【声明】「あいちトリエンナーレ2019」「表現の不自由展・その後」の中止に抗議し、早期再開を求める

2019年8月7日
愛知県労働組合総連合幹事会

 8月1日から開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が、わずか3日で中止に追い込まれた。ここに展示されているのは、日本で過去に何かしらの理由で展示ができなくなってしまった16組の作品とされている。中止の理由は、従軍慰安婦をモチーフにした「平和の少女像」や昭和天皇をテーマにした作品に対して、「ガソリン携行缶を持って行く」というテロ予告や脅迫などが殺到し、安全に展覧会を運営することが危惧されるとしている。こうした暴力による表現弾圧は糾弾を免れることはできないし、不当な要求や脅迫にひるまず、憲法で定められた「表現の自由」と来場者の安全を守ることこそいま求められる。

 8月6日に参加アーティスト72名が賛同した抗議声明では次のように述べられている。「私たちの多くは、現在、日本で噴出する感情のうねりを前に、不安を抱いています。私たちが参加する展覧会への政治介入が、そして脅迫さえもが…それがたとえひとつの作品に対してであったとしても、ひとつのコーナーに対してであったとしても…行われることに深い憂慮を感じています。7月18日に起きた京都アニメーション放火事件を想起させるようなガソリンを使ったテロまがいの予告や、脅迫と受け取れる多くの電話やメールが関係者に寄せられていた事実を私たちは知っています。開催期間中、私たちの作品を鑑賞する人びとに危害が及ぶ可能性を、私たちは憂い、そのテロ予告と脅迫に強く抗議します」。そして最後に、芸術祭の回復と継続、自由闊達な議論の場を求めていることに愛労連は賛同する。

 多様な考えがある中で、自分たちと意見が異なる言論や表現について、テロ予告などの暴力を振りかざすことは絶対に許されない。ここ数年、安倍政権による秘密保護法や集団的自衛権容認、安保関連法、共謀罪などの強行は、戦前の日本を思わせるものでその時代逆行を深く憂慮する。名古屋市の河村市長が「日本国民の心を踏みにじる行為」として中止を求めたり、菅官房長官が文化庁の補助金交付の是非を検討すると述べたことは、憲法21条が保障する「表現の自由」を犯し、これら公職者の発言は、検閲そのものであり強く抗議する。

 私たちは、実行委員会と行政、警察が出展されたアーティストや芸術祭を楽しみにしていた人々の意見を聞き、暴力や脅迫、介入に屈することなく、来場者の安全を確実に確保し、早期に再展示されることを望むものである。

以上


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