【声明】外国人実習生新法の成立にあたって

本日「外国人実習生新法」(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)が参院本会議で可決、成立した。あわせて在留資格取り消し条件の強化を含む改正入管法も成立した。

愛労連は「実習生新法」に実習生の申告権が新設されるなど改善面がある一方でブローカーによる不正が横行している事実を指摘し、新法の問題点、新機構の体制の脆弱さなど問題点を指摘してきた。その結果、新法は可決されたものの8ページ10項目に及ぶ付帯決議が付けられることとなった。今後具体的な基準を定める省令がつくられるなかで、この決議が実効あるものとなるよう引き続き求めていく。

愛労連は昨年法案が上程されてから1年の間に宮城県気仙沼の工事現場から逃げてきたベトナム人実習生の在留資格問題や北名古屋市で家賃4万円を取られたフィリピン人実習生の事件を解決してきた。また7月からは岐阜アパレルの3000人に及ぶ残業代400円、500円の問題を告発し、法務委員会のなかで取り上げられた。その結果在留資格は再発行され、家賃についても大臣から「明確な基準をつくる」と答弁があり、付帯決議にも盛り込まれている。

岐阜アパレルの問題については厚労省から「新制度におきましてきちんと、その施行の中で、先生からご指摘のあったような事態についても把握して、適切な対応をとってまいりたい」と答弁があった。また、このような残業代の要因となっている「工賃」の低さについて岐阜県の「受入適正化推進会議」が5回にわたり業界団体に是正を求めていることをふまえ、経済産業省から「今回の調査では、まず、アパレル企業から縫製企業に対する縫製工賃単価の切下げが行われているのか、最低工賃が引き上げられた際に発注工賃がきちんと引き上げられているのかどうか、・・・経済産業省からも取引対価の決定に当たりまして下請事業者との協議の上で適切な労務費を含めるよう業界団体等要請しておりますが、このような協議が行われているのか」「速やかに調査を実施する」と答弁された。

また派遣会社など営利組織が介在する実態について入管局長から「監理団体が行う業務のうち、監査や訪問指導など、まさに監理業務の根幹を成す部分につきましては、監理団体が自ら行う必要がある」、「このような業務を監理団体が外部の機関に言わば丸投げしているような場合には、それは監理する体制を有していないとして不正行為に該当する」と答弁があった。気仙沼から逃げてきた実習生事件では派遣会社が自社内にいくつもの団体をおき、「非営利」であるはずの団体で役員が2000万円の横領で起訴されている。新法では徹底した取り締まりが求められる。

愛労連は、この新法が適正に機能し、外国人実習生の権利が確実に保護されるよう今後も充実を求めていく。

以上

2016年11月18日

愛知県労働組合総連合
議 長  榑松佐一

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