政府は「平和安全法」(いわゆる戦争法)を委員会の審議を打ち切って強行的に成立させた。この法律は日本国憲法が禁止する集団的自衛権の行使を可能とする違憲立法であり断固抗議する。
政府は廃案を求める国民の声が広がるなか、地方公聴会の報告もないうちに特別委員会審議を打ち切り、強行採決をおこなった。政府の説明が不十分だという声は国民の8割に達し、半数を超える国民が今国会での成立に反対しており、法律成立後の各紙世論調査でも変わっていない。安倍総理は昨年の総選挙では「アベノミクス解散。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか、それを問う選挙」と強調し安保法制にはふれてもいない。公明党の副代表は集団的自衛権の行使反対を公約している。これを一斉地方選挙後の通常国会に11本もの法案を束ねて提出し、過去最高の会期延長までおこなったうえ、連休で国民の反対行動が広がる前にと強行採決をおこなったことは民主主義を否定するものである。
最大の問題点は日本国憲法に違反している事である。大多数の憲法学者、全国全ての弁護士会が反対し、元内閣法制局長官や最高裁長官経験者までもが違憲であり立憲主義の否定だとしている。法案に対する政府の説明は二転三転し、その根拠も総崩れした。どのような事態に武力行使の発動とするか、政府の判断できまる。その内容は秘密保護法で国民には知らされず、核ミサイルの輸送も「法律的には可能」となっている。審議のなかではこの法律の大半がアメリカの報告書と一致し、成立前から軍軍間で具体的な検討が始まっていた事も明らかになっている。
この法律の成立を前に日本経団連が提出した「提言」には、武器輸出が軍需産業からの強い要望とされている。10月には防衛省に武器輸出を支援する組織もつくられ、紛争で代金が回収できなかった場合には税金で補填する事まで検討されている。愛知県には自衛隊の武器弾薬を製造する工場が集中しているが、防衛省は日本から輸出した武器が実際の戦闘に使われる可能性があると言っている。他国での戦争や自衛隊の武力行使に県内で製造した武器弾薬が使われた場合には愛知県がテロの標的にされかねない。
この法律が成立した後も県民の抗議の声は続き、県下各地にひろがっている。愛労連は戦争法の廃止を要求し、そのための国民共同のたたかいに全力をあげるものである。
2015年9月24日
愛知県労働組合総連合
第4回幹事会