看護師に月4000円、介護士や保育士などに月9000円の賃上げは、現状からすると一桁足りない、対象が限られているなどの課題はありましたが、2022国民春闘で職場でのたたかいと結合させることで多くの職場でベースアップや手当として賃上げを獲得しました。
 全労連・国民春闘共闘による集計では、ケア労働者に関わる回答が386組合からあり、交渉単位891組合に対する回答率は43.3%でした。この間、ベアを獲得できていなかった医療・介護・福祉職場で43%とは言え、8000円を超えるベアを勝ち取ったことは歴史的な成果です。建交労学童保育支部では3万円のベアを実現、生協労連コープあいち労組では、すべての福祉職員への賃上げを要求し、制度対象外の職員も含めた6000円のベアを勝ちとりました。医労連では、看護で平均3500円、介護で平均5400円の賃上げを実現しました。社会的な賃金闘争と職場での運動を結合させ、さらに地方と産別が一体となった運動がその効果を生み出したました。
 しかし、賃上げの対象となった公立の保育、幼児教育、社会的養護の施設などでは、ほとんどの自治体で賃上げが実施されなかったことをはじめ、民間の事業所でも看護では対象が極めて限定的だったこと、介護や保育でも10月以降の制度の不透明さなどから申請がためらわれたこと、学童保育では申請していない自治体が3割以上もあること、申請期間が短かったことなど、結果として一部のケア労働者の賃上げにしか結びついていません。
 政府は、10月以降の施策について、診療報酬・介護報酬・公定価格の改定、地方交付税措置による人件費財源の改善によって対応すると一般会計で予算計上しています。公立保育園をはじめ、対象であるにも関わらず賃上げが実施されなかった事業所での実施とともに、「一桁足りない」「対象が限定的」などの課題を克服するため、さらなるとりくみの強化が必要です。

3.賃上げの追い風を巻きおこした
四半世紀にわたってまともな賃上げが行われず、実質賃金が先進国では日本だけ下落する異常な事態を可視化することを重視してきました。今春闘においても財界やマスコミは、コロナ禍や原油高・原材料高を強調しましたが、資本金10億円以上の大企業約5800社にため込まれた466兆円もの内部留保の一部でも還元すれば、大幅賃上げが可能であることを明らかにしてきました。
 こうした事実がテレビや新聞でも取り上げられるなかでアベノミクスの失敗と新自由主義の行き詰まりが明らかとなり、岸田首相はケア労働者の賃上げとともに財界に対しても3%の賃上げを要請しました。財界の総本山である経団連の十倉会長も取材や会見で「株主だけでなく(中略)従業員は最も大切なステークホルダーで、成果を還元するのは当たり前ではないか」「業績を維持、もうかっている企業は積極的に社会、従業員に還元すべきだ」と言及するなど、賃上げに対する追い風を起こしてきました。
 こうした情勢を切り拓いてきたのは、困窮する労働者・国民の実態を現場から可視化し、一方で大企業がコロナ禍においても空前の利益をあげて内部留保をため込んでいることの異常さを問うてきた私たちの運動です。このことをしっかり確信にし、来春闘に向けて物価高騰を乗り越える賃上げの風を秋のたたかいから巻きおこしていく必要があります。

4.愛労連運動への信頼と期待の高まり
 2年半近くになる未曾有のコロナショックによる景気後退の深刻化、感染拡大を防止するための様々な「自粛」によって、あらゆるたたかいが困難に直面しました。
 しかし、コロナ禍での労働者・国民のいのちと暮らし、権利を守るとりくみでは、常設の労働相談やコロナなんでも電話相談、ハローワーク前アンケート、行政への要請などで機敏に行動を起こし、最賃闘争でもコロナ禍だからこそ引上げることの必要性を訴えて積極的に街頭に出て活動しました。「自粛はしても萎縮はしない」と積み重ねたとりくみは、テレビでも新聞でも何度となく、毎週のように愛労連のとりくみが報道され、労働者・県民からの信頼を高めてきました。
 また、福保労と医労連とともにとりくんでいる介護・福祉職場の「なくせワンオペプロジェクト」や福保労や自治労連の保育現場の仲間たちが保護者や経営者とともにすすめている「子どもたちにもう1人保育士を!実行委員会」のとりくみなど当事者が現場から声を上げる運動が共感をひろげています。

Ⅱ いのちと暮らしを守り、賃金引上げを柱としたたたかいの到達点
1.コロナ禍とのたたかいで職場や地域の声と行動が国を動かしてきた
 コロナ禍の2年間の国民春闘で、4つの教訓を得ました。
 一つは、コロナ禍とのたたかいです。「ひとりの仕方ないからみんなで変える」「自粛はしても萎縮しない」をスローガンに諦めないたたかいを展開してきました。2020年秋季年末闘争で労働者の声を集める「VOICE!」(全国で5000人超)や「変えるリーフ」(愛知で約6万枚超)の配布などのとりくみは、コロナ禍で困難に直面する労働者に寄り添い、労働組合を知らせ、当事者の声で職場・地域から変えるとりくみを展開しました。
 2021国民春闘方針では、「公正な社会へ転換せまる『4つのつくる行動』と『3つのアプローチ』」を練り上げ、医療・公衆衛生体制の抜本的な拡充を政府や自治体に求めてきました。コロナ禍から雇用とくらしを守るため、労働局や愛知県、名古屋市に繰り返し要望を行い、休業支援金や小学校休業等対応助成金の個人申請に道を開き、制度周知についても反映させてきました。職場地域では、「新いのち署名」(全国で65万人分集約)などが、コロナ感染拡大の悪条件のなかでもすすめられ、紹介・賛同議員110人(内愛知11人)を通じて国会へ提出されるなど新たな到達を切り拓いてきました。
 2021年の夏には、全労連が提起した「いのちまもる緊急行動」にとりくみ、「菅首相への手紙ーコロナ禍私が経験したこと」は、全国で1万通を超える手紙が寄せられ首相に届けられました。9月5日には全国120カ所(愛知8カ所)で、いのちを軽んじる国・自治体の政策を変えさせるため、「医療・介護・保健所を本気で充実させる全国一斉蜂起0905」にとりくみ、総選挙を直前に控えた9月には「このままでは選挙に勝てない」と菅首相を退陣へと追い込みました。集められた声は、SNS、Twitterなどを通じて広く拡散され、Twitterデモなども広く行われるようになりました。
 2022年3月に総務省は、公立病院の統廃合ありきの方針を軌道修正し、新たな地域医療計画策定に入らざるを得ない状況をつくり出しました。

2.急激な物価高騰に生計費原則に基づく要求とたたかいで奮闘
(1)賃上げの必要性を社会的世論に
 二つ目には、日本の異常な低賃金実態を可視化するとともに生計費原則に基づく職場と地域からの要求闘争が、賃上げの必要性を社会的な世論に押し上げました。一方で、原油と原材料高、ウクライナへの侵略戦争と円安による急激な物価高騰が労働者とその家族の生活を直撃したのも今春闘の特徴です。
 岸田政権は、法人税減税による賃上げ施策を打ち出しましたが、大企業では賃上げの動機につながったとしても、中小企業・零細企業での賃上げにはつながっていません。生活をまもるために、労働組合がさらに声を上げて、大幅な賃金引上げを勝ち取っていくことが必要です。

(2)春闘や一時金闘争での奮闘
 全国一般ナトコ支部では、1次回答で800円のベア回答でしたが、先進国で日本だけ賃金が上がっていない実態を職場にも見えるようにして2次回答で400円を上積みし、1200円(定昇込み7230円)のベアを引き出しました。港湾で働く労働者の全国産業別労組である全国港湾はストを配置して粘り強いたたかいを展開。傘下の検数労連(日検労)は10回を超える団交を持ち、昨年比プラス808円の平均4472円(内ベア1982円)を引き出しました。
 公務員賃金闘争では、人事院が2021年勧告で給料表は較差が極めて小さく(民間給与を19円上回る。)改定見送り、一時金は民間の支給割合4.32月との均衡を図るため12月期に0.15月引下げとしました。国でも地方でも、職員は新型コロナ対応で奮闘しており、この誇りを踏みにじるものでした。これに対し、公務単産は一時金引下げに反対する姿勢を堅持し、交渉・集会・署名など多彩にたたかい、勧告に基づく国家公務員の「給与法」改定が、政治的な国会日程により期末手当基準日(12月1日)に間に合わない史上初の事態となりました。11月議会で条例改定した名古屋以外の自治体では、労働組合から「国に先んじての改定を行うな」の申し入れを行い、条例改定後送りの流れをつくりました。春闘期にも一時金引き下げに反対のとりくみをすすめましたが、最終的には、すべての自治体で勧告どおり22年度分の0.15月の減額と昨年12月分の0.15月遡及減額を余儀なくされました。12月期末手当”相当”額を6月で調整する取り扱いは、年度末退職者等との均衡を欠くとともに、不利益遡及であり極めて不当なものです。
 医労連では、国に準じた一時金削減をはね返しています。医労連の全JCHO中京支部は当局の国に準じた一時金カット提案に対して、コロナ対応の尽力を考慮して一時金下げるなの署名を集め全国の支部から2816筆提出(内507筆は中京支部)。コロナ補助金等も含めて527億円の黒字があり、2021年度分の一時金0.15か月は遡及減額をはね返しました。全医労では、もともと一時金が国基準に対して低い状況にありましたが、今回の削減をはね返すとともに、2022年2月に臨時特別一時金(常勤5万円・非常勤4万円)、22春闘では、臨時特別一時金(常勤1万5000円・非常勤1万2000円)などを勝ち取りました。国共病組東海支部・名城支部も50億円余の黒字があるにも関わらず、連合本部が国に準じた一時金カット提案を取り下げず交渉を打ち切ったことから、10年ぶりのストライキに突入。削減を撤回させることはできませんでしたが、元気よくたたかいぬくことで、怒りを共有し次のたたかいへの確信をひろげています。
 東三河労連に加盟する化学一般・東海大王製紙パッケージ労組は、前年よりも利益があがっているにもかかわらず昨年の妥結額4100円を下回る回答に対して業務中の腕章着用と残業拒否でたたかいぬき前年同額を確保しました。
 急激な原材料高のもとで、印刷業界は厳しい状況に追い込まれています。インクも紙代も急騰するもとで、中小零細企業はこれを価格転嫁できず業績が悪化。全印総連東海共同印刷労組は、夏季一時金回答で一律5万円のみの回答しか引き出せませんでした。あらゆる物価が高騰するもとで、企業内ではどうすることもできない実態もあり、下請二法の遵守とともに国による事業者への物価高騰対策を求めていく必要があります。

(3)非正規差別NGのとりくみ
 非正規雇用労働者の均等・均衡待遇を実現するとりくみでは、医労連の南医療生協労組と北医療生協労組が全員の一時金を獲得しました。福保労の社会館分会は正規と同内容の忌引き休暇、男性の出産サポート休暇を獲得、池内福祉会では正規・非正規ともに60歳以降の再雇用時の労働条件を同じにさせました。

3.エッセンシャルワーカーの大幅賃上げ・増員アクションや最賃闘争が春闘をけん引
 三つ目は、社会的な賃金闘争の前進で成果を勝ちとってきたことです。エッセンシャルワーカーの大幅賃上げ・増員アクションでは、政府にケア労働者の賃上げ制度をつくらせ、職場でのたたかいと結合させることで多くの職場でベースアップや手当として賃上げを獲得しました。関係単産と地方・地域が一体となって活動し、全国的なたたかいに結ぶモデルとして発展の方向も見えてきました。
 ケア労働者を組織する医労連、福保労、建交労、自治労連、生協労連の5単産と愛労連でプロジェクトチームを結成して1月から共同のとりくみをすすめてきました。職場での処遇改善制度を活用した賃上げを要求するたたかいとともに、共同のとりくみとして2680人の仲間からのアンケート回収、行政や国会議員への要請、宣伝や記者会見を通じた実態の可視化を進めてきました。
 全労連・国民春闘共闘による集計では、ケア労働者に関わる回答が386組合からあり、交渉単位891組合に対する回答率は43.3%でした。看護師の賃上げは16.2%の組合にとどまり、制度が大病院の看護師に限定されたことが大きな要因です。介護、保育、福祉、学童だけでみると72.5%の組合で回答を引き出しました。医労連・福保労・建交労の3単産で基本給のベースアップは50組合(13.0%)、手当による支給は319組合(82.6%)と圧倒的に手当による回答となりました。政府は「支給額の3分の2は、ベースアップとすること」としましたが、基本給の賃上げは少数にとどまっています。賃上げ額は3単産全体で基本給のベースアップは平均で7192円、手当支給の平均は8337円となりました。
 これまで、ベアを獲得できていなかった医療・介護・福祉職場で、43%とは言え、数千円のベアを勝ち取ったことは、歴史的な成果と評価できます。政府のケア労働者処遇改善事業を活用して、建交労愛知学童保育支部では3万円のベアを実現、生協労連コープあいち労組では、すべての福祉職員への賃上げ要求し、制度対象外の職員も含めた6000円のベアを勝ちとりました。社会的な運動と職場での運動を結合させ、さらに地方と産別が一体となった運動がその効果を生み出したと言えます。
 しかし、要求から見れば、極めて不十分です。10月からの恒常的な財政措置に向けて、対象労働者の拡大や金額の引上げなど、さらに運動を積み重ねる必要があります。
 また、最賃闘争でも確実な前進を勝ちとってきています。昨年は過去最高の28円引上げを勝ちとりましたし、全国一律最賃制をめざす運動では、新たに自民党の衆議院議員が請願署名の紹介議員に加わるなど、全国的にも目を見張る成果を築いています。こうしたもとで中日新聞は5月23日付の朝刊で「最低賃金上昇→春闘『後追い』、非正規賃上げ主役は『秋』」との見出しを打って、最賃引上げ額が翌年の春闘での非正規労働者の賃上げに連動している事を報道しました。連合に比して基幹産業に組織を持たない全労連・愛労連がすべての労働者の賃上げをめざしてとりくんできた社会的な賃金闘争が成果を生み始めています。

4.ストライキを含めた闘争戦術をしっかり構築してたたかうことの大切さ
 四つ目の教訓は、生計費原則に基づく要求とストライキを背景にしてたたかうことが労働組合としての力を発揮する上で大切であることが再認識されたことにあります。
 2022春闘においても連合の大企業労組は、2000円から4000円(1%)程度のベア要求にとどまる消極的なたたかいに終始しました。連合が2%のべアを統一要求として示しているもとでも、大企業労組を中心に企業の業績を優先した要求にとどまり、企業内闘争に終始しています。トヨ夕労組は、「全組合員平均を基準として要求する方式をやめ、職種と職位に応じた12種類(1600~4900円)の賃上げと年間一時金6.9力月の要求を提出しましたが、ベースアップ要求の有無は非公表」。これに、会社側はいち早く満額回答の意向を示しましたが、春闘に水を差すものと言わざるを得ません。
 愛労連は、生計費原則に基づく月2万5000円以上、時間額150円以上の大幅賃上げ・底上げとなる統一要求を決めたたかってきました。医労連や福保労などケア労働者を多く組織する労働組合では、月額4万円以上、時間額250円以上の要求を掲げ、全産業平均賃金から見ても極めて異常な低賃金状態からの脱却を求めました。
 2022国民春闘方針の論議にあたって、春闘討論集会では少なくとも2021年の最低賃金引上げ額である時給換算で28円(月給4700円程度)を下回る回答やベアゼロの場合は、すべての職場がストライキに起ち上がって、誰ひとり置いてきぼりにしない春闘にしていく必要があるのではないかと討議をよびかけました。「1年のどこで交渉しても大差ないのではないか」という声が上がるほど、春闘の統一闘争としての機能と役割が希薄になっており、「要求を議論できない」「要求提出できない」「スト権を確立できない」「スト権は確立してもストをしたことはない」「もう何年もやっていない」「やり方がわからない」など、たたかいぬく体制と戦術行使もままならない状況がひろがっています。
 こうした背景には、職場の多忙化を背景にした職場組織の弱まり、学習と討議が積み上げられておらず要求に確信が持てない、たたかいの経験や方法が伝承されていないことなどがあります。労働組合組織率の低下とともに労使協調を旗印とする連合の結成によってストライキの実施件数が減少しました。半日以上にわたって行われた国内のストライキは、1974年の時点で5000件以上もありましたが、2020年には35件にまで減少し、大幅賃上げどころか実質賃金が低下する事態を繰り返してきました。
 こうした現状を出発点にして議論を進めてきましたが、春闘をたたかい抜くには、「なぜその要求額なのか」「自分たちの生活をどのように変えたいのか」「そのためにはいくらの賃上げが必要なのか」「賃上げを実現できる裏付けはあるのか」など、徹底した要求討議が必要であり、これが不足していることを共通認識とすることができました。
 ストライキは、闘争手段の一つであり、そのことを目的化させてはいけませんが、必要なときに伝家の宝刀を抜けなくなってはいないかという議論も深められました。「長年ストをしていない」「一度もしたことがない」という組合が、スト権を確立して必要なときにはストライキを決行することができる学習と討議が必要なことも浮き彫りになりました。物価高騰による生活破壊が進む中で、要求づくりと回答を引き出すためのストライキを含む闘争戦術についての学習や討議を引き続き深めていく必要があります。

5.コロナ禍でも増大する内部留保、大企業の社会的責任を追及して
 トヨタ自動車は、コロナ禍や半導体不足の渦中にあっても、円安の影響などを背景に3月期決算で営業利益2.9兆円で過去最高益を更新。自動車、商社、海運会社など世界で事業を展開するグローバル企業を中心に、最高益を更新する企業が相次いでいます。公表された622社のまとめでは、前年度と比べて83.6%の増益と利益が2倍近くに増えています。過去最高益をあげた企業の数は、226社と4割弱で、全体としても、コロナ前の水準を上回り、過去最高益となる状況の下で大企業の社会的責任を追及してきました。
 2022国民春闘のたたかいは、12月5日の国民春闘討論集会からスタートし各単産・地域での学習と方針討議、1月6日に刈谷駅、7日に名古屋駅での春闘スタート宣伝、1月8日の新春旗開き学習会などを着実に成功させ、たたかいへの確信と労働組合の見える化をすすめてきました。
 第43回トヨタ総行動は、2月11日に実施し、早朝宣伝はトヨタ本社前と三河豊田駅、刈谷駅で実施し、名古屋駅では大宣伝行動、東三河でも豊橋市と田原市内で住宅へのビラ配布を実施しました。行動には延べ193人が参加し7100枚のビラを配布しました。名古屋駅での行動は、新型コロナ第6波の真っ只中でもありデモ行進は中止しましたが桜通口ロータリー周辺を108人の参加で元気に行動しました。こうしたとりくみが内部留保を積み増し続ける大企業の社会的責任と「賃上げはあたりまえ」の世論をつくってきました。
トヨタは、「100年に一度の大変革期」として労働組合にこれまで以上の協調を迫り、要求額やベースアップの非公開、そして定期昇給の一律昇給方式までも取りやめて完全成果型を導入しています。労働者が団結し、労働組合が力を合わせてたたかう春闘の否定を許すことはできません。
 また、「大企業が儲かれば、労働者の賃金は引きあがる」と安倍・菅政権は9年に渡って、財界・大企業とともにアベノミクスを進めてきました。岸田政権も新自由主義の行き詰まりのもとで「新しい資本主義」を掲げましたが、「修正版アベノミクスに過ぎない」との批判が高まっています。賃金も日本経済も悪くなる一方で、その誤りは明確です。大企業・富裕層優先し弱肉強食の新自由主義経済から、賃金を引上げて格差を是正し、労働者・国民本位の地域循環型経済への転換が必要です。

6.統一闘争の強化・発展をめざして
(1)2.17春の地域総行動
 春の地域総行動は2月17日を基準にとりくみ、県下の65か所の駅頭で222名が参加し、1万7464枚のチラシを配付しました。
 今年から新たなとりくみとして、地域労連が賃金・労働条件の改善をめざして加盟組合の事業所を訪問して賃上げの必要性を訴え、必ず回答指定日に回答を出すことを求める要請行動にとりくみました。とりくみができた地域組織は港地区労・瑞穂区労連・名南労連・名北労連・尾東労連でしたが、実施した地域では、「普段の団交より経営側が緊張感を持って対応していた」「ケア労働者の賃上げ補助金について当該組合には活用を示さなかったが、地域労連の要請には活用を表明した」「会計年度職員へのケア労働者賃上げ実施の後押しになった」など好評でした。港地区労や瑞穂区労連では、公務一時金カット中止や体制拡充についても要請しました。引き続き、地域で民間と公務が共同してたたかう春闘をつくり上げていく必要があります。

(2)3.10全国統一行動
 全労連は2021国民春闘に続き、「連合」の大企業産別より早い3月9日を集中回答指定日に設定し、「春闘相場」が築かれる前に回答を引き出す努力をしてきました。また、満足のいく回答が得られない場合は、翌10日に配置する全国統一行動で職場からストライキや職場集会(早朝や昼休み等)に起ち上がり怒りを可視化して経営・会社に迫るとりくみをすすめてきました。
 3月10日の全国統一行動には、JMITU通信産業本部、同川本支部、同文化シャッター支部、3月18日には郵政産業ユニオンがストライキに突入しました。文化シャッター支部は3月15日にも第2波のストライキに起ち上がりました。各行動には愛労連からよびかけて支援参加やメッセージが寄せられるなど激励しました。また、医労連みなと医療生協労組は3月10日に病院前早朝地域集会を開催し、医労連や愛労連だけでなく地域の仲間からも支援を受けて行動しました。JMITU川本労組は全国統一行動日に行動を配置する努力も行われ、メッセージが寄せられたことに職場からは喜びが伝えられています。
 全国統一行動には、エッセンシャルワーカーの大幅賃上げ・増員プロジェクトも行動を配置しました。日中は政府のケア労働者の賃上げ施策の拡充を求めて県と名古屋市に要請し、この問題での記者会見も実施。夕方には、名古屋駅桜通り口でケア労働者のスタンディングアクションを実施。
 愛労連は春闘共闘委員会の仲間とともに、決起集会とデモ行進を計画しましたが、まん延防止重点措置の延長に伴い、名古屋駅ゲートタワー前での宣伝行動に変更しました。宣伝には80人が参加し、スピーチではプロジェクターを使って各業種ごとの実態や課題をグラフで示しわかりやすく訴えました。

7.国の悪政から住民の暮らしを守る自治体キャラバンを年2回実施
 毎年、春と秋の2回、県内の全自治体を訪問する自治体キャラバンにとりくみ、自治体が国の悪政から防波堤となって労働者の労働条件や権利、住民の暮らしを守る役割を果たすよう求めています。
 社会保障の拡充をめざす秋の自治体キャラバンは、10月19日から22日を軸に実施し、コロナ禍による人数制限もあり要請団の延べ参加者人数は703人、当局・議会関係者側が692人でした。しかし、1980年以来40年以上にわたる継続的なとりくみが全県で小学生以下の子ども医療費無料(中学生以下は98%)を実現するなど大きな成果を築いています。
 春の自治体キャラバンは、社会的な賃金闘争を地域から具体的に推進する原動力です。住民の人権保障の担い手である自治体労働者(特に非正規)や民間社会福祉施設労働者の処遇改善と均等待遇実現、公契約条例の制定、最賃引上げを下支えする中小企業の振興、などを柱に5月9日から6月13日にかけて全自治体を訪問しました。要請団の延べ参加者人数は387人、当局・議会関係者側が約700人でした。会計年度任用職員(自治体非正規)の各自治体における最低時給は最低賃金と連動して41自治体で引上げとなり、公契約条例は全国に誇る制定状況となっています。

8.コロナ禍と物価高騰から生活守れ、第93回メーデー
 5月1日、第93回メーデーが全国約200カ所で開催され、愛知県では愛知県中央メーデーと6地域でメーデー集会が開催されました。
 第93回愛知県中央メーデーは、名古屋市中村区のキャナルパークささしまパークエリア1号公園で開催し、あいにくの雨天にもかかわらず約800人が参加しました。来賓として愛商連、総がかり行動、5政党(共産党、れいわ新選組、社民党、新社会党、緑の党)から出席。新たなひろがりがありました
 地域メーデーは3年ぶりに、全6会場で集会がおこなわれ、3会場ではデモ行進もとりくまれました。職場の困難な状況や争議についてなどの話に加え、多くの地域でウクライナ情勢からのロシアへの抗議もアピールされました。

9.組織の強化・拡大がますます重要
コロナ禍でいのちとくらしを守る様々な要求運動が展開するなかで、たたかう労働組合としての愛労連組織の強化・拡大の必要性を自覚し、社会的な信頼を高めることができました。四半世紀に及ぶ実質賃金の低下のもとで、大幅賃上げと最低賃金全国一律1500円実現の必要性と期待、格差と貧困が拡大するもとで愛労連への期待が高まっています。
こうした情勢のもとで、コロナ禍でも工夫して組織拡大にとりくみました。拡大数は、春の組織拡大月間では一昨年・昨年を上回り、2610人を拡大(21年春2150人・20年春2323人・19年春2808人・18年春3012人)し奮闘してきましたが、コロナ以前の春の拡大数を取り戻せていません。1年間の拡大合計数は3746人(21年度3412人・20年度3790人・19年度4137人・18年度4592人)で昨年比は回復しましたが、コロナ以前には戻せていません。愛労連組織を純増に転じさせるために年間5000人拡大をめざし、単産・地域で仲間が仲間を増やすとりくみに全力を上げます。要求運動の中で仲間と対話・行動し、組合の見える化で、「組合に入って」の対話運動を大きく盛り上げることが必要です。医労連は新人拡大数が昨年を上回り増勢となりました。全労連東海北陸ブロック「ゆにきゃん」に愛労連から11名が参加し組織拡大や要求実現の実践を理論的に学びました。相手の共感を得られる対話技術、要求実現の過程を学ぶ「ゆにきゃん」を積極的にひろげる必要があります。

10.改憲発議許さず戦争する国づくりをストップ、憲法をいかす社会に
 2月24日にロシアが開始したウクライナに対する侵略戦争に対して、国連は2回にわたって国連憲章違反、人道法違反であるとロシアを非難する決議を140以上の圧倒的多数の賛成で採択しました。労働組合として宣伝行動や集会への参加とともに、侵略戦争を止めるためにロシア大使館あてのハガキビラのとりくみなどを実施してきました。
 アベ政治を継承した菅政権も日米同盟強化と一体で憲法改悪の策動を強めたことから、引き続き「改憲発議を許さない緊急署名」のとりくみを進め、愛知で1万3026筆(3月末現在)、愛労連として2467筆を集約し、全国市民アクションが提出した署名の累計は134万人にのぼりました。愛労連は、5万筆を目標にしましたが不十分なものとなっており、職場で憲法問題を議論できる学習を強化していく必要があります。

11.第一交通争議の勝利和解と愛労委の民主化
(1)業界最大手第一交通とのたたかいに勝利
 名北労連に加盟する第一交通労組は2月10日、中央労働委員会で第一交通産業(株)と子会社である鯱第一交通(株)、千成第一交通(株)を相手にした争議の勝利和解を勝ちとりました。第一交通産業は、全国の経営にゆき詰まったタクシー会社を次々と買収して業界最大手のタクシーグループに急成長しました。これは、最賃違反や残業代未払い、有休取得拒否、運行管理者不在、車両点検未実施など数々の違法行為を繰り返すことによって儲けをあげてきたからです。全国で労使紛争が繰り返され、愛知では、愛労委への救済申し立てとともに残業代未払いや役員の不当解雇、雇止め裁判などをたたかってきました。
 最初の判断となった愛労委決定は、数々の不当労働行為事実があるにも関わらずその信頼性を判断することもなく「疎明がない」とする不当な棄却決定でした。この決定に引きずられ、解雇、雇止め裁判も敗訴となる苦しいたたかいが続きました。しかし、名古屋高裁で書記長の解雇は組合嫌悪によるものであることが認められ、最高裁も会社の上告を退けました。これによって流れが変わり、中労委で納得のいく勝利和解を勝ちとることができました。
 第一交通労組のたたかいは、まさに愛労委の不当決定によって長期化させられることになりました。愛労委は、労働者委員の連合独占にとどまらず、公益委員に労働法学者がいないなど欠陥を抱えており民主的改革が必要です。

(2)愛労委の民主化をめざして
 12月1日、愛知県知事は第46期愛知県労働委員会委員を任命しました。今回もまた7人の労働者委員全員が「連合愛知」独占で、「連合」に所属しない愛労連やローカルセンターに所属しない中立労組を排除しました。1999年5月の名古屋地裁判決では「労働組合運動において運動方針を異とする潮流・系統が存在する以上、労働者委員の構成においては多様性を有することが望ましい」、「今後はより多くの労働者に支持される合理的選択を」と是正を求めました。この判決を受けて、全国で「連合」独占が改められ、現在では中央労働委員会と11都道府県で非連合の委員が選任されています。組織の大小にとらわれることなく、幅広い系統から選任をするという知事としての民主的な判断であり、名古屋地裁判決を直接受けた愛知県知事が旧態依然とした不公正な任命をまたも繰り返したことは断じて許されません。
 今回の選任にあたり、愛労連と中立労組の名古屋ふれあいユニオン、東海労働弁護団は、知事に対し個人署名7885筆、団体署名805団体分を提出し、労働者から頼りにされる労働委員会を取り戻すための選任を求めてきました。その内容は、①公益委員に専門家である労働法学者や労働法に精通した弁護士を入れること、②公労使の委員それぞれで女性を4割以上(各3人以上)にすること、③労働者委員について公平中立な選任をし非連合の委員を任命すること、④労働者実態に合わせた労働者委員の構成となるよう非正規労働者の委員と医療・福祉分野の委員を任命することですが、すべてが受け入れられませんでした。
 こうした要求は、タクシー業界最大手の第一交通による組合つぶし事件をはじめ、いくつかの事件で愛労委判断を中労委や最高裁が覆すなど、明らかに誤った判断を愛労委がしていること、数々の不当労働行為とたたかってきた労働組合や弁護士の中では、愛労委を頼りにできず裁判に訴えることが増えおり、その信頼を失っているからです。
 2023年12月に行われる第47回選任に向けて、この問題を県知事選挙でも争点にしていく必要があります。

12.要求とたたかいの見える化を重視して
 職場でも地域でも、要求の実現をめざしてたたかう労働組合と仲間の姿の見える化を重視してきました。機関誌やニュースの発行、職場で出勤時や退勤時のなどのアンケートや署名、街頭での署名や地域、地域へのビラ配布、SNSを活用した発信など努力してきたことが、職場を変え、世論を変え、情勢を動かしています。
 Twitterは拡散性の高いSNSであり、利用者の関心を呼ぶと瞬く間にひろがっていきます。ホームページと違い手軽に始められるツールであり、単産・地域組織だけでなく、単組・支部・分会でもとりくめます。電車での移動時間やちょっとした隙間時間に私たちの要求や職場・地域の実態、労働組合のとりくみを発信することができます。1枚のビラをまくのと同じように、ツイートすることも必要です。
 この1年間でのフォロワー数の変化は、7月4日現在、愛労連(1649→2052)、愛知県医労連(5106→8020)、福保労東海地本(978→1188)、生協労連東海地連(179→349)、全国一般愛知地本(150→259)、全国一般アクリル支部(新295)、建交労労職支部愛知分会(新1159)、愛教労(319→561)、三河教労(80→115)、尾北教労(101→110)、春日井教労(72→118)、一宮市教組(2872→2917)、知教労(1040→1031)、全トヨタ労働組合(新130)、千種名東労連(140→150)、一宮地区労連(新22)、愛労連パ臨連(新143)、愛労連青年協(新63)となっています。
 最賃ニュースをリニューアルし、愛労連ニュースを昨年9月から復刊しました。1年間で153号発行してきました。様々なとりくみを速報性と数分でとりくみが伝わるように努力してきました。

13.全労連・国民春闘共闘委員会の集計結果
(1)2022国民春闘賃上げ第8回(最終)集計
  単純平均5960円(2.06%) 加重平均5655円

(2)集計結果の概要
 回答引出し・妥結状況 7月7日の第8回最終集計には、31単産・部会から報告が寄せられました。昨年の回答引き出し組合数を大きく上回る1351組合が何らかの回答を引き出し、そのうち「定昇確保」などの言葉による回答を得た組合が466組合(34.5%)で、金額もしくは、率などが明らかになっている有額回答を得た組合は885組合(65.5%)となっています。146組合が2次回答以上の回答を引き出し、668組合が妥結(妥結率49.4%)となっています。
 有額回答を引き出した885組合での単純平均(一組合あたりの平均)は5960円・2.06%で、前年最終(2022年7月8日・4,886円・1.84%)から1,074円・0.22ポイント増となっています。加重平均(組合員一人あたりの平均)は5655円・2.02%で、前年同期(5,696円・1.93%)が41円減・0.09ポイント増となっています。(額のみ・率のみの報告を含んでいるため、金額と賃上げ率の増減は連動せず)
 また、同一組合で昨年実績との対比が可能な576組合の単純平均額を前年実績と比べると、今期は5370円で、前年実績(4870円)を500円上回っています。賃上げ率でも328組合の単純平均で、2.08%と前年実績(1.89%)を0.19ポイント上回っています。前年実績以上の回答を引き出せた組合は、金額では413組合(71.7%)、率では212組合(64.6%)となっています。 産業別では、介護・保育・障害福祉などの「社会福祉・介護」で前年実績を4000円以上、上回る8036円となるなど、ケア労働者の大幅賃上げアクションにとりくんだ成果がはっきりする結果になっています。

14.愛知県労働局の集計結果
 平均妥結額 5280円1.69%(前年比103円減・0.04ポイント増)

15.連合の集計結果
 平均賃金方式で回答を引き出した4944 組合の「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で 6004 円・2.07%(昨年同時期比 824円増・0.29ポイント増)、うち300人未満の中小組合3596組合は4843円・1.96%(同555円増・0.23ポイント増)となった。

第二章 労働者をめぐる情勢の特徴

1.四半世紀に及ぶ実質賃金の低下
 日本の異常な低賃金・不安定雇用の長期化、コロナ禍のなか日本の社会があまりにも脆弱で危機対応すらできない状態にあること、労働者の格差と貧困が広がっていること、男女の賃金格差などジェンダー差別が低賃金構造の原因になっていることなど、私たちが常に指摘し続けてきたことが、コロナ禍のなかで誰の目にも明らかになっています。

(1)下がり続ける日本の賃金
 日本の実質賃金は、四半世紀で約1割下がっています。ピークの1997年を100とした時、韓国は157.3、スウェーデンは141.5、フランス131.8、アメリカ122.7と確実に賃金を引上げています。日本だけが、88.9と下回っています。OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本の平均賃金(年間)は、約423万円で35か国中の22位にまで順位を下げました。厚生労働省が7月5日に発表した5月の実質賃金は、前年同月比1.8%減となり、落ち込み幅は前月(1.7%減)を上回り、新型コロナウイルス感染拡大で経済活動の停滞が響いた2020年7月(1.8%減)以来の大きさです。物価高が家計に与える影響が鮮明になっています。 
 低賃金で働く人が増えています。最低賃金の全国平均の1.1倍以下で働く人の割合は2020年に14.2%となり、2009年の7.5%から10年で倍増しています。私たちの運動で最低賃金が上昇したことが要因のひとつにありますが、非正規労働者や低賃金の正社員が増え、コロナ禍が追い打ちを掛けています。

(2)日本経済の落ち込みと物価高騰
 低賃金と不安定雇用が日本経済の弱点となっています。2020年度の国内総生産(GDP)は、前年度比4.6%減です。この下落幅は、リーマンショック期の2008年度の3.6%減を上回り戦後最悪です。その最大の原因は、低賃金状態がつづく中での個人消費の低迷です。他方で消費者物価指数は4月に2%超となるなど物価高騰が労働者・国民の生活を直撃しています。帝国データバンクの調査によれば、暮らしを直撃する食料品の値上げは年末までに2万品目を越えるとされ、その上げ幅は加工食品が14%、酒類や飲料が15%、菓子も12%におよび平均13%となっています。電気・ガスやガソリン、灯油など生活に直結したエネルギー価格の値上げも顕著です。中部電力ミライズと東邦ガスの発表では、12カ月連続の値上がりで、去年と同じ8月と比べて合計3500円以上高くなっています。社会保障費の削減による年金引下げや賃金抑制がつづくもとでの値上げは、個人消費をさらに冷え込ませ不況の引き金となります。こうしたもとで暮らしを守るためにはこれを上回る賃上げや消費税をはじめとする減税、社会保障の拡充が必要です。

(3)大企業・富裕層優先の経済からの転換をもとめる
 労働者の生活と地域経済の悪化の背景には、大企業・富裕層の利益を優先する新自由主義の政策があります。コロナ禍でも大企業(資本金10億円以上)は、労働者の賃金や下請け単価の抑え込み、日銀の金融緩和策を背景に利益を238兆円から241兆円へと3兆円も増やしています。内部留保は2020年度末で466兆円にも膨れ上がっています。
 新自由主義とは、規制を取り払い、すべてを市場原理にゆだね、資本の目先の利潤を最大化する弱肉強食のイデオロギーです。労働者の賃金抑制、労働法制の規制緩和、非正規化を図る一方で、大企業の税金軽減、社会保障費の削減、消費税増税など庶民増税をはかり、グローバル化による大企業の利益を守る体制を作り出しています。「小さな政府」「官から民へ」の名目で公的サービスを切り捨て、民営化・産業化し、何よりも国民には自己責任を押し付ける政治・社会を作り上げるものです。円安などの影響で、トヨタ自動車は3月期決算で営業利益2.9兆円となる過去最高益を更新するなど、自動車、商社、海運会社など世界で事業を展開する企業を中心に、過去最高益をあげる企業が相次いでいます。
 大企業・富裕層優先の新自由主義経済から、賃金を引上げ格差を是正し、労働者・国民本位の地域循環型経済への転換をしなければなりません。

(4)経団連のシンクタンクが公共部門の賃上げ・雇用増を提言
 経団連のシンクタンクである21世紀政策研究所は、経済が長きにわたり低迷しているもとで、政府が幾度となく成長戦略を取りまとめ実行に努めてきたが、低成長から一向に抜け出せていないとし、「経済構造研究会」を立ち上げ、6月2日に報告書「中間層復活に向けた経済財政運営の大転換」を公表しました。
 報告書では、現在の人事院による給与勧告制度では、「民間の賃金が停滞している限り、公務員の給与が上がらず、むしろ民間の賃金が下がっていれば、それに引きずられて公務員の給与まで引き下げられてしまう」とし「マクロ経済に大きな負の影響をもたらしている」と指摘。民間賃金が下落すれば、公共部門の賃金下げにつながり、中間層全体の衰退を引き起こし、これにより需要が減少し、また民間賃金が落ち込み、引き下げの給与勧告がなされる…という悪循環が生じてしまうと、私たちが指摘したことをそのまま受け止めたとも言える分析をしています。
 また、政策提起では「人事院の給与勧告の見直し」「公共サービスのアウトソースの見直し」「非正規公務員の正規化」「公的価格の引き上げ(ケア労働者の賃上げ)」に言及しています。とりわけケア労働者の賃上げでは、引き上げ額が不十分であることから「さらに踏み込んだものとすべきである」とし、財源を社会保険料負担増で賄うようでは、アクセルとブレーキを同時に踏むようなものとして、公費負担割合を拡充すべきであると提起しています。

2.雇用と労働法制の規制緩和・改悪をねらう岸田政権
(1)雇用調整助成金の拡充・継続などで雇用をまもる
 岸田政権は、感染対策より「経済を回す」政策を優先し、コロナ禍対応の雇用対策も早々に打ち切って雇用流動化に舵を切ろうとしました。職場労使の意向や、労働相談やコロナなんでも相談会の事例をもとに、政府や国会に対して雇用対策の特例措置の継続や改善を働きかけ実現させてきました。また、休業手当未払いの労働者を救済する休業支援金の拡充と職場での確実な支給、小学校休業等対応助成金での個人申請の仕組み、シフト制契約による休業手当未払いの横行、女性の非正規労働者の雇用悪化への対応など、現場の切実な声を丁寧に拾い上げ、ともに声を上げることで政府や自治体に対策を求めてきました。

(2)「解雇の金銭解決制度」の創設はじめ矢継ぎ早に労働法制改悪をねらう
 岸田政権は、参議院選挙後の臨時国会以降に、解雇の偽装としての悪用が目立ち始めた「非定型的シフト制労働契約」、労働時間法制の規制緩和(裁量労働制の対象業務拡大と手続き要件緩和等)、解雇自由社会に道を開く「解雇の金銭解決制度」の創設、勤務地限定・職務限定の多様な正社員に対する解雇容易化のための法整備(解雇回避努力の軽減)、副業・兼業、テレワークをテコとした「雇用によらない働き方」の普及、フリーランスに打撃をあたえるインボイス制度の施行準備など、矢継ぎ早の労働法制の規制緩和・改悪を狙っています。
 また、労働契約法第18条・無期転換ルールの見直しの議論がすすんでいます。有期契約時の労働条件を引き継ぐ規定の削除や通算契約期間5年の短縮、不更新条項への規制、有期契約の入り口規制などを求めていく必要があります。

(3)自動車運転者のインターバル11時間原則の確立
 改正労基法の時間外労働上限規制の適用を猶予されているバス、タクシー、トラック等の自動車運転者の「改善基準告示」の見直しが、労働政策審議会で行われました。全労連は審議が山場にはいった2021年末から、雇用共同アクションの枠組みで当該産別とともに、「インターバル11時間原則の確立」を要求に掲げ、団体署名、市民向けのネット署名とSNSキャンペーン、意見書提出と厚労省交渉、審議会前の要求行動などを展開しました。しかし、審議会の労側委員の一部が「11時間を努力義務とする」譲歩提案を示し、バスとタクシー業界は、その筋でまとめられてしまいました。トラックも同様の議論でまとめられようとしており、深刻なドライバー不足を解消するためにも11時間を原則とさせる必要があります。

3.ロシアの侵略戦争をテコにした改憲策動と軍事大国化を許さない
(1)一刻も早く愚かな侵略戦争とめる
 2月24日に、ロシア政府によるウクライナへの侵略戦争が開始され、いまも一般市民を巻き添えにして戦闘が続けられています。このおろかな蛮行を一刻も早くとめること、同時に、軍事同盟や核兵器など武力による「平和」ではなく、外交と対話によって国際平和秩序を構築する事が強く求められています。国連総会は、2度にわたってロシアの侵略戦争を国連憲章違反と断罪して即時停戦・撤退を求めるとともに、民間人に対する攻撃を非難する決議を圧倒的多数で採択しました。また、世界各国の市民が戦争反対の声をあげ、ロシア政府を包囲しています。
 プーチン大統領は、「現代のロシアは世界で最も強力な核保有国の一つだ。我が国を攻撃すれば、壊滅し、悲惨な結果になることに疑いはない」と核兵器の使用に言及し、国際社会を威嚇し続けています。核兵器が存在する限り、人類は核兵器による破局の危険から逃れることはできません。その危機を取り除く唯一の方法は、すべての核兵器の全面禁止・廃絶です。一刻も早く核廃絶を実現しなければいけないことをロシアの侵略戦争は浮き彫りにしています。
 核兵器が使用されることへの懸念が高まる中で初めて開かれた核兵器禁止条約締約国会議は、最終日の6月23日、①「核なき世界」の実現を国際社会に呼びかける「ウィーン宣言」と、②核廃絶に向けた具体的なとりくみをまとめた「ウィーン行動計画」を採択。会議のクメント議長は閉会にあたり「多国間主義がぎくしゃくし、核兵器が誤った方向に進むなか、私たちは正しい方向をはっきりと示した。行動し続けてどんな前進が可能か世界に示そう」と訴えました。
 第2回締約国会議は来年11月27日~12月1日にニューヨークの国連本部で、メキシコが議長国となって開催されます。
 一方で8月には、7年ぶりにNPT再検討会議が開かれる予定で、ウクライナ情勢を受け核保有国同士の対立が続く中、行き詰まった核軍縮の方向性を示すことができるかが、問われることになります。

(2)憲法9条改憲を絶対にさせない
 自民党や維新の会などが、この侵略戦争をテコに核共有や敵基地攻撃能力保有など軍事力強化の声をあげ、憲法9条改憲の策動を強めています。自民党は、敵基地攻撃能力を「反撃能力」と言い換えて、敵のミサイル基地だけでなく指揮統制機能等も攻撃することや、そのための軍事費をGDP比で2倍化するとの提言を政府に提出しました。また、5月に米バイデン大統領が来日した際に、中国による台湾有事には軍事力をもって対応すると名言したのに対して、岸田首相は、「軍事費の抜本的な増大を図る」と応じるという始末です。
 6月におこなわれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議にも、岸田首相は日本の首相として初めて出席し、「日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意だ」と表明。日米同盟を新たな高みに引上げるとも述べるなど、軍事費の国内総生産(GDP)比2%への引上げを求めるNATOに呼応し大軍拡に率先して乗り出す姿勢をアピールしました。
 ロシアの侵略戦争を口実とした平和憲法の改悪、軍事力強化を絶対に許してはなりません。

(3)参議院選挙で改憲勢力が3分の2を超えたが国民の願いは物価高騰対策
 7月10日に投開票された参議院議員選挙の結果、自民党は単独で改選議席の過半数の63議席を獲得し、新自由主義政策や改憲をあおる日本維新の会も6議席伸ばしました。公明党と国民民主党を合わせた改憲勢力の議席は177と3分の2を超えました。
 岸田首相は自民党総裁として翌11日、参院選の結果を受けて記者会見を開き、「改憲勢力」が国会発議に必要な3分の2を参院で維持した結果をめぐり「できる限り早く発議にいたるとりくみを進める」と表明し、改憲を政権運営の中心に据える考えを示しました。
 しかし、参議院選挙において、投票する際に重視した政策は「景気・雇用対策30.2%」「年金・介護・医療15.7%」「子育て・少子化対策11.1%」で、「憲法改正は4.7%で6位」(時事通信2022.7.10)であり、新自由主義政策や改憲など、自公政権がすすめる政策の一つひとつが信任されたわけでないことは明白です。ウクライナ戦争や安倍元首相への蛮行に乗じて、「自衛隊の明記」や「緊急事態条項の創設」などの改憲を強行することは許されません。

(4)米軍辺野古新基地建設を中止させ、沖縄を戦争の侵略基地にさせない
 辺野古新基地建設を中止させ、普天間基地の閉鎖・撤去させるうえで重大な局面を迎えています。沖縄県知事選挙が8月25日告示、9月11日投開票で行われます。
 この間、沖縄防衛局が軟弱地盤改良のために2020年4月に工事の設計変更を申請し、これを玉城デニー知事が2021年11月に、軟弱地盤の調査や災害防止対策、環境保全対策が不十分であることなどを理由に不承認としました。行政不服審査法の乱用により国交大臣がおこなった不承認の取り消し裁定について、沖縄県は5月9日に国地方係争処理委員会に審査を申し出ました。
 沖縄県は、復帰50年を迎えるにあたり「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」を公表し、「基地のない平和な島」の実現や辺野古新基地建設の断念、日米地位協定の抜本改定などを求めています。平和な沖縄をとり戻すことは、日本全土の平和を取り戻していくたたかいです。平和を求めるすべてのたたかいに結び、勝ち取っていきます。

4.ジェンダー平等の推進をはかるとりくみ
 日本政府は、2003年に、男女共同参画社会の実現に向けて「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標(『2020年30%』の目標)を打ち出しました。しかし、その目標は達成されず、2020年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」では「20年代の可能な限り早期に30%程度」と先送りとなっています。世界経済フォーラムによる最新の2022年版ジェンダーギャップ指数で、日本は146カ国中116位でした。先進7カ国(G7)でも、東アジア太平洋地域19カ国のいずれもで最下位で著しく男女不平等である現状を浮き彫りにしました。女性の労働参加率の大幅な落ち込みで、「経済」では121位、議員や閣僚級ポストに占める女性の比率も依然低く、「政治」は139位です。
 2020年における非正規雇用労働者の割合は、女性54.4%、男性22.2%となっています。正規の職がないために不本意に非正規雇用で働く女性は118万人、男性112万人。賃金格差は、男性労働者の給与水準を100としたとき、女性労働者の水準は74.3です。岸田政権はフリーランスなど雇用によらない働き方を拡大しようとしています。
 公務職場においても、非正規労働者が権利や雇用の安定、専門職にふさわしい賃金水準を奪われたまま激増しています。ケア労働者の低賃金化にもジェンダー差別が反映しています。
 ジェンダー平等の推進を図るとりくみを運動の柱として位置付けることが求められています。

5.気候危機を打開し世界と地域をまもる
 地球温暖化が異常気象を多発させる事態が続いています。気温上昇が海面上昇など環境や生態系へ影響し、農業や漁業、地域の持続性を危うくしています。これに対し、2021年10月に開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約締約国会議)で、2050年までに産業革命前と比べて地球の気温上昇を2℃未満に抑えるため、2030年までに1.5℃未満に抑制することが確認されました。そのために温室効果ガスの削減目標の引上げが日本にも要請されています。日本のCO2排出量は世界の3%を占め、世界第6位、人口ひとりあたりの排出量は9トンで先進国平均とは同等ですが、世界平均からすれば約2倍、後進国の3倍になっており、その責任は大きいものです。
 気候危機宣言やカーボンニュートラルの実現をめざす自治体が広がっています(22年3月時点679)。岸田政権に対して、原発ゼロと石炭火力ゼロ、再生可能エネルギーへの抜本的転換へ迫るとともに、自治体に2050年までのカーボンニュートラル実現のための省エネや再生可能エネルギー生産の計画と政策を住民参加型で策定するよう求めていく必要があります。

6.誰もが人間らしく生きるため憲法をいかして社会保障の拡充を
 政府がすすめる「全世代型社会保障」政策は、老齢期、子育て期、障害者、困窮者など、すべての人に自己責任を迫り、死ぬまで働かなければ生きていけない社会にしようとするものです。「全世代型社会保障」の基本的視点は、2040年の高齢化社会を想定した「全世代負担増」であり「年齢ではなく負担能力に応じた負担という視点を徹底」し、「全ての世代が公平に支え合う」として社会保障を「自助・共助・公助」の三層構造で捉えるものです。その狙いは、国が責任を負うべき社会保障を後退させるとともに、マイナンバーとデジタル化による国民の情報管理を進めることです。「骨太方針」には、「健康保険証の原則廃止」「マイナンバーカードへの一元化」が明記されました。
 全ての世代に負担増と自己責任を押し付け、憲法に基づく人権保障を無視する「全世代型社会保障」政策をすすめさせるわけにはいきません。国民生活を守るための社会保障は、国民相互の助け合いではなく、25条をはじめ憲法に基づく国の責任です。

7.愛知県政の特徴
 コロナ禍によって愛知県政の課題が浮き彫りになっています。コロナ禍で医療現場と保健所が逼迫した背景には、1990年から2017年の間に一般病院は444病院から286病院へ、一般病床は5万7064床から3万9777床へ、県立の保健所は26から12まで減らされ、異常な数の自宅療養者を生み、多くの人が亡くなりました。介護老人福祉施設や保育所は全国水準の低位にとどまっています。
 一方で、このコロナ禍でも大型開発と大企業支援を推進しました。ハイブリッドとFCV(燃料電池車)、水素エンジンに力をいれるトヨタ自動車などを応援する補助金や水素ステーション設置(全国154カ所で愛知は41カ所2021年8月現在)を進めています。また大企業を応援する、スタートアップ事業とその拠点であるステーションAi(設計・建設・運営はソフトバンク)の建設をすすめるとしています。そしてリニア推進です。リニアは東海道新幹線の4倍もの電気を使い、CO2の排出を削減しようという世界の流れに大きく逆行しています。他にも、中部国際空港2本目滑走路建設、設楽ダム建設など、浪費型の大型開発を推進しようとしています。そして、過去最大の軍事費や敵基地攻撃能力の保有の検討を明言した岸田自公政権のもとで、三菱重工業小牧南工場で最終組立されたF35の試験飛行を続け、海外で戦争する国に積極的に加担・協力する県政となっています。
 大村県政の「あいちビジョン2030」は、「世界から選ばれる魅力ある愛知」とし、ジブリパーク、アジア競技大会、リニア中央新幹線などビッグプロジェクト中心で、大企業の利益第一・経済成長優先というこれまでの姿勢と変わるものではありません。コロナ禍で分かったことは、外需に頼っていた部品などが入ってこない、そして一部の企業頼みではこういう時に県民生活が止まってしまうということでした。地域経済を活性化させるカギは大型開発や産業誘致ではなくて、内需型の経済、地域内の産業を興し発展させる必要があります。
 自民公明の新自由主義を追従、防衛費拡大から、県民のいのちとくらしを守るために社会保障に拡充させ、格差と貧困を是正する県政に転換することが求められています。県民のくらしを受け止め、医療の体制の拡充、介護・福祉・保育・教育を充実させることが必要です。
 また、県がすすんで市町村の施策が引きあがる土台となるよう応援を強め、住民にとって身近な施策が前進するよう、県として市町村の施策を支え、地域住民にとって身近な県政を実現させることが求められています。

第三章 2023年度運動方針

Ⅰ 「3つの要求」と「4つのアプローチ」をたたかいの基調に

【3つの要求】

1.すべての労働者のゆとりある生活と労働の確保へ
(1)賃上げと労働時間短縮をめざし、社会的な賃金闘争と労働組合の自力を強化する
 すべての労働者とその家族に、人間らしい働き方と生活が保障されるよう、労働組合の社会的な役割を発揮します。「食事がとれない」「住む場所に困る」「寝る時間がない」「差別に苦しめられている」「教育が受けられない」などの不条理から、すべての人々が解放される社会をめざします。
 最低賃金や公契約、ケア労働者の賃上げなど社会的な賃金闘争で成果を築いてきたことを確信にしこのたたかいを強化します。
 全労連・愛労連は、連合に比べて圧倒的に大企業や基幹産業で組織を有しておらず、組合員数の違いにおいても春闘相場を自力で形成する力関係にありません。連合のストなし春闘は、日本を結果として賃金が上がらず経済成長もしない国にしてきました。こうしたもとで、全労連・愛労連はすべての労働者の賃上げを実現するために、社会的な賃金闘争として公的な賃金の物さしである最低賃金や公契約、公務員賃金引上げのたたかいを重視してすすめてきました。政府によるケア労働者の賃上げはまさしく社会的な賃金闘争の成果です。連合春闘では、大幅賃上げは期待できず、「春闘が毎年秋の最低賃金改定に主役の座を奪われている」と中日新聞(5月23日付け)に書かれるまでになっており、社会的な賃金闘争が主役に躍り出たことをしめしています。
 また、労使交渉において大幅賃上げを実現できる「自力」をつけることも必要です。ストライキを含むあらゆる闘争戦術を行使できる労働組合へのバージョンアップを図ります。
 賃金の最低基準として、全国でとりくんでいる最低生計費試算調査の結果である月24万円~25万円、時間額で1500円以上の収入が得られるよう、賃金の底上げ闘争を強化します。

 1)賃金引上げと労働時間短縮を図る
 「賃金引上げと労働時間短縮」にこだわった要求と運動を構築します。賃金引上げの実現にこだわったたたかいが必要です。労働者が低賃金の職場に職を求めることはなく、人手不足による長時間労働と就労意欲の低下を招き、さらに求職者を寄せ付けなくなります。低賃金と長時間労働構造の打開なしには、生活の改善も、人手不足と残業の解消も、非正規差別の是正も、ジェンダー平等も、事業の健全な発展も実現しません。人口減少問題の解決や地域経済の再生も達成できません。賃上げと労働時間の短縮に向けて全力をあげます。
 労働者は、まともな賃金を得ることなしに生きられません。やりがいある仕事でも、それだけでは生活していけないことを共通認識にすること、自らの職場から生活困窮者と差別をなくすことを真っ先にとりくんでいくことが求められています。

 2)最低賃金全国一律1500円を実現させる
 最低賃金の全国一律化と1500円への引上げは、労働者の生活をまもり地域経済の改善を図るための最重要課題です。私たちは職場における使用者との交渉と社会的な賃金闘争を結合させることで、賃金の引上げを勝ち取ってきました。この2つのたたかいの強化が求められています。社会的な賃金闘争では、最低賃金の全国一律制への法改正をめざし「最低賃金アクションプラン2024」をすすめてきました。2022年通常国会での全国一律法改正が目標でしたが、全労連が2024年通常国会での実現をめざすプランに補強を行います。最低賃金の改善は、労働者の暮らしを底上げするだけでなく、地域経済や企業の活性化のためにも必要とする声が上がりはじめています。実現への要は、職場と地域からの声が強まること、当事者性を発揮した運動の構築にあります。

 3)ケア労働者の賃上げを実現させる
 エッセンシャルワーカーの低賃金実態を明らかにして社会問題化し、政府にケア労働者の処遇改善策を具体化させたことは運動の成果です。エッセンシャルワーカーを組織する5単産と愛労連でプロジェクトを立ち上げてとりくみを展開し、2022春闘での賃上げを実現させてきました。政府は「支給額の3分の2は、ベースアップとすること」としましたが、基本給の賃上げは一部にとどまっており、社会的な運動と職場での運動を結合させ、政府の賃上げ策は不十分なことと、公立保育では9割以上が制度を申請できておらず、さらに運動を積み重ね、10月実施を迫る必要があります。また、労働者の賃上げを利用者負担増に直結させる仕組みを改めさせ、国・地方自治体の責任による引き上げを求めます。

 4)ストライキと統一闘争で春闘に影響力を持てる労働組合へ
 賃上げをはじめとする切実な要求の実現へ、すべての組織がストライキを含むあらゆる闘争戦術を行使できる労働組合となることをめざします。まずは、要求に確信を持てる討議、ストライキ権の確立、要求提出、団体交渉など基本的な行動の具体化を図るとともに、産別統一ストや地域の統一闘争に結集するたたかいを強化します。学習、好事例の交流などをすすめながら部分的・段階的であっても諦めずにすすめます。
 労働条件決定は、労使による交渉によって決定されることが基本です。しかし公務員は、労働基本権が制約されていることから、回復に向けた職場内外の世論を高めることが欠かせません。労働協約締結権やストライキ権回復など労働基本権回復に向けた学習・討議を進めます。また、民間組合がストライキを決行する際には積極的に支援します。

(2)長時間労働や格差是正でディーセント・ワークの確立をかちとる
 雇用の質と安定性、適正な労働条件をめざすします。真面目に働けば、誰もが一生安心して生活できる社会が必要です。人間として、社会として、譲ることのできない最低線があり、それを定めているのが憲法の基本的人権です。賃上げと労働時間短縮を実現させるとともに、非正規労働者など当事者が声を上げるたたかいの構築にとりくみます。

 1)長時間労働の解消と法定労働時間7時間への短縮めざす
 人材確保と職場の活性化のためにも、使用者に賃上げと時短を認めさせることが必要です。時間外労働を減らし、所定労働時間を年間1800時間、1日7時間にする「労働時間短縮運動(時短運動)」を開始します。職場では、所定労働時間の短縮、長時間労働の解消、休日増、36協定の労使協議にもとづく確立と遵守など具体的な要求確立と運動の構築をめざします。そのことが、増員要求の後ろ盾ともなります。女性も子育て世代を含め、だれもが働き続けられる職場をめざすことがジェンダー平等の推進につながります。
 一方、政府は「自由で柔軟な働き方を実現する」として、使用者を縛る労働時間法制を破壊しようとしています。その方法は、労働基準法の改悪による裁量労働制の対象業務拡大や要件緩和、テレワークを活用した「みなし」労働、変形労働時間制の濫用(所定労働日削減とセットの1日の労働時間延長)、シフト制労働や副業・兼業(労働時間通算制度の悪用)の拡大、フリーランスの普及など多種多様です。政府や財界による労働時間法制の破壊に反対し、労働時間管理の厳格化と使用者責任の徹底を求めます。
 DXやIT化などの技術革新によって、労働時間の短縮がすすまなければ本末転倒です。せめて、ヨーロッパなみの労働時間をめざし、賃下げなしの時短を要求の柱に据えて進めます。

 2)非正規労働者の組織化に職場内外で踏み出す
 四半世紀にわたる実質賃金の低下とともに、非正規雇用労働者が拡大され、全労働者の約4割にも拡大されました。公務職場でも拡大の一途となっています。労働者派遣が横行し中間搾取と派遣先での労働者格差をもたらしてきました。さらに、多様な働き方を御旗に使用者責任を外し、すべてを労働者の自己責任にする個人請負労働が拡大されています。労働者の団結には共通の基盤が必要ですが、職場での雇用形態や賃金制度による分断が労働組合への団結を困難にし、労働者の権利が奪われています。法規制を抜本的に強化させ、労働法を労働者保護法制として機能させることが求められています。すべての労働者を視野に、とりわけ非正規労働者、公務職場における非常勤職員・会計年度任用職員の組織化の実践に職場内外で踏み出します。

 3)雇用によらない働き方の適正な労働者保護を
 「雇用によらない働き方」を増やす施策が展開されています。単発的契約に基づくギグ・ワーカーも含め、労働契約を請負や委託契約に偽装する働かせ方を防止し、適正に労働者保護を適用する必要があります。雇用によらない働き方をしている労働者の組織化をすすめ、労災・雇用保険の適用や自然災害・感染症拡大などの際の所得補償、疾病手当金などの制度化をめざします。

 4)正規と非正規、男女格差の是正を図る
 男女間賃金格差の是正に向け、企業の情報開示が義務化されました。格差を可視化し、是正を求める現場でのとりくみが重要です。また、基本賃金や一時金、退職金における均等待遇の法整備の実現を求めるなど、パート有期労働法の改正を求めます。非正規労働者の待遇改善に向け、無期転換ルール、均等待遇、シフト制規制と休業手当の改善などを求めます。
 介護休暇や子の看護休暇の日数増や補助対象範囲の引上げ、育児休業中の所得補償、病児保育の拡充など子どもを育てながら働き続けられる労働政策と公務・公共サービスの充実を求めます。

(3)社会保障の充実でいのち守る体制をめざす
 1)社会保障を充実させ、ケア労働者、公務公共、教育の労働条件改善を
 医療・介護・福祉・保育などのケア労働、公衆衛生、公務公共サービス、教育で働く労働者の人手不足が深刻です。賃金・労働条件の引上げが待ったなしの課題になっています。
 より良いサービス提供のためにも、現場労働者がゆとりをもって働き続け専門性を高めていける賃金・労働条件が必要です。
 個々の事業主に要求実現を迫るとともに、労働者の賃上げを利用者負担増に直結させる仕組み改めさせ、国・地方自治体の責任による引上げを求めます。

 2)政府の「全世代型社会保障」と対決する
 コロナ禍と物価高騰が国民生活を襲っているもとで、低所得者に重くのし掛かる逆進性の強い消費税の緊急減税が必要です。税の累進性を強め、大企業優遇税制を改め、社会保険料区分の引き上げなど、大企業や富裕層に応分の負担を求め、社会保障制度の機能回復と再生が必要です。
 年金引き下げが高齢者の生活を襲っています。さらに後期高齢者の医療費2倍化も強行されようとしています。年金だけでは生活できない高齢者が増加し、高齢者の労災事故が増加する事態ともなっています。
 憲法に背き、国民に自己責任と負担を押し付け、格差と貧困を拡大させてきた国の責任を明らかにし責任を果たさせる事が必要です。
 現役世代の劣悪なはたらき方や貧困な社会保障を放置したまま、「現役世代の負担を減らす」などといいながら、社会保障全体を削っていく欺瞞を暴くことが必要です。

①.安心できる年金と高齢期雇用を求めるたたかいをすすめます。
②.医療費の窓口負担や介護・福祉の利用料負担の撤廃、保育、学童保育、教育の無償化を求めるたたかいをすすめます。
③.社会保険料の上限引上げや、富裕層と大企業に税の応能負担を求めるたたかいをすすめます。

2.地域の「公共」を取り戻し、持続可能な地域循環型の経済・社会の確立を
 全労連は、2つ目の要求の柱として、社会維持に欠かせない地域の「公共」を取り戻すことを掲げました。コロナ禍の長期化や相次ぐ自然災害のもとで、私たちの生活と地域の維持に欠かせない「公共」が、あまりに脆弱な状況にあることが次々に明らかになりました。医療や公衆衛生体制、介護、福祉、保育、教育、流通、公共交通、通信、食料、エネルギー、公務など、止めてはならない公共的なサービスの多くが市場に放り出され、効率優先で削減され、必要なときにまともに機能しない事態を幾度も経験しました。いのちすら守れない地域・社会になっていることを目の当たりにしました。こうした公共にかかわる職場で働く労働者の働く権利が奪われてきたことが事態をいっそう深刻化させています。
 地域を元気にすることをめざし、”地域”を基礎に労働組合と地域住民の共同で前進をめざします。これは、新自由主義改革そのものの転換をせまるたたかいです。日本経済の再生と持続可能な地域循環型の経済・社会を求める大きな共同へと発展させるために全力をあげます。

(1)「公共」の職場で働く労働者の労働条件の抜本的な改善を求める
 「公共」に携わる職場で働く労働者の賃上げ、労働条件の改善、雇用の安定を図ることに全力をあげます。どの分野も共通して深刻な人手不足があります。低賃金、不安定雇用、長時間労働を抜本的に改善しない限り、人手不足の改善を図ることはできません。
 コロナ禍のなか、医療・公衆衛生や公務・公共体制などの脆弱性が露わになった「公共」分野の抜本的な充実に向けて全力をあげます。いのちまもる緊急行動、ケア労働者の大幅賃上げアクションなどに引き続き、いのちと地域の維持をはかるのに欠かせないエッセンシャルワーカーの処遇改善と体制拡充を求めてたたかいます。

(2)地域ならではの「公共」を地域住民との共同で取り戻す
 「学校がつぶされようとしている」「保育所が足りない」「水道の民営化が狙われている」「病院が統合される」「診療科が減らされる」など、取り戻さなければ地域の維持ができなくなる「地域ならではの課題」を明確にして、取り戻すたたかいを労働組合と地域住民が一体となってすすめる共同のたたかいをめざします。
 医療・介護・福祉・保育・教育・交通・通信など、公共性が高く、民営化になじまない事業や国や自治体でアウトソーシングされた事業の「再公営化」をもとめる政策づくりをはじめ運動の構築をはかります。

(3)地域ぐるみで「地域循環型の経済・社会の構築」をめざす
 新自由主義の柱であるグローバリズム、規制緩和、大企業優先の経済政策のもとで、賃金の底上げや中小企業支援、労働法制、社会保障・教育の拡充など、諸課題を統一したとりくみとして推進します。
 地域の労働組合をはじめ、経済団体、商店街、業者、さらには自治体などとの対話・懇談運動をひろげ、自治体や政府に政策転換を求める合意作りと、一致点に基づく共同行動づくりを推進します。
 その当面する重点に、最低賃金全国一律1500円の実現による賃金の底上げとともに、物価の高騰から生活と地域を守るとりくみを位置づけます。中小企業支援の抜本的な強化、経済や税制の転換、人口の都市集中是正などを求め、持続可能な地域循環型の経済・社会をめざします。

(4)食と農業をまもる
 日本の農業は危機に瀕しています。日本の食料自給率は2020年度で37.17%と過去最低で、先進国のなかでも最低です。背景にはグローバル化によるTPP11、日米FTAなど自由貿易協定による農産物の大幅な輸入拡大があり、農業を市場原理にゆだね企業化、大規模化などによって家族農業を破壊した結果です。米価暴落に対し、輸入停止などの対策もとらず、農業つぶしともいえる政策が続けられています。主権国家として独立して存続することすら脅かすもので、安全保障上のアキレス腱ともなります。国の責任で、国民の食と農業を守ることが求められています。

3.9条を守り憲法いかす政治に転換する
(1)平和憲法を守りいかすたたかいに全力あげる
 憲法を守りいかし、平和と人権、民主主義が守られる社会を実現するために労働組合として全力をあげます。平和憲法守りいかすことができるのか、戦争する国へと改憲を許すのか、緊迫した情勢のもとでのたたかいとなります。
 ロシアのウクライナ侵略を口実とする日米同盟の強化、敵基地攻撃能力の保有、軍事費の2倍化、核兵器共有などが画策されています。国民生活を顧みない大軍拡と、戦争する国づくりを許さない国民的なたたかいに全力をあげます。
 同時に、9条への自衛隊明記や緊急事態条項の創設など自民党改憲4項目をはじめ、いかなる明文改憲も許さず、憲法を守り生かすたたかいを展開します。

(2)組合員と職場・地域に依拠したたかう
 組合員と職場・地域からのたたたかいで憲法を守り抜き、平和と暮らしにいかすとりくみへとすすめます。声を上げれば変えられる実感が持てるたたかいを展開します。

(3)核兵器禁止条約の批准を政府に迫る
 被爆者の願いを踏みにじる核共有議論を許さず、核戦争を起こさせない唯一の方法は核兵器の廃絶であり、非核三原則の遵守とともに、核兵器禁止条約の批准を政府に迫る運動を強めます。

(4)憲法を守りいかす愛知県政をめざして
 2023年2月の愛知県知事選挙では、大企業優先の県政から憲法を守りいかし県民生活を最優先する県政への転換をめざします。

【4つのアプローチ(戦略と戦術)】

 たたかいの柱となる3つの要求を4つのアプローチ(戦略と戦術)で実現めざします。その要は、5万人の組合員に依拠した、参加型のたたかいを展開できるかにかかっています。組織の強化と拡大に挑戦しつつ、要求実現に向けてとりくみを進めます。

1.賃金闘争と労働組合のバージョンアップ
(1)社会的賃金闘争の推進とストライキを含む戦術配置で交渉力を高める
 最低賃金や公契約条例、ケア労働者の賃上げなど、成果を生み出してきた社会的な賃金闘争をいっそう力強くすすめるとともに、大幅賃上げを勝ちとるためにストライキを含むあらゆる戦術を配置して交渉力を高めてたたかうことをめざす「労働組合のバージョンアップ」をすすめます。要求を切実さ、緊急性、共通性などからしっかり議論して練り上げ本気の要求にすること、実現させる道筋を明確にして具体的に実践に結び付けること、仲間を増やし団結をつよめることで実現させます。一定の時間がかかっても、諦めずにすすめます。
 ケア労働者の賃上げは、制度を国につくらせ、労使交渉によってベースアップという果実を実らせたものです。この二つの戦略を同時にすすめていくことが必要であり柱となります。

(2)産別と地域のたたかいを強化する
 産別闘争と地域闘争への結集を強めることで、企業内労働組合の限界を克服するたたかいの構築をめざします。要求議論と学習、オルグ、実践、組合役員の意識転換から丁寧につくりあげていきます。

2.格差の是正へ「非正規差別、女性差別の根絶とジェンダー平等の実現」をすべての運動に位置付ける
(1)格差・差別を可視化し、最賃引き上げ、均等待遇実現、男女賃金格差の是正を
 あらゆる差別根絶をかかげ、非正規差別やジェンダー差別の根絶に向けたとりくみを重視します。地域・職場で非正規やジェンダーにかかわる格差を可視化するとともに、要求を明確にして要求書を提出することが大切です。
 非正規格差の解消には、最低賃金の改善、均等待遇の職場内外での実現、無期転換による雇用の安定などを図ります。ジェンダー平等では、男女賃金格差の是正、労働時間の短縮、子育て世代の働き方改善など、身近で切実な要求を職場で明確にしてたたかいます。

(2)ジェンダー平等、女性差別の根絶に向けて
 ジェンダー平等は喫緊の課題と位置づけ、全労連大会で採択される「ジェンダー平等宣言」の実践に踏み出します。
 賃上げ、労働時間短縮、非正規差別をなくすたたかいや最低賃金全国一律1500円の実現をめざすたたかいなど、すべてのたたかいをジェンダー平等の推進を図る視点から具体化します。また、各組織がジェンダー平等の推進を求める要求を明確にして運動を構築することが大切です。
 愛労連運動の中で実践していくために、まずは大会代議員の3分の1以上を女性にできるよう愛労連全体で努力します。

3.組合員の力を引き出し、要求運動と組織拡大の結合で組織の再生をはかる
 1)5万人の組合員に依拠した組織強化拡大へ、明確な方向と具体的なとりくみを現在策定を進めている組織強化拡大中期計画で示します。

 2)要求(運動)で組織化するスタイルの確立、要求の魅力と求心力で組織化する実践を積み重ねることを追求します。非正規格差是正もジェンダー平等の実現も当事者が声を上げることを重視し、「あなたも労働組合で一緒に」と運動の中で仲間を増やします。

 3)組合員が組合員を増やす必要性を感じられ、実践に踏み出すことを促すことが、労働者の組織化を図るうえで欠かせないことが明確になって来ています。特に役員がその気になって、組合員を組織するための方針と伴走型の支援の確立をめざす。

 4)単産と地域が上部団体を持たない未加盟労働組合への訪問・懇談をおこないます。春闘共闘でともにたたかう呼びかけや日常活動の悩みなどの相談から仲間づくりへとつなげるとりくみを具体化します。

4.要求実現が可能な政治への転換で要求実現を図る
 私たちの要求実現を阻むいまの政治を労働者本位に転換することが必要です。労働組合として掲げる要求や政策を政党にとどけ、実現を求めることなど、政党や国会議員、地方議員へのアプローチを強めていきます。
 憲法改悪をめぐり緊迫した情勢が想定されます。平和憲法をまもり二度と戦争する国へと逆戻りさせないたたかいに全力をあげます。
 政治の転換を求めるたたかいでも、組合員の参加と自覚を高めることを握って離さずに具体化を図ります。

Ⅱ 職場と地域で共同を広げ要求を実現しよう(具体的なとりくみ)

1.物価高騰とコロナ禍から労働者・国民のいのちと暮らし、権利を守る
(1)低賃金と物価高騰から生活を守るアクション
 低賃金と物価高騰から生活を守るために、7月から12月末まで期間で「低賃金と物価高騰から生活を守るアクション」にとりくみます。社会的なアクションと職場でのたたかいを結合させたとりくみを展開します。

 1)三つの賃上げをめざして
 ①公務員の大幅賃上げをめざす人勧闘争、②最低賃金の全国一律1500円の実現めざす最賃闘争、③物価高騰を上回る年末一時金や賃上げを求める3つの賃上げを闘争を一連一体にたたかい、2023国民春闘に向けた賃上げの流れをつくり出します。
 公務職場での最賃割れの是正、大幅な最低賃金引き上げ、年末一時金闘争では非正規労働者の「なくそうボーナスゼロキャンペーン」を要求提出とともに職場内外で展開します。

 2)消費税減税と年金引き上げ
 物価高騰から生活をまもる社会的なたたかいとして、①消費税の5%減税、②年金引き下げを許さず引き上げを求めるアクションを、地域総がかりで展開します。地域での幅広い共同闘争の体制をつくります。

 3)当事者が声を上げ仲間を増やす
 非正規労働者や女性、若者、高齢者など当事者の立ち上がりをすすめ、要求実現の運動をつうじて未組織労働者の組織化にもつなげる目標をもってとりくみます。

(2)コロナ禍に苦しむ人たちに寄り添い実態を可視化する
コロナ禍によって悪化した雇用情勢は持ち直し傾向にはありますが、2022年2月の有効求人倍率(愛知)は1.30倍でコロナ禍以前の状況を大きく下回っています。こうした雇用情勢の悪化が続く中で、国や自治体の支援策が尽きて利用できるものがなく、困窮状態に陥る労働者がいます。相談活動を強化し、労働者・国民のいのちと暮らし、権利をまもるたたかいを重視します。
 コロナ禍で生活困窮に直面した多くの人たちが緊急小口資金や総合支援資金制度を利用して暮らしをつないできましたが、2023年1月からその償還(返済)が始まります。償還に対する多くの不安がひろがっており、償還免除や償還延期を国に求めます。
 コロナ禍は、非正規雇用労働者がまさに雇用の調整弁であることを浮き彫りにしました。女性の雇用は一時、最大74万人が失われ、男性の倍以上に上りました。近年、人手不足を補う形で就業が進みましたが、新型コロナは女性が多く働く飲食業や小売業など対面型のサービスを直撃しました。常用労働は正規雇用があたりまえすることをめざします。
 行動自粛によって、労働組合の力の源である「集まって、話し合って、思いを共有し合うこと」ができない状況がエッセンシャルワークの現場を中心に続いています。しかし、zoomなどのリモート会議システムなどを活用して、自粛はしてもたたかいを萎縮させない工夫が今後も必要です。いのちと暮らし、権利を守るため、私たちはたたかいの歩みを止めることはできません。秋季年末闘争や来春闘を今年以上にたたかえるよう、夏季闘争の中でも工夫と経験を積み重ねます。

2.賃金と雇用、働く権利を守るたたかい
(1)すべての労働者の賃金引上げ
 物価高騰と収束が未だ見通せないコロナ禍のもとで、労働者の賃金底上げ、大幅賃上げが必要なことを明らかにして、政府と経営者の責任を追及します。大企業に対して「日本経済が困難な時こそ労働者・中小企業に還元を」と内部留保の活用を求めます。
 とりわけ、日本が四半世紀にもわたって実質賃金が上がらない国となっていることが国民的にも知られるようになっており、これに対する政府と財界の責任を追及するとりくみを強化します。

(2)エッセンシャルワーカープロジェクト、ワンオペなどのとりくみ
 10月以降の本実施に向けては、看護・介護・障害・保育・社会的養護分野は2月から9月のケア労働者の賃上げ事業を活用していない場合でも新たに申請・活用することが可能とされていますが、学童保育は明らかにされていません。臨時特例事業活用の有無にかかわらず利用できるよう求めます。8月、9月には使用者などに要求書を提出するなど出足早い準備を意思統一します。ベースアップの獲得のために、引き続き、プロジェクトチームで戦略を具体化します。
 またプロジェクトチームでは、保育現場の保育士配置基準が74年間変わらない問題、介護・福祉の現場では夜勤のワンオペで事故などが起きている問題など、ケア労働現場の体制不足の実態を共有してきました。自治労連と福保労では、保護者や経営者とともに「子どもたちにもう1人保育士を」実行委員会を立ち上げて配置基準の改善を求めて運動しています。福保労と医労連は介護・福祉職場の「なくせワンオ!ペプロジェクト」で夜勤の複数配置を求めてとりくみをすすめています。ケア労働者の大幅賃上げと大幅増員は両輪の課題であり、人員体制の改善を求める運動を強化していくために、プロジェクトチームで議論していきます。
 
(3)最低賃金の引上げ、全国一律最低賃金制度の確立
 1)全国一律最低賃金制度の確立、最低賃金1500円への引上げ
 最低賃金の地域間格差は、地方における労働力不足や地域経済の衰退の一因であるとされています。パ臨連が愛知県内の求人を調査したところ、静岡県に隣接する豊橋市は県内でもっとも低い時給求人であったことが明らかになりました。身近なところでも全国一律最賃制度の確立が急務になっています。
 「経済財政運営と改革の基本方針2022」では「景気や物価動向を踏まえ、地域間格差にも配慮しながら、できる限り早期に最低賃金の全国加重平均が1000円以上となることをめざし、引上げにとりくむ」としています。物価高騰で実質賃金が上がらない中で、非正規労働者の時間給引上げに直結する最賃引上げは待ったなしです。私たちの運動で今年1000円、そして1500円の実現をめざします。

 2)具体的なとりくみ
①.全国一律最低賃金制度の実現と時給1500円をめざす二つの署名に秋からとりくみます。多くの団体に署名の協力を呼びかけます。
②.全国一律最賃署名の紹介議員を地元国会議員に要請します。
③.全国一律最低賃金の実現を求める意見書を全国から集中するため、地方議会への請願・陳情にとりくみます。
④.最賃引上げの世論づくりのための街頭宣伝やSNS発信を強化します。
⑤.最低賃金生活体験にとりくみます。
⑥.愛知労働局および愛知地方最低賃金審議会での意見陳述と専門部会の公開をもとめ、署名提出・申し入れ・公益委員への要請、宣伝行動を行います。
⑦.愛知の最低賃金が1500円になった場合の経済的効果(21年7月愛労連発表)について学習し、対外的にも周知し世論を構築します。また、経済団体との懇談もすすめ、最低賃金引上げによる景気へのプラス効果について理解をひろげます。全労連が22年1月に発表した「最低賃金の改善、中小企業支援の拡充で地域経済の好循環を」(全国一律最賃で経済の好循環を求める提言)を学習します。
⑧.23年4月は愛知地方最低賃金審議会労働者代表委員の改選になります。愛労連からの推薦者の任命に向けて奮闘します。
⑨.最低賃金・公契約問題対策委員会を定期的に開催し具体的なとりくみを議論します。

(4)公契約適正化と公契約条例制定のとりくみ
 1)条例制定のプラス効果を確信にしてひろげる
①.自治体が民間企業に仕事を委託する際に取り結ぶ公契約で、労働報酬下限額を設定させ、良質な公務・公共サービスの提供に必要な適正な労働条件確保をめざします。
②.県内で広がった公契約条例が、すべての自治体で制定されることをめざします。春の自治体キャラバンで、公契約制定(賃金の下限設定を含む)がもたらす効果を訴えていきます。また、条例制定に向けたパブリックコメントが実施された時には、積極的に提出して意見反映させていきます。
③.8月8日(月)に実施する自治体担当者向け「公契約条例セミナー」を成功させます。
④.国による公契約法の制定をめざし、地方議会から国への「意見書」のとりくみをすすめます。
⑤.労務単価やトラック運送における標準運賃の告示など、すべての産業で公正取引の根本となる賃金の適正化につながるルールつくりをめざします。

(5)公務員賃金の引上げ
 1)公務員賃金の引上げを求めて
①.人事院勧告での諸要求前進めざし、中部ブロック国公や愛知公務共闘、自治労連などとともに人事院中部事務局に向けたとりくみをおこないます。
②.公務に関連する民間単産とともに名古屋市人事委員会への要請を行います。また、愛知県人事委員会へも同様に、愛知公務共闘とともに要請を行います。
③.賃金確定闘争と冬の一時金闘争を結んでたたかい、公務と民間が一体となった行動を展開します。
④.全労連公務部会が労働基本権に関する意識調査結果をまとめる討議資料を活用して、労働基本権回復に向けた職場での学習・討議をすすめます。ILOでは、87号条約および98号条約に関する日本案件の審査が継続されており、政府に行動計画の作成などを行うよう求めます。
⑤.公務員賃金の地域間格差の是正をめざし、全国一律最賃制度制定運動を重視します。
⑥.国家公務員の高卒初任給が最賃を下回らないよう大幅な引上げを求めます。
⑦.公務で働く非常勤職員(期間業務職員)や会計年度任用職員に、適用除外とされている労働契約法の無期転換ルールを適用させ、安定した雇用をめざします。

(6)非正規雇用労働者の格差是正と均等待遇の実現
 1)雇用の安定、働きやすい職場をめざすとりくみ
 コロナ禍において、改めて非正規労働者の無権利状態と低賃金、不安定雇用の実態が浮き彫りになりました。賃金・労働条件の向上に向け、弱い立場の非正規労働者の要求実現にむけてとりくみを強化します。「労働契約法」や「パート有期法」「社会保険適用拡大」などの学習をよびかけます。

 2)最賃闘争の強化
 中小企業・経営者団体との懇談や労働局交渉、宣伝・アピール行動などに参加します。最賃審議会での意見陳述、審議会傍聴・要請活動などのとりくみを強めます。
 最賃の引上げを活かした非正規の賃金引上げと、「最低生計費調査結果」をもとにした賃上げ闘争を旺盛に展開します。全国一律最賃制度制定運動に連帯します。
 官製ワーキングプアを加速する指定管理者制度の改善と廃止、公契約運動のとりくみを強化します。

 3)雇用年齢上限の拡大と定年延長・再雇用者の処遇改善
 高年齢雇用継続給付金制度は「2025年度に60歳に到達する人から給付率を15%→10%に引き下げる」事が決定しており、「その後段階的に廃止する」との方針が示されています。同一労働同一賃金の点だけでなく、「生活に必要な賃金・収入を確保する」点でも、再雇用者の処遇改善・賃金の底上げが急務になっています。

①.すでに定年延長になっているところも、特に正規労働者は「60才から賃金・処遇が下がる」制度になっている場合が多く、とりわけ職務や働き方の変更がない場合には「賃金・処遇を切り下げない」改善を求めます。
②.名古屋自動車学校事件の名古屋高裁判決(最高裁上告中)では、「基本給と賞与が定年退職時の60%を下回る程度は不合理」との判決が出ており(※職務の内容および変更範囲については争いがない)、再雇用者も職務の内容と変更範囲に違いが無ければ、少なくとも基本給と一時金のどちらも最低60%以上となる賃金・処遇を要求します。
③.高齢者雇用継続給付金の縮小・段階的廃止や、年金支給年齢の引き上げなど、制度改悪に反対しつつ、当面、60才以降の生活給確保と均等待遇の確立・年齢差別の解消に向けて要求します。

 4)職場でのとりくみと仲間増やし
 非正規労働者の権利や労働組合の存在や役割を知らせ、仲間づくりをすすめるため、レクリエーションや交流・しゃべり場、学習など職場・地域での活動を強化します。また、これらの活動に非正規労働者が主体的にとりくむことで、要求と運動の前進をめざします。
 元気の出る集会、非正規全国交流集会、総会など、パ臨連活動への参加を呼びかけ組織拡大につなげます。

(7)雇用を守り、長時間・過密労働、労災のない職場をめざして
 1)雇用と生活を守る
①.コロナ禍によってつくられたり拡大された貸付や融資制度の返済による経営破綻が危惧されています。また、原材料・燃料高騰により、飲食、建設、アパレル、食品卸、宿泊等の産業で経営破綻が続いています。リストラ・解雇、倒産・廃業を防ぎ、雇用と職場を守るとりくみを強化します。当面は維持される雇用調整助成金や政府の中小企業支援策を活用するほか、コロナ禍対応で実現させた特例措置の拡充を求めます。
②.雇用維持と休業手当支払、社会保険加入などの使用者の雇用責任を履行させます。雇用維持の労働政策としては、コロナ禍で問題が露呈した休業手当制度(労働基準法26条について最低基準の引上げや「平均賃金」計算方法の改善(労働基準法12条)、シフト制労働契約への規制を実現します。
③.雇用保険制度の加入義務の徹底、制度改正による適用範囲の拡大、給付日額の引上げ、公的職業教育訓練の拡充を政府に求めます。
④.解雇自由社会を狙う「解雇金銭解決制度」の創設が狙われています。政府や経済団体は、解雇された労働者のために紛争解決の選択肢を増やすと主張しますが、低額の労働契約解消金で乱暴な解雇が横行する社会をつくることになります。同制度の導入を阻止し、監督行政の強化、「整理解雇の4要件」の法制化、就労請求権の確立を求めます。
⑤.政府は、労働基準法24条の「賃金通貨払い原則」を改悪し、破綻時の資金確保や個人情報保護の仕組みの確立していない「資金移動業者」の口座への賃金支払を解禁しようとしています。労働者の生活安定をないがしろにし、資金移動業者の利益を優先する労基法改悪を阻止します。
⑥.コロナ禍は、多くの労働者を生活困窮に追い込みました。長期にわたる賃金抑制や非正規雇用労働者の増加、障がい者雇用促進法の不徹底や雇用率除外廃止の経過措置等が背景にあります。それらの対策と同時に、生活困窮に至った場合の救済策も問われています。様々な特例的給付や小口資金貸付制度が活用されましたが、生活自立に伴走して支援することの困難さも浮き彫りになりました。経済的支援、自立相談支援、就労支援、家計改善支援、居住支援、子どもの学習・生活支援、そして行政の「水際対策」で活用しにくくなっている生活保護制度の改善(基準と運用の改善)などを求め、政府に働きかけます。
⑦.世界から「現代の奴隷制度」と批判される外国人技能実習制度の廃止を求めると同時に、移住労働者の人権と労働者としての権利が守られる制度構築を政府に求めます。移住労働者には、言葉の問題等で手厚い保護が必要であることをふまえ、技能実習機構を名称を変更して移住労働者保護機構として残し、労働行政、自治体と連携して、受け入れから職業紹介、生活支援などを行うことや、悪質な雇用仲介業者の排除などの制度構築を政府に求めます。

 2)労働時間や働き方、職場の在り方を改善する
①.生活時間を取り戻すため、「時短運動」を展開します。事業所別のとりくみとして、36協定を活用し、時間外・休日労働の削減、勤務間インターバル制度(11時間)の導入、所定労働時間の短縮を、協定の締結条件として「7時間労働制」を広げます。加盟組織内で労働協約を広げ、地域的な拡張適用(労働組合法18条)の活用も視野に、法定労働時間の改善運動へと発展させます。
②.時間外労働・休日労働への規制が、適用猶予されている建設業、自動車運転者、医師(労働基準法139~141条)、適用除外されている研究開発職(同法36条11項)、公務労働者や災害対応労働者(同法33条)について改善を求めます。業種や事情の特性をふまえた法規制の例外をつくるのではなく、同じ人間として生体リズムを守るための一般的な労働時間規制を適用するよう、政府に求めます。
③.「みなし労働制(裁量労働)」の対象業務拡大や要件の緩和を阻止します。労働者が生体リズムと家族的責任を確保し、かつ柔軟に働くためには、労働時間管理責任を使用者に果たさせる労働時間規制が必要であることを、労使で確認し、政府にも認めさせます。あわせて、夜勤や変形労働時間制の規制の強化や、シフト制労働契約への法的規制の在り方を研究し、その実現を求めます。
④.ハラスメントによるメンタル不調を訴える労働者が増えています。労働組合の交渉によって、使用者の対応を改善させ、職場内・外(関係取引先や就活生等含む)のハラスメント根絶の仕組みを実現させます。併せて、現在のパワハラ・セクハラ防止措置義務の実効性の欠落を解消するようハラスメント禁止法の確立と行政対応の制度的改善を政府に求めます。メンタルに関する労災申請数は年々増加している一方、認定件数は僅かという実態があります。「業務起因の心理的負荷による精神障害」の認定基準を改善させるべく、命と健康を守る全国センターの「精神障害の労災認定基準の実効ある改善を」署名の推進にとりくみます。
⑤.労働安全衛生にかかわって、政府は化学物質管理を企業の「自律的管理にまかせる」方針を打ち出しています。現在は有害物質について国がリスク評価し、特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、粉塵障害防止規則等の対象物質に追加し、曝露防止措置を個別法令で定めていますが、それらは5年後に廃止し、自主管理任せにする方針を阻止します。あわせて、「死亡事故の後追い」と呼ばれる現行制度の改善を政府に実現を求めます。

 3)すべての争議解決をめざして
①.過労死事件、労災事故不認定事件、不当解雇、差別事件などへの支援を強めます。また、愛知争議団と協力して、全国の争議支援・連携を強化して争議を勝利させ、職場・地域から労働争議をなくす運動をすすめます。
②.愛労連として、日本アクリル工場閉鎖阻止闘争、JMITUオハラ樹脂スラップ訴訟、JALの不当解雇撤回闘争などを重点争議とし支援を強めます。

(8)春の自治体キャラバンのとりくみ
 2023年のキャラバンは、5月をめどに実施します。社会的な賃金闘争の愛知における具体化として、地域からの参加を重視し、例年の要望を中心に以下の項目でおこないます。①自治体で働く非正規職員や民間社会福祉施設労働者の賃上げをはじめ、休暇制度など正規職員との均等待遇をはかる。②公契約制度の適正化を図り、自治体関連事業で働く人の適正な賃金水準の確保を図る。③住民の暮らしを守り、安全安心の公務・公共サービスの充実を図る。また、全国一律最低賃金制と1500円への引き上げ、働くルールの確立などの意見書を国に提出してもらうことも重視してとりくみます。

(9)愛知県労働委員会の機能回復と労働者委員の公正任命
 1)第47期は必ず公正任命を
 愛知県は、労働委員会の労働者委員を1989年から現在まで、「連合愛知」に所属しない愛労連や中立組合を1度も任命してきませんでした。以前、労働委員会民主化会議が提訴した裁判において、名古屋地裁は、知事に対し「労働組合運動において運動方針を異とする潮流・系統が存在する以上、労働者委員の構成においても多様性を有することが望ましい」、「今後はより多くの労働者に支持させる合理的選択を」と是正を求めました。しかし、判決後も全く「偏向任命」が改められていません。本来、労働委員会は労働者・労働組合の救済機関であり、労働者の団結権を擁護することが役割です。17期34年続いた不公平な任命を正し、2023年12月の改選に向けて、労働者の実態に合わせた委員の構成(非正規労働者と女性の割合など)や「異なる潮流」を排除することない選任を求める運動を2023春闘期から開始します。

 2)労働委員会の民主化と機能回復を
 愛労委は救済機関としての役割を果たしておらず、申し立てをしている組合・争議団・弁護士などとともに労働委員会の民主化と機能回復をめざします。

(10)労働審判員の推薦について
 労働審判員は組織人員数に応じて配分されており、愛労連には1人が割り当てられています。今年4月に改選があり、愛労連の西尾美沙子議長が任命され1期2年を努めます。次期改選に向けて、労働審判員の選考の準備に入ります。

3.大企業の社会的責任を追及するたたかい
(1)トヨタ総行動のとりくみ
 トヨタはコロナ禍や半導体不足、原材料・燃料高においても過去最高益を更新しています。しかし下請工賃の引き下げを迫りいっそうの収奪強化をすすめています。また社内においても「トヨタイズム」に見られる、新たな労使協調(一体化)をすすめており、「トヨタのめざすもの」と地域経済や労働組合運動に与える影響について学ぶ場を持ちます。
 トヨタ総行動は、豊田市内などでの行動とともに大企業の社会的責任を追及する行動として本社が多く集まる名古屋駅周辺の大企業包囲行動と合わせておこないます。引き続き、トヨタ自動車と関連企業への要請行動を実施します。

(2)大企業の下請けいじめなどを規制するとりくみ
 大企業による単価引き下げなど下請けいじめを厳しく規制するとともに、最低賃金を引き上げる際の社会保険料の負担減免や各種助成など、中小企業における賃上げを本格的に支援することを求めます。
 また、国や自治体が結ぶ公契約に、地元の中小企業への優先発注、生活できる賃金など労働条件を定める法律や条例を制定し、受注企業の労働者の賃金を引き上げを求めます。

4.改憲策動と戦争をする国づくりは許さない、平和と民主主義を
(1)改憲を許さないたたかいを正面に据え、憲法を守り活かす政治の実現
 参議院選挙で自民、公明、維新、国民が93議席を確保し、改憲に前向きとされる勢力は無所属を含め177議席で3分の2を越えました。衆議院でも3分の2を超える議席を改憲勢力が占めていることから、改憲発議にむけた動きが強まります。岸田首相は、選挙後に改めて改憲への意欲を表明しています。
 さらに改憲勢力は、ロシアによる国連憲章違反のウクライナ侵略を利用して、自衛隊が他国の中枢までをも攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有を要求し、軍事費をGDP2%に引き上げるよう求めています。
 憲法9条に自衛隊に書き込むという自民党のねらいは、安保法制にもとづいて自衛隊がアメリカとともに戦争することを合法化するものです。憲法9条に自衛隊を書き込むことなどの改憲策動に反対し、憲法を生かし、平和と民主主義、人権、環境、暮らし・社会保障や教育の拡充を実現する政治を求めます。

(2)平和と民主主義を守る具体的なとりくみ
 1)憲法を暮らしと政治にいかす改憲NO!あいち総がかり行動
①.岸田政権の改憲策動を阻止し憲法をいのちと暮らしを守るために、労働組合や市民団体が集まる「憲法を暮らしと政治にいかす改憲NO!あいち総がかり行動」の行動に積極的に参加します。あいち総がかり行動が提起する毎月19日の街頭宣伝行動や集会・デモに積極的に参加します。
②.各地域でも「19日行動」がとりくまれています。開催日時や場所を各地域組織や単産に連絡するとともに参加を呼びかけます。地域組織と民主団体との共同を進め強化します。

 2)憲法と平和を守る愛知の会と土曜日宣伝
 毎週土曜日11時から12時まで栄メルサ北側で、「憲法と平和を守る愛知の会」と「憲法を暮らしと政治にいかす改憲NO!あいち総がかり行動」が共催で実施している宣伝行動を積極的にとりくみます。第2週は愛労連が担当し、第1週は市民団体、第3週は愛商連が担当、第4週は立憲野党の共同街頭宣伝行動で平和委員会が担当します。

 3)憲法改悪反対共同センターのとりくみ
 9条改憲NO!全国市民アクションが呼びかけている「改憲を許さない全国署名」をひきつづき積極的にとりくみます。愛知共同センターが毎月の9の日に12時から13時まで金山駅北口で実施する署名行動に参加します。

 4)法律家3団体との共同のとりくみ
①.岸田政権は、憲法審査会を足場に改憲を一気に進めようとしています。「改憲を許さない全国署名」を集める人、憲法を語る人、活動に関わる人を増やすための学習会を法律家3団体(自由法曹団、青年法律家協会、東海労働弁護団)と憲法改悪反対愛知共同センターですすめます。
②.毎月法律家3団体と愛知県内外の憲法を巡る情勢討論と意見交換をします。

5.消費税減税、社会保障と教育の拡充、国民の暮らしを守るたたかい
(1)社会保障拡充のたたかい
 1)社会保障と賃金を車の両輪で
①.社会保障闘争を賃金闘争とともに、車の両輪のごとく一体となったとりくみとして重視します。
②.愛知県社会保障推進協議会(愛知社保協)に結集し、社会保障の拡充をめざすとりくみを強化します。
③.単産の社会保障拡充のたたかいを積極的に支援します。医師・看護師の増員と介護労働者を含めた処遇改善、地域医療構想に伴う全国400以上の公立・公的医療機関等再編・統合阻止問題、保育・福祉職員の処遇改善、公的保育を守る運動、生活保護裁判、名古屋市厚生院を守る運動や緑市民病院の市大病院化問題、敬老パス・地域交通拡充のとりくみなど、社会保障改善のたたかいを共同してとりくみます。
④.社会保障拡充のための新たな署名、学習会や集会等のとりくみに積極的に参加します。
⑤. 物価高騰の中で高齢者の生活保障を守るたたかいとして、年金削減、年金引き下げ違憲訴訟及び公正判決を求める団体・個人署名や10月からの医療費75歳以上2倍化中止を重視してとりくみをすすめます。

 2)具体的なとりくみ
①.河村市長が選挙で公約した敬老パスの利用回数制限730回は、今年2月からスタートして、半年経った8月頃から影響が出始めます。「敬老パス・地域交通拡充の会」が提起した月1回の街頭署名宣伝活動を支援します。また、署名活動もとりくみます。
  7月21日(木)10:00~ 覚王山・日泰寺
  8月13日(土)10:00~ 八事・興正寺
②.社保協総会に参加し、愛労連のとりくみなどを意見反映させていきます。
  第42期定期総会 日時 9月4日(日)13:30~16:30
  場所 保険医協会伏見会議室
中央社保協総会  日時 8月3日(水)13:30~
場所 東京+オンライン開催
③.豊かな高齢期の実現をめざして第23回愛知高齢者大会に参加します。
  日時 12月15日(木)10:00~15:00
場所 名古屋市公会堂4階ホール他
④.年金引下げ違憲訴訟の不当判決に対して、名古屋高裁で控訴審がたたかわれており支援を強めます。
第3回控訴審 9月15日(木)14:30~ 終了後に報告集会
⑤.「福祉予算削るな、福祉を金もうけにするな愛知県民集会」を成功させます。
  日時 10月30日(日)午後
場所 未定、屋外集会が出来ないかを検討中。
⑥.社会保障学校に参加します。愛知は来年2月頃を予定しています。
第49回中央社会保障学校from千葉
日時 9月17日(土)13:00~18日(日)15:30
場所 千葉市文化センター(セミナー室)とオンライン
⑦. 地域医療構想で再編・統廃合を名指しを受けている病院・地域を中心に、県内の運動・組織化などの運動を構築していきます。
⑧. 生活保護裁判控訴審は、昨年の大阪地裁に続き、熊本地裁や東京地裁において、これまでの流れが変わり国の生保引き下げが違憲であると断罪されてきました。引き続き、生保基準引き下げ反対愛知連絡会に結集してたたかいをすすめます。

(2)秋の自治体キャラバン
 長年、自治体キャラバンを実施してきたことによって、国の社会保障連続改悪が強行される中でも、私たちの意見・要望を受け止め、地方自治体の努力によって住民の社会保障施策が着実に前進し、大きな役割・成果を上げています。今年も下記の日程で県内のすべての自治体を訪問して、医療・福祉・介護などの社会保障の拡充と、国や愛知県に意見書提出を求めて要請・懇談します。
 各単産・地域組織も当該自治体の懇談に参加します。また、平日の参加の要請のため、年金者組合への参加も呼びかけます。

 1)実施日程
日時 10月18日(火)~21日(金)
     愛知県(11月4日)・名古屋市(11月9日)で設定
具体的な日程は及び懇談場所は、各自治体と調整中

 2)団長・事務局長会議
日時 10月11日(火)18:30~20:30
場所 労働会館本館第4・5会議室

(3)消費税5%減税の実現、民主的な税制確立をめざして
 コロナ禍において、世界では91の国や地域が「付加価値税(消費税)」の減税を実施・検討しています。すべての国民に恩恵を行き渡らせようとすれば消費税を5%にすることが一番即効性にある施策になります。急激な物価高の今こそ政府は減税の決断をすべきであり、消費税やめさせる会に結集してとりくみをすすめます。
 零細事業者やフリーランスに多大な影響を与えるインボイス制度の中止を求めます。

(4)教育の拡充めざして
 1)子どもの学ぶ権利を保障
①.子どもの学ぶ権利を保障するため、小中高いずれも30人以下学級を早急に実現めざし、引き続き「教育全国署名」などにとりくみます。
②.物価高騰やコロナ危機のもと、給付奨学金の拡充、貸与奨学金をすべて無利子にすることとあわせて、大学の授業料を段階的に引下げることを求めます。
③.教職員の長時間労働を解消するために、持ち時間数の縮減、定数増など必要な条件整備及び早朝や業務後に押し付けられている部活動や補習等の見直しを求めます。また、教職員の長時間過密労働を覆い隠し、教員の多忙化解消にはつながらない「1年単位の変形労働時間制」の導入に反対します。
④.侵略戦争を美化し「愛国心」を押しつけ、企業に従属させる「人材育成」を進める安倍「教育再生」に反対する運動にとりくみます。子どもたちの豊かな成長をはかるとともに、主権者教育やジェンダー平等教育をすすめます。

 2)県立高校の統廃合より少人数学級こそ必要
①.愛知県教育委員会は、県立高校の再編将来構想を21年12月に発表しました。向こう15年間の再編構想としており、当面5校を俎上に上げ、統廃合を強引に進めようとしています。拙速な解決をすることなく、地元住民・高校関係者などの意見を十分に聞いて丁寧な対応を行うことを求めます。
②.県が4月に公表した「県立中高一貫校」設置に対して、発表から議論・設置計画までの期間がなく小学校教育への影響が心配などの声が上がるなど、拙速な導入を進める県の姿勢に道理はありません。「再編将来構想」全体の中で議論すべきです。少人数学級、教育条件整備等を柱に据える愛高教のとりくみを支援します。

6.原水爆禁止世界大会、「原発ゼロ・再稼働反対」のとりくみ
(1)核兵器禁止条約の批准をめざして
 「唯一の戦争被爆国日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准をもとめる請願」署名にとりくみます。県内35万筆を目標に、昨年5月に発足した「愛知県民の会」に結集し、署名の推進と条約批准を求める世論形成に努めます。

(2)原水爆禁止世界大会の成功を
 1)世界大会に100人の代表団派遣
 広島、長崎への原爆投下から77年目にあたる8月6日と9日を中心に「被爆者とともに核兵器のない平和で公正な世界を―人類の未来のために」をテーマに原水爆禁止2022年世界大会が3年ぶりに被爆地広島・長崎で開催されます。愛知県からはメイン大会となる広島大会(8月4日~6日)に100人規模の代表団の派遣が計画されています。参加の呼びかけに応え一人でも多くの参加者を送り出します。また、平行してオンラインでの参加も呼びかけられており、オンラインでも多くの参加を呼びかけます。核兵器禁止条約が発効してから1年以上、未だに批准に背を向ける岸田政権に対し、条約の批准にむけて歩みを進めさせるためにも世界大会を大きく成功させ、世論を大きくし批准を迫ります。

 2)若い世代への継承を
 被爆者の高齢化が進むように、これまで核廃絶の運動にとりくんできた人々の高齢化も進んでいます。核兵器のない平和な世界の実現にむけて、これまでの運動の経験を若い世代へ継承させることが求められます。
 学習なども必要ですが、3年ぶりに被爆地で開催される世界大会へ若い世代を参加させ、現在の核兵器を巡る情勢や核廃絶への思いなどを体感することが有効です。一人でも多くの青年の送り出しを呼びかけます。

(3)「原発ゼロ・再稼働反対」のとりくみ
 原発の再稼働、小型モジュール炉など原発の新増設に反対します。地域経済の活性化とあわせて地域分散型の再生可能エネルギーの確立をめざします。福島原発事故によるアルプス処理汚染水の海洋放出に反対します。真の福島復興にむけて被害者に寄り添った施策を求めます。

7.国民的要求の実現へ共同ひろげて
(1)消費者大会
 消費者(市民)の権利、社会保障の拡充、福祉、税金、環境、仕事と街づくりなど、暮らしを守り、消費者(市民)の権利拡大と実現にむけての学習・交流、アピールの場として役割を担い、情勢に見合った共同行動などを提起していきます。労働組合も一消費者という立場から、とりくみを継続していきます。
 第53回愛知県消費者大会を成功させます。実行委員会に参加し、7月から開催する多彩な内容の講座に参加をよびかけます。

(2)愛知食農健・農産物市場開放反対のたたかい
 日本の食糧・農業・健康を考える愛知の会(愛知食農健)に結集して、国連の「家族農業の10年」と「農民の権利宣言」を力に、持続可能な地域社会、地域農業を大切にする農政への転換と、食糧自給率の向上を求め、安全で安心な食糧の確保等の活動を応援します。毎月イオン金山店前で実施される宣伝行動に参加します。

(3)国際人権活動愛知連絡会、国民救援会等の活動など
 1)国際人権活動愛知連絡会のとりくみ
①.日本は、差別(女性・LGBT、人種、少数民族など)、死刑制度、女性や子どもの性的搾取や人身取引などの人権意識に低く、世界とのギャップが大きいままです。日本と世界の人権尊重に資することを目的として活動している愛知連絡会に結集し、労組内に影響を与えるようにとりくみをすすめます。
②.具体的には、年3回程度の学習会(8月、12月は総会と兼ねます、5月)などの企画に参加します。
 具体化された学習会
日時 8月27日(土)10:00~11:30
場所 労働会館本館会議室
講演 「なぜ始まり いつ終わる ウクライナ侵攻」
講師 加藤悠史さん(名古屋北法律事務所所属・自由法曹団事務局長)

 2)国民救援会のとりくみ
①.国民救援会愛知県本部は、労働組合や労働者に対する弾圧事件や冤(えん)罪事件、労働事件など幅広く支援する活動を繰り広げています。引き続き国民救援会を支援していきます。
②.各種首長選挙等における弾圧を許さず、選挙・宣伝活動の自由を求める活動に参加します。

(4)公共交通を考えるあいちJR懇談会のとりくみ
 JRはコロナ過で利益が大幅に減収する中でもリニア新幹線の建設を押し進めています。トンネル工事などで事故も起きています。一方で、在来線の本数を減らし駅の無人化も進めています。これらが強行されるならば国民が自由に移動する権利「交通権」が損なわれます。
 JR東海の会が取りくむ「JR利用者アンケート」に建交労や国労と一緒にとりくみます。またJR沿線の各地域組織の組合員やその家族にもよびかけます。アンケート結果に基づき中部運輸局とJR本社に懇談を申入れます。またアンケート結果についてはマスコミなどにも広く知らせます。とりわけ中央線鶴舞駅北側のエレベーター設置や、金山駅中央線下り線のホームドア早期設置をJRに求めます。

8.市民と野党の共闘で政治の転換、住民本位の地方自治をめざすとりくみ
(1)市民と野党の共闘発展で要求を実現できる政治を
①.軍事費倍増の大軍拡と敵基地攻撃力の保有、憲法9条をはじめとする改憲発議を狙い、くらし破壊を進める岸田政権を打倒するため、早期解散を求める国民世論の構築をめざします。
②.2023年春の一斉地方選挙をはじめとする首長や地方議会議員の選挙においても、労働者の要求実現の立場から組合員の投票行動を呼びかけます。また、首長選挙などで市民と野党の統一候補の確立をめざすなど、市民と野党の共闘の継続発展、強化に努力します。

(2)愛知県政の革新めざして
①.2023年2月に行われる県知事選挙に向け、革新県政の会の方針に沿ってとりくみをすすめます。
 革新県政の会 団体・地域代表者会議
日 時  8月2日(火)午後6時半から
会 場  労働会館東館ホール(名古屋市熱田区沢下町9-7)
議 題  愛知県知事選挙にむけたとりくみについて
     2023年愛知県知事選挙「基本政策・素案」について
     その他
②.来年度予算要求の懇談などを11月頃におこない、県民要求の実現をめざします。政策委員会に参加し、労働者の要求を反映していきます。

Ⅲ 組織強化・拡大で要求を実現できる労働組合をめざして

1.10万人愛労連の建設をめざし、10人に1人の組合員が仲間増やしに参加する
(1)年間5万人との対話を繰り広げ、5000人の拡大を
 1)目標を達成するには10倍の対話が必要
 愛労連の拡大目標は5000人です。愛労連組合員総数5万人の1割にあたります。組織拡大の要は、「対話」です。「労働組合に入ろう!」と声を掛けてこそ組合員は増えます。「10人に声をかければ1人は入ってくれる」「1人の人に10回声をかければ…」「10人から声をかければ…」など、試され済の経験です。
 これまで「5万人対話運動」を提起してきました。毎月の拡大数については、ほとんどの単産が報告されるようになり、進捗状況を把握できるようになっています。しかし、対話の集約については、『対話』数を把握する仕組みが確立しておらず、事務局も提起できずじまいになりました。「増やして減らさない」ために、しゃべり場や退勤時でのとりくみ、要求討議など、『対話』行動の計画の提起と、『対話』行動のとりくみの集約方法など、組織拡大推進委員会でも協議し推進体制を確立していきます。

(2)組織拡大総がかり作戦の推進
①.全労連の未組織労働者の組織化方針「総がかり作戦」は単産と地域が一体となって未組織労働者の組織化の運動にとりくんできました。21年8月末のきずなの総がかり作戦のしめくくりから、新たな「総がかり作戦」のエントリーを検討します。
②.50代になって将来への不安や、体力が落ちていくなかで60歳以降も働き続けなければならない不安など、50代以降の組合員の生活や意識実態調査にとりくみ、要求を政策化していきます。
③.年金引下げと社会保障の負担増によって、生活のために働き続けなければならない高齢者が増えています。定年後の退職組合員が人間らしく豊かな高齢期を過ごすこと、その人らしく地域の仲間といっしょに住み慣れた地域でのお互いの趣味やスポーツなど親睦と交流、文化的な活動やボランティア活動など年金者組合の魅力を伝え、退職者の年金者組合加入をバックアップします。単組から年金者組合加入がスムーズにすすむよう、「ようこそ年金者組合へ」キャンペーン(仮称)のとりくみを議論し、推進していきます。
④.過酷な長時間労働で教員のなり手がなく、いっそう教員の労働強化がすすんでいます。「パワハラ」「セクハラ」「賃金未払い」「過酷な長時間勤務」「不当な人事異動」などで困っている愛知県の教員と職員へアプローチできないか検討していきます。
⑤.7月の全労連定期大会で「未組織労働者の組織化方針」が提起の予定です。未組織労働者の要求に寄り添い、要求を前進させるために、地域・産別の個人加盟の組合員拡大をすすめます。

(3)ゆにおんキャンプ(ゆにきゃん)
ユニオンキャンプは、要求を実現するための戦略の組み立て、仲間を増やしながら要求目標を実現していく力をつけるコミュニティー・オーガナイジングの手法を取り入れたワークショップです。目標を実現していく過程をワークショップを通じて体験しリーダーシップの技術を身につけていきます。大阪府職労の「保健師・職員増やせキャンペーン」の先進事例に学び、単産・単組・支部・分会、地域で複数受講し、数年かけて100名の受講をめざし、リーダーの集団的育成を図ります。
2023年度ゆにきゃん実施計画(5回)
2022年10月23日(日)、11月19日(土)
2023年2月18日(土)、4月23日(日)、5月20日(土)
時間 午前9時~午後6時終了予定
参加費 無料
参加申し込み 愛労連まで(先着順)

(4)共済を組織の強化拡大にいかして
 1)コロナ禍だからこそ「三方良し」の共済をひろげよう
①.組織拡大とともに共済拡大をすすめます。共済は、安い掛金・高い給付で組合員に「良し」。事務手数料が払われ組合財政の助けになるので組合にも「良し」。仲間が増えれば助けあいのネットワークは益々強化され全国の仲間にも「良し」。「三方良し」の共済をひろげることは組合員の大きなメリットになり、労働組合を強化します。
②.民間生損保はマイナス金利政策や相次ぐ大規模自然災害により、とりわけ損保においては、火災、傷害、自動車などの値上げが相次いでいます。この間の自然災害により、今後も大幅な値上げが続きます。賃金ダウンや税・社会保障の負担増があいつぐもとで、高価な民間保険ではなく組合員の助けあいである共済をひろげ、生活改善につなげます。
③.コロナに感染しても共済があれば安心と、加入者がひろがっています。労働組合だからこそできる助けあいとして、さらに広げます。
④.共済活動は、加入申請や事故があった際の給付などをとおして組合員との結びつきを強め、組織強化にもつながります。組合費を高いと感じ脱退する仲間がいますが、安価な共済をメリットとして実感している組合員が脱退しないことは試され済の法則です。こうした点からも個人加入共済の拡大を重視します。
⑤.老後の生活不安がひろがる中で年金共済への注目がひろがっています。現役にも退職者にもひろげます。
⑥.全労連共済の年金共済は、全教以外はどの単産でも利用でき、金融庁が老後の生活は年金では足らず2,000万円が不足するとしてキャンペーンを張ろうとしたNISAやiDeCoと比べても、元本割れの心配がなく安心かつ有利に将来に備えられる自慢の制度です。現役労働者だけでなく退職者でも有利に利用できる制度です。組合員本人しか利用することはできないことから、長期にわたって組合員であることのメリットとなり、退職者も引き続き組合に残ってもらうことで利用できる制度です。労働組合だからこそできる助けあいとして加入者を増やします。
⑦.全労連共済の労働組合活動事故見舞共済は、掛金は安価ですが組合活動中の事故に対して充実した給付があります。すべての単産(単組・支部・分会まで)、地域労連の役員が加入することをめざし、仲間の助けあいを強化します。また、0.1口(1円)から加入できるので、可能な組織では全組合員の加入をすすめます。
⑧.全労連共済の方針にもとづいて、他の自主共済を守る運動と連帯し、自主共済活動に対する規制とたたかいます。
⑨. 愛知共済会主催のハゼ釣り大会(10月2日冨具崎漁港・知多半島)、11月に行われる共済学校を成功させます。

(5)雇用と暮らしを守る労働相談活動の強化
①.愛労連の労働相談センターは、コロナ禍の雇用悪化から、注目を浴びています。愛労連のとりくみが新聞・テレビで度々報道され「愛労連」の名前が県民に知られてきています。相談者はホームページからが多く、また行政機関から紹介を受けての相談もあり、継続した「労働相談センター」の相談体制に引き続き努めていきます。
②.2カ月ごとの労働相談全体会(関係単産も含め)を開催し、情報を共有化しながら、学習など行い専門知識を身につけます。全国一斉ホットラインも状況に応じて実施します。
③.ハラスメント相談が増加しており、やっとの思いを相談員に話し、「相談できてよかった」と感謝されています。相談者に共感する姿勢で相談体制に努めていきます。相談者の「権利を勝ち取るためには労働組合に加入して一緒にがんばりましょう」と声をかけ、関係単産とも連携し組織化を進めます。

(6)中立労組との共同
 中立労組のうちで愛労連加盟をアプローチする対象組織を明確化し単産・地域と協議して調査や訪問行動などにとりくみます。

2.日常活動を重視し、役員の育成、組合員教育の推進、宣伝活動の強化
(1)職場活動を基礎にした要求実現のとりくみを強化する
 職場を改善するとりくみなど、身近な要求実現のとりくみを大切にします。事務用品が不足している、ロッカーが壊れているなど、職場の「グチ、不満」から要求づくりは始まります。こうした職場の声を集め労働組合から所属長・使用者に改善を求めれば、解決できることは決して少なくありません。小さなことでもこうした積み重ねは、組合員の労働組合に対する信頼を高めていきます。職場の不満を集めて要求を練り上げる、要求書を作成し提出する、団体交渉をとおして要求を実現する活動を職場から強化します。

(2)職場でも地域でも労働組合の見える化キャンペーン
 組合員は、労働組合や役員のことを見ています。職場で組合員の悩みや困難に寄り添うこと、労働組合がとりくんでいる要求と運動を職場の組合員の目に見えるようにし、「いっしょにやろう」と参加を呼びかけること、とりくみの結果を機関紙やニュースで知らせることなど、労働組合の見える化を重視します。
 自治労連の豊橋市職労が長年にわたって継続している機関紙「あしなみ」の出勤時配布(週2回)や医労連が退勤時に行っている退勤時行動など、要求と労働組合の見える化を強化するキャンペーンを展開します。また、SNSを活用した見える化も重視します。

(3)学習教育活動の強化
 1)わくわく講座
①.わくわく講座は3年目くらいの組合員が労働組合の必要性や組織拡大の必要性などを自らの言葉で話せるようになり、組織拡大の担い手となれるよう、組織拡大の一環としての受講を呼びかけます。すべての受講生が修了出来るようにスクーリング、激励会などを開催し、受講生が仲間とともに楽しく学べるように支援します。受講申し込み期限の10月末まで受講を呼びかけます。
②.スクーリングや、閉講式を開催し修了を支援します。
 2022わくわく講座スクーリング①
  日程 2022年9月10日(土)午後
  場所 労働会館本館2階会議室
  講師 愛知県医労連 矢野彩子書記長、福保労東海地本 西田知也書記長
  内容 わくわく講座テキスト第3章に沿ったものを検討中
  参加費 無料。受講生以外も参加できます。
③.今年度も激励会などの実施が困難な場合は、昨年もおこなったような受講生の学習を促すため、書籍の進呈などをおこないます。
④.わくわく講座のとりくみの具体化を愛知学習教育委員会で愛労連加盟組合と愛知学習協との共同ですすめます。

 2)労働学校・勤通大・学習の友のとりくみ
①.わくわく講座や組合内での学習に加え、外部の学習機会を利用することで視野が広がり、新たな発見も出来ます。わくわく講座の次のステップ、また日常学習の推進としてよびかけます。
②.労働学校は123期が7月に開校し、保育講座と「資本論」入門講座の2講座がおこなわれます。
・保育講座 7月29日(金)から
・「資本論」入門講座(大木ゼミ) 7月23日(土)から
・第1回「貧困・憲法・安保」特別講座
 9月13日(火)、10月11日(火)、11月8日(火)の全3回
③.勤通大(勤労者通信大学)は今年度、入門コース、基礎理論コース、労組コースの3コースが受講できます。わくわく講座の修了者には労組コースを推奨します。募集は9月まで続けられます。
④.学習の友は労働組合活動や労働者を取り巻く情勢について手軽に学ぶことができます。3ヶ月間無料のお試しキャンペーンを利用して会議の前に15分間の読み合わせするなど、活用をすすめます。単産・地域組織の会議の中での読み合わせなど気軽な学習のとりくみを呼びかけます。

 3)愛労連次世代育成セミナー(仮称)の開催
 今後の愛労連運動を担う若手幹部育成のためのセミナーです。昨年度、開催する計画でしたが、準備が遅れています。年内に開催できるよう準備を進めます。

(4)読まれる待たれる愛労連新聞と愛労連ニュースをめざして
 組合員を対象とした情報提供・教宣資料として、愛労連新聞は大きな役割を果たしています。これまで以上に読みやすく親しまれるものとなるように、内容や形態の検討を組織強化拡大新3カ年計画策定の中ですすめます。
 愛労連ニュースは、引き続き速報性と見やすさを重視して発行します。

(5)SNSを重視した情報発信の強化
 1)労働組合の見える化を重視して
 インターネットやSNSを活用した情報発信は重要性を増しています。この間強化してきたTwitterをはじめ、FacebookなどそのほかのSNSでも活用し、発信量を増やします。効果的な情報発信の研究をすすめます。

 2)第27回機関紙宣伝学校を組織拡大につなげる
 「第27回機関紙宣伝学校・秋」(11月5日)、「同・冬」(2023年2月23日)(仮称)を開催します。各労働組合で機関紙活動の現状をつかむなどして、多くの組合(単組・支部・分会)で機関紙・ニュースの発行の基礎、SNSでの情報発信ができるように学びます。

3.地域組織の活動援助と活性化めざして
(1)地域で要求実現の運動をひろげることと地域組織の強化
 1)組織強化・拡大と地域運動強化をめざす地域運動交流集会の開催
 毎日の労働相談やコロナ災害を乗り越える電話相談会に寄せられる問題は、「労働組合があれば…」「労働組合で交渉すれば…」解決できる相談は少なくありません。労働者全体の労働条件を向上させていくには、地域を舞台に要求実現の運動をすすめること、地域で未組織労働者の組織化をすすめることが必要です。
 そのためには、職場(単産)から地域組織への役員を送り出すことが必要ですが、職場(単産)も仕事の多忙化と担い手不足のもとで困難を抱えています。地域組織と単産が協力して地域で仲間を増やすとりくみをすすめるにはどうしたらいいのか学び考え合う場として「組織強化・拡大と地域運動強化をめざす地域運動交流集会」を開催します。
日時 11月6日(日)10:00~16:30
場所 労働会館東館ホール+本館会議室
内容 講演、各地域組織からの報告と分散会など

 2)地域で共同を広げる
①.地域には、新婦人や民商などの民主団体があり、お互いに連携を取りながら行政交渉、平和行進、地域革新懇、○○まつりなどの地域要求に基づく運動を繰り広げています。地域組織もその一員として共同のとりくみを発展させます。
②.来年2月の愛知県知事選挙勝利に向け、地域革新県政の会の再開・再建をめざします。

 3)地域で争議を支える
 争議一覧表(資料集)にもあるように、単産・地域が解雇・雇止め、パワハラなどとたたかっています。当該企業にとって、地域で運動を広げられることは大変な苦痛です。争議をたたかう仲間を地域で支えます。

 4)地域で未組織労働者の組織化
①.地域の新婦人や民商などの民主団体に労働組合加入対象者の紹介を呼びかけます。
②.県内各地の結成された介護ケアユニオンの活動などを積極的に支援します。

 5)地域総行動のとりくみ
①.秋季年末闘争や春闘の前段の11月と2月に地域総行動をとりくみます。
②.配布するチラシは、物価上昇やコロナ禍から市民の生活といのちを守るため、奮闘する各単産・地域組織の様子を紹介し「愛労連の紹介」を前面に押し出した宣伝物にします。また、宣伝行動は駅頭配布を中心におこないますが、地域によってはまだまだコロナ禍でためらい難しいこともあり各戸配布も行います。
③.地域総行動を労働組合独自の行動とせず、地域の民主団体と共同でとりくむことをめざします。地域総行動をとりくむ前に地域の諸団体で要求交流会などを開催して駅頭宣伝や行政への申し入れなども共同でとりくむことをめざします。
  
 6)地域組織の強化・発展のために
①.役員の担い手がなく活動が困難な地域組織や、解散・消滅した地域組織もあります。地域運動を強化するにはどうしたらいいのか議論を進め、地域組織の合併・再編も視野に関係組織との協議をすすめます。
②.東京などの遠方にいかなくてもZOOM会議やYouTube配信で、講演や意見交換など集会・会議もあります。しかし、地域の中では、お互いの様子がわかり合えるリアルに集まる交流を含めた会議をめざします。

4.補助組織・部会などの活動
(1)女性協議会
 1)憲法を守りいかして、平和・民主主義を守るとりくみ
 憲法改悪に反対し、憲法を守り暮らしに生かすとりくみを進めます。憲法と平和を守る愛知の会宣伝行動に参加をよびかけ、女性協として連帯して参加をする日程を具体化します。(秋頃を予定)

 2)女性も男性も仕事と生活を両立させ人間らしく働くルールの確立
 雇用における男女平等実現、母性保護の権利拡充、男女賃金格差是正にとりくみます。「女性労働者が仕事と生活を両立させて男女平等にはたらき続けるための施策の拡充と指導の強化を求める要求書」を愛知労働局へ提出し、要請・懇談を行います。

 3)女性の地位向上のとりくみ
 真の「女性活躍」「少子化対策」実現のため、「男女平等(共同参画)施策の拡充」をすすめます。2022年4月から段階的に施行される「育児・介護休業法改正」を学習し、周知・宣伝をおこない、権利行使を促します。

 4)安心してくらせる社会の実現
 医療・福祉制度の拡充、消費税減税、軍事費削減等、いのちと暮らしを守るとりくみを行います。各種学習会・要請行動へ参加し、署名活動に連帯します。

 5)子どもと教育、保育制度を守るとりくみ
 貧困と格差から子どもを守り、保育・教育環境の向上をめざします。

 6)政治革新・地方政治の革新をめざします。
 女性の要求実現をすすめる政治への転換を求めます。投票権を行使するようよびかけます。

 7)女性組織の確立・強化、すべての女性との対話と共同を広げます
 職場を基礎に、単産・地域女性組織強化、確立にとりくみます。中央・地方の母親大会、はたらく女性の集会、国際女性デー、新春のつどいなどの成功をめざします。オンライン開催も併用し、女性が参加しやすい環境を整え、組織強化に繋げます。

 8)女性協活動の今後の発展にむけて
 女性協幹事は、みな楽しく仲良く元気よく前向きに活動を続けていますが、今の元気な幹事に続く役員が増えていないのが各組織の悩みです。労働環境の悪化、社会情勢の変化にジェンダー平等が追いついていないなど様々な理由が考えられ、労働組合活動に参加する時間・余裕がない、という声を多く聞きます。職場環境・労働環境改善の社会運動をさらに大きく発展させていく必要がありますが、社会全体での長時間労働の廃止、男女問わず意識の改革など時間のかかる問題が山積しています。
 広域な社会運動と平行して、身近な学習会・交流会などを大切にし、お互いに助け合える小さなことを見つけ、少しずつでも改善する成功体験を共有する事が、組織拡大・強化につながります。また、家事労働に関するアンケートを実施し、組合員から、ジェンダー問題への意識改革をおこなっていき、活動参加へとつなげていきます。

(2)青年協議会
 1)青年協第33回定期総会の成功めざして
 11月ごろの青年協総会を成功させます。総会での役員の拡大に向け、交流などで青年協活動の意義を広めます。次期役員の増加めざしてとりくみをすすめます。青年協総会の前段として代表委員会を10月ごろに開催します。

 2)東海北陸ブロック第29回サマーセミナーで他県・他業種の青年と交流
 他県・他業種の青年との交流と学習で新たな刺激を受け、自身の成長から労働組合活動への意識を深めます。青年協が愛知実行委員会の中心、そしてブロック実行委員会でも大きな役割を果たします。
 2022年の第29回サマーセミナーin石川は、新型コロナの影響でオンラインでの開催となりました。昨年のオンラインでの「プレサマセミ@オンライン交流会」やこれまで青年協として数回おこなってきたオンライン交流会の経験を活かし、ブロック全体での青年の交流を成功させ、青年活動の活性化を図ります。
第29回サマーセミナー石川@オンライン(仮称)
 日時 9月24日(土)~25日(日) 
 会場 リモート開催(ZOOMミーティング使用)

 3)青年の抱える問題に青年らしくアプローチ
 交流を通じて最賃をはじめ、働き方など青年を取り巻く諸問題に対してのとりくみを進めます。運動をすすめるうえで仲間の存在は欠かせません。交流を通じて多くのつながりを作り、運動につなげます。
 青年協主催での交流会を夏頃開催します。

 4)県内の諸団体と共同
 県内の青年団体と共同で青年に関する様々な分野のとりくみを進めます。
青年ネットAICHI学習会
 日時:8月ごろの予定

 5)愛知県知事選挙で青年の政治参画を
 2023年2月ごろに愛知県知事選挙がおこなわれます。知事選挙に際して、県内の労働組合や民主団体の青年とともに運動をすすめます。青年の要求実現に向けて、要求の掘り起こしとともに、青年層の政治への関心を喚起し、投票率の向上も目的としてとりくみをすすめます。

(3)パート・臨時労組連絡会
 1)「パート・臨時・非常勤などの元気の出る集会」の開催
 「元気の出る集会」を毎年秋に開催することで、非正規労働者当事者に参加してもらい、実態や要求をつかみ、処遇改善や要求実現に繋げます

 2)全国一律最低賃金をめざして
 真の「同一労働・同一賃金、均等待遇の実現、最低賃金を1500円以上に引上げるため、署名や宣伝などにとりくみ、全国一律最賃制を求めていきます。最賃ビックアクション宣伝への参加を広く呼びかけます。

 3)社会保険適用拡大にむけて
 10月からはじまる社会保険適用の範囲拡大について、対象者への呼びかけ、制度周知をおこないます。一人一人条件が異なるため、個別に相談に乗り寄り添うことで、労働組合の良さを知ってもらい、組織化につなげます。

 4)パート・臨時労組連絡会の今後のあり方
 全労働者に占める非正規労働者率は、年々増えており4割に迫っています。非正規労働者の抜本的な処遇改善には、非正規労働者が大きく結集し、政治や行政、経済団体などへの働きかけなど、組織と運動の強化が必要です。各組織の非正規の組織化実態調査を実施し、各組織単位での非正規組織化強化を呼びかけ、パ臨連活動の活性化をめざします。

 5)非正規ではたらくなかまの全国交流集会への参加
 非正規ではたらくなかまの全国交流集会へパ臨連幹事が参加することで、全国のなかまの活動を学び交流し、愛知パ臨連活動へ活かします。

(4)民間部会
 1)民間企業労働者の要求前進へ
 民間部会は、民間企業で働らく者の労働と生活実態に根ざした要求をもとに共同を広げ、要求と組織の前進を図ります。

 2)中立労組への情報発信
 これまで実施してきた中立労組訪問で、訪問を受け入れてくれた労組はそれぞれ職場活動に行き詰まりを感じており、外部からの情報を求めています。ニーズに合った学習会の開催や情報発信に知恵を絞ります。

 3)中小企業家との共同
 中小企業の経営安定と労働者の生活の安定を目指す愛知中小企業家同友会との懇談会は、最低賃金引き上げと中小企業支援、コロナ禍で起きた諸問題について、日程調整を行い開催します。

(5)交運部会
 1)安全が担保できる公共交通運輸の確立
 愛労連交通運輸部会は「交通運輸労働者の労働と生活実態に根ざした要求をもとに、広範な国民・労組・民主団体との共同を広げ、労働者・国民の立場に立った交通運輸のあり方をめざし」活動をすすめます。特に、安全無視の規制緩和の推進に反対し、安全が担保できる公共交通運輸の確立をめざします。

 2)タクシー業界の再生を重点
 コロナ禍により、深刻な影響を受けているタクシー業界を重点業種として、関係企業と労働者の再生・延命措置の拡充に向け、幅広い共闘による共同行動を進めていきます。

 3)トラック業界での人手不足が解消
 トラック業界での人手不足が解消できない状況が続く中、「交通労働者の低賃金構造の打開」「超長時間労働の是正にむけた『自動車運転手のための改善基準告示』の改正」「海上コンテナの安全な輸送に関する法整備」を重視したとりくみをすすめるとともに、日米軍事同盟強化にむけた安保法制(戦争法)の廃止、9条改憲NO!のとりくみを強化します。

 4)具体的なとりくみ
 具体的行動として、春闘時の「自動車デモ」の実施、政策闘争としての「行政機関への交通政策要求」、「JAL不当解雇事件」の早期解決に向けた支援の強化等交通運輸分野の争議支援、交運共闘など交通大産別組織との共同の取組みを重視していきます。

5.文化・スポーツ活動のとりくみ
(1)補助金の活用で他の組織と交流
 文化・体育事業補助金を活用し、単産・地域の枠を超えた組合員同士の親睦交流を広げます。

(2)福利厚生事業
 毎回好評の名古屋港水族館入場券のあっせんを春と夏に実施します。

Ⅳ 主な日程

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