安倍内閣は、サンフランシスコ講和条約が発効した1952年4月28日を記念して、4月28日に「主権回復の日」の記念式典を開催することを3月12日に閣議決定した。
1952年4月28日は、サ条約3条によって沖縄、小笠原、奄美が日本から切り離された日であり、2条C項で千島列島が日本から切り離され、ロシアの支配下とされた日である。このような実態を偽って「主権回復」とするのは、歴史を偽造し現実をゆがめるものである。
沖縄県議会の3月29日の決議は、「安倍首相は国会でサンフランシスコ講和条約の発効で我が国の主権は完全に回復したと述べているが、その日を持って日本から切り離された沖縄はその主権下になかった。ゆえに4月28日は、沖縄の人々にとって『屈辱の日』にほかならないのである。」そして、「沖縄が切り捨てられた『屈辱の日』に、『主権回復の日』として政府式典を開催することは、沖縄県民の心を踏みにじり、2度目の沖縄切り捨てを行うものであり、到底許されるものではない」と手厳しく批判しているが、そのとおりである。
さらに、サ条約が発効した日は、旧安保条約が押し付けられ、その後のアメリカいいなりの従属体制がつくられた日でもある。その旧安保条約は完全な秘密交渉としておこなわれ、1951年9月18日の署名の日まで、全権代表団の中で吉田首相にしかその内容が知らされず、日本国民にもまったく秘密とされた。占領軍への一切の批判を弾圧する戒厳令同然の状態のもとで安保条約は押し付けられた。「押しつけ憲法」という人々は、どうして「押しつけ安保」を廃棄して、対等平等の日米関係を求めないのか。安倍首相の狙いは、「主権回復の日を強調することで占領下に制定された日本国憲法の正当性に疑問を呈し、憲法改正の機運を高めようという狙いもあるとしたら、素直には祝えない」(3月13日付中日)というように、改憲への環境整備を進めることにある。
「安倍内閣がこれら『半主権』的状況の改善に本腰を入れるならまだしも、放置しながら主権回復を祝うのは独善的に過ぎないか。主権行使ができない状況が続く北方領土や竹島が日本国民の手に戻る。地位協定が改定され、沖縄の米軍基地負担も抜本的に軽減される。そうした『真の主権回復』の日が来るまで祝うのは待ちたい」(同前・中日)とするように、「半主権」の大本にあるのが安保条約である。
安保条約によって、オスプレイ配備が強行され、アメリカではできない訓練が日本国民の頭上で繰り返されている。銃剣とブルドーザーによって造られた普天間基地が新基地建設をたてにして、今だ返還されていない。沖縄県民をはじめとする日本国民と日本国の主権が侵されている。
私たちは、安倍政権の主権回復の日に反対し、オスプレイ配備反対、普天間基地即時無条件撤去、日米安保条約廃棄を求めるものである。
以上、決議する。
2013年4月25日
屈辱と従属を祝うなどとんでもない!安倍政権の主権回復の日に反対し、
オスプレイ配備反対、普天間基地即時無条件撤去、
日米安保条約廃棄を求める4.25愛知県民集会