第43期愛知県労働者委員の偏向任命に抗議する

愛知県知事
大村 秀章 殿

愛知県労委の民主化を求める連絡会議
代表委員 榑松 佐一(愛労連議長)

 

11月30日、愛知県は第43期愛知県労働委員会委員の名簿を発表した。今回もまた7人の労働者委員全員が「連合愛知」独占で、「連合」に所属しない愛知県労働組合総連合(愛労連)と中立組合を排除している。1999年5月の名古屋地裁判決で「労働組合運動において運動方針を異とする潮流・系統が存在する以上、労働者委員の構成においても多様性を有することが望ましい」、「今後はより多くの労働者に支持させる合理的選択を」と是正勧告をおこなった。その指摘を受けて以降、全国で「連合」独占が改められ、現在では10都府県(宮城・長野・東京・埼玉・千葉・神奈川・京都・大阪・和歌山・高知)で非連合から委員が任命されている。しかしながら、愛知で旧態然たる「世襲制」が続いていることは「偏向行政」である。

 

今日、アベノミクスによる新自由主義「構造改革」のもとで、労働者・国民の暮らしは厳しさを増している。労働者の4割を非正規労働者がしめ、その大半が年収200万円に届かず「貧困と格差」を拡大し、“ブラック企業”や“ブラックバイト”が会社で幅をきかせ、労働者派遣法の改悪など雇用破壊の進行によって、低賃金の不安定雇用が蔓延し、若者や女性をはじめ働く貧困層がますます増え、地域経済・社会の疲弊が深刻化している。

また、職場ではパワハラやセクハラなど、企業の規模を問わず、労働者の働かされ方が異常な状態になっている。個別労使紛争として、裁判や労働審判制度への件数が増えて、実際に労働委員会の取扱い件数の内訳は、500人未満の企業規模からが圧倒的で、中小企業に働く労働者の声をどれだけ汲み尽くすのかが大切です。大企業主流の「連合」では、愛知の労働委員会の本来の機能を果たすことができないと言わざるを得ない。

 

労働者が職場に労働組合をつくり、使用者による支配介入を拒否することは労組法で定めるもっとも基本的な権利である。労働委員会は労働者・労働組合の救済機関であり、労働者の団結権を保障することが大きな役割であるが、「異なる潮流」の片方だけを採用することは中小下請労働者、非正規労働者を切り捨てることにほかならない。

このような偏向任命は「公正」であるべき行政を大きくゆがめ、労働委員会の機能をそこなう自殺行為である。私達はこの偏向任命に強く抗議し、撤回を求めるものである。

以上

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