憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する愛知県民アピール

安倍首相の諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が審議を再開した。安倍首相は安保法制懇に「憲法制定以来の変化を重視し、新しい時代にふさわしい憲法解釈のあり方をさらに検討する」ことを求めている。そして、これまでの政権が憲法上許されないとしてきた集自衛権の行使容認に向けて議論が行われている。

従来、内閣法制局長官は、集団的自衛権については、「行使ができないのは憲法9条の制約である。わが国は自衛のための必要最小限度の実力行使しかできないのであり、集団的自衛権はその枠を超える」(昭和58年4月、角田内閣法制局長官)とし、憲法上許されないとしてきた。 

日本が攻撃されていなくても他国の紛争に武力をもって協力する集団的自衛権の行使容認は、日本を戦争への道に引き込むものである。憲法解釈の変更で違憲の集団的自衛権の行使を認めようというのは、まさに立憲主義の破壊である。 

日本国憲法は前文で、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう」と述べるとともに、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」「安全と生存を保持しようと決意した」としている。集団的自衛権の行使容認は、憲法が定める平和的生存権を真っ向から侵害することになり、許されない。 

世界でも今、戦争ではなく平和的・外交的努力で問題を解決することが流れとなっている。東南アジア諸国連合(ASEAN)では、互恵と紛争の平和的な解決の枠組みづくりが大きく前進している。憲法を生かしてアジアと世界の平和に貢献する道をこそ、日本は進むべきである。世論調査でも集団的自衛権の行使に反対の声が賛成を上回り、歴代の内閣法制局長官もこれに反対する声を上げている。

よって、国及び政府においては、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認をしないよう強く求める。

発起人 

天野鎮雄(俳優)池住義憲(元・自衛隊イラク派兵差止訴訟の会代表)内河惠一(弁護士)梅村忠直(弁護士・元愛知県会議員)折出健二(愛知教育大学名誉教授)木全和博(真宗大谷派宝泉寺住職)纐纈和義(愛知県弁護士会元会長)津田正夫(元NHKディレクター)寺本康美(コープあいち顧問)野間美喜子(弁護士)本秀紀(名古屋大学大学院教授)山田幸彦(愛知県弁護士会元会長)

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