愛知県労委の民主化を求める連絡会議
代表委員 知崎 広二(愛労連議長)
11月29日、愛知県は第45期愛知県労働委員会委員の名簿を発表した。今回もまた7人の労働者委員全員が「連合愛知」独占で、「連合」に所属しない愛知県労働組合総連合(愛労連)などを排除した。1999年5月の名古屋地裁判決では「労働組合運動において運動方針を異とする潮流・系統が存在する以上、労働者委員の構成においては多様性を有することが望ましい」、「今後はより多くの労働者に支持される合理的選択を」と是正を求めた。その指摘を受けて以降、全国で「連合」独占が改められ、現在では中央と11都道府県(北海道・宮城・長野・東京・埼玉・千葉・神奈川・京都・大阪・和歌山・高知)で非連合の委員が選ばれている。しかしながら、愛知で旧態然たる「世襲制」が続いていることは偏向行政であると糾弾されなければならない。
現在、非正規労働者が労働者全体の約4割を占め、若者や女性ではおよそ半数が非正規労働者である。大学生・高校生の間では、若者の希望を奪い去るような「ブラックバイト」が社会問題化している。また、近年労働組合の存在を否定する不当労働行為も頻発している。愛労連に所属する第一交通労組が不当労働行為の救済を申し立てしたが、2018年10月に棄却された。県労委は、組合が申し立てた不当労働行為の各事実を外形的事実として認めながら、組合側の主張と会社側の主張を並列し、不当労働行為の疎明がないものとして申し立てを退けた。不当労働行為の申し立てに対して、会社側が否定して争うのは当たり前で、県労委は、準司法機関として対立する証拠のどちらかをなぜ信用できないのか明らかにしなければならない。
また、今回の県労委任命においても、公益委員の中に労働法学者や労使問題を専門とする委員が不在であり、労働者の救済機関としての役割を放棄していると言わざるを得ない。
労働者が労働組合をつくり活動すること、使用者は干渉や正当な団体交渉を拒否することが出来ないことは労組法で定めるもっとも基本的な権利である。労働委員会は労働者・労働組合の救済機関であり、労働者の団結権を擁護することが大きな役割であるが、「異なる潮流」を排除することは、そこに団結する労働者を切り捨てることにほかならない。
このような偏向任命は公正であるべき行政を大きくゆがめ、労働委員会の機能をそこなう自殺行為である。私達はこの偏向任命に強く抗議し、撤回を求めるものである。
以上