愛労連2012年度総括と2013年度運動方針

愛労連第47回定期大会(2012年7月22日/名古屋市千種区役所講堂)
第1号決定
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2012 年度たたかいの到達点と総括、情勢の特徴とたたかいの展望、 2013 年度のたたかい


第1章 たたかいの到達点と総括

1.はじめに この1年間のたたかいの大まかな特徴

愛労連はこの1年、(1)労働者のくらし・権利を守る、(2)国民のくらしを守る、(3)組織の拡大・強化を柱に奮闘してきました。「はじめに」では、大まかなとりくみとその評価についてふれ、詳細は項目ごとに総括をしています。

 

(1)労働者のくらし・権利を守るたたかい

 ① 愛労連は12国民春闘で、全労連が提起する「だれでも1万円以上の賃上げ」「最低賃金時給1000円以上・全国一律最賃制確立」をおもな要求としてかかげるとともに、最低生計費をもとにした「25歳単身で年収300万円の賃金を」というスローガンを打ちだして単産・地域でたたかいをすすめてきました。賃金を資本(財界)が一方的に決定するという流れが10数年続いています。この流れを打ち破るために積極的なスローガンをかかげ、世論を結集していくことの重要性を強調しました。

 ② 賃上げの要求書を提出できない組合があります。「要求しても回答がでない。経営状況が悪い」ことや要求の討議・集約・提出・交渉という職場での日常的な組合活動が弱まっていることもあり、労働組合の力が発揮できていません。このため職場でも使用者が一方的に賃金・労働条件を決めることが常態化しています。成果主義賃金など労働者を分断させるような制度も使用者によってもちこまれます。賃金引き下げ・労働者の分断に反対していくために、すべての組合で要求書を提出し交渉していくことが必要です。

 ③ 職場における非正規労働者の賃金引き上げをめざし、時給要求提出の追求を提起しました。この点では不十分さが残りました。「均等待遇」をめざすことが必要です。最低賃金引き上げでは、昨年震災を口実に上げ幅が抑制されました。生活体験のとりくみや最低生計費調査[1]などをもとに、時給1000円をめざしてきました。署名を本気でとりくむことを強調してきました。

 ④ 今年は国家公務員賃金が平均7.8%も引き下げられました[2]。民間賃金に大きな影響をあたえかねません。国公労連は裁判闘争を軸にたたかいをすすめていくことにしています。引き続く支援強化が求められています。

 ⑤ 大企業の横暴を規制するたたかいでは、第33回トヨタ総行動、第28回トヨタシンポジウムを開催してきました。西三河地域での中小企業アンケートでは、昨年の震災・タイの洪水などを口実にした下請への単価切り下げが明らかになりました。愛労連はアンケート結果をもとにトヨタグループ各社を訪問し「内部留保をはき出し社会的責任を果たすこと」「下請二法の遵守[3]」などを要請しました。

 

(2)消費税増税・社会保障改悪反対、脱原発など国民のくらしを守るたたかい

 ① 「社会保障と税の一体改革」に反対するたたかいを重視してとりくみをすすめてきました。野田首相は社会保障の安定財源として消費税増税を打ち上げました。愛労連は「学習リーフ」を作成し、政府のごまかしを明らかにする職場での討議をよびかけてきました。

 ② 社会保障の分野では、社保協が提起する行動に参加しとりくみをすすめてきました。医療・介護保険のあいつぐ改悪阻止のため、定例的な宣伝行動や秋の自治体キャラバン、決起集会などを中心に世論結集をはかってきました。ナースウェーブでの人員増闘争、子ども・子育て新システムに反対するたたかい、年金引き下げに反対・最低保障年金制度を要求し、年金者一揆や「命輝く社会をめざす年金者の行進」などでアピールしてきました。愛労連独自の社会保障闘争について、明確な位置づけが必要です。とくに「働く者の社会保障[4]」として雇用(失業)保険の改善、社会保険の加入・未加入問題、育児休業の非正規への適用拡大、労働安全衛生活動などとあわせて、労働者の権利・くらしを守る運動を強めていく必要があります。

 ③ 名古屋市内の中小企業調査やアンケートのとりくみは、これまでになかった活動領域です。この活動は全国的にも注目されています。大企業・多国籍企業が支配する日本経済のもとで、労働者も中小企業も犠牲を強いられています。いま労働組合と中小業者が連帯して、地域経済の活性化・再建にむけた運動にまでひろげていくことが重要です。愛知県が中小企業振興(活性化)条例(仮称)、公契約条例の制定の準備をはじめたのは私たちの運動の成果でもあります。このとりくみのなかで中小企業における未組織労働者の組織化も位置づけていく必要があります。

 ④ 東日本大震災から1年半。被災地の復興をめぐって地域住民の生活再建か、それとも財界が求める「創造的復興」かがするどく問われています。福島第一原発事故をめぐって、原発推進・再稼働推進の勢力と脱原発勢力の激しい対立が続いています。愛労連は原発ゼロをめざす広範な市民との共同を追求してきました。7月23日、中電浜岡原発の廃炉を求める「ひまわり集会(静岡市内)」、11月26日の「浜岡原発包囲行動」にも多くの組合員が参加しました。「3.11明日につなげる大集会」では事務局として集会を支え、原発をなくしたいという広範な市民もふくめ5000人がつどい、原発ゼロを訴えてきました。3月中旬には東海北陸ブロックで脱原発リレー宣伝にもとりくみました。

 ⑤ 「原発はいらない」「再稼働反対」の声は日本全国でひろがっています。これまで労働組合とは無縁だった人々とも協力できる条件がひろがりました。にもかかわらず政府は「関電・大飯原発再稼働」を強行しました。引き続き脱原発のたたかいをすすめていきます。政府・財界・原発推進勢力の暴走を許すわけにはいきません。 

 

(3)組織強化・拡大のたたかい

 ① 愛労連は、労働者の生活・権利、国民が安全で安心してくらせる社会の実現をめざして運動をすすめてきました。しかし私たちの力は行政や大企業に対する影響力を発揮しているとはいえません。愛知県労働委員会や最低賃金審議会などで委員が獲得できないのは組織人員が大きく影響しています。団塊の世代が役員をはずれた今日、愛労連という組織を大きく強くしていくために本格的な議論と実践が求められる時期にさしかかっています。要求実現と組織拡大は労働組合にとって最重要課題です。「7万人愛労連をめざす」という目標をかかげながら現状は組織人員が減少しています。「第3次組織拡大強化3カ年計画」にもとづき、早急に具体化する必要があります。

 ② これからの労働組合運動を担う新しい役員を育成するとりくみとして「特別セミナー」にはじめてとりくみました。労働組合運動の役割、歴史や日常的な組合運営はもとより労働者としての「ものの見方」や経済のしくみなどを把握することは重要です。参加者は一様に「たいへん勉強になった」「労働組合の役割がよくわかった」などの感想を述べ、継続的なとりくみを求めています。引き続き実施していくこととします。

 ③ 地域労連の強化について、今年度は中央集会とかさなり「地域運動交流会」を開催することができませんでした。地域労連役員の交替期でもあり、活動の強化を意識的にすすめていかなければなりません。あらためて地域労連運動の意義を確認し、地域での役員の配置をすすめていきます。 

 

2.たたかいのおもな課題と総括

【1】賃金・労働条件の改善と働くルールを守るたたかい

1.11年公務員賃金闘争・地域総行動など

(1)公務員賃金闘争のとりくみ

 ① 野田内閣は2011年10月28日、人事院勧告(11年9月30日、△0.23%)を無視して、国家公務員の給与を7.8%引き下げる「給与臨時特例法案」の早期成立をめざす閣議決定をおこないました。これは労働基本権の「代償」としての人事院勧告制度を無視するもので二重三重の憲法違反です。政府の暴挙に人事院総裁でさえ、憲法に抵触すると参院内閣委員会で指摘しました。

 国会では民自公が特例法案を政治的かけ引きに使い、最終的には地方自治体にも適用するよう付則に盛り込むなど、公務労働者の賃下げに拍車をかける攻撃を強めてきました。

 ② 国公労連を中心に公務各組合は連日国会闘争を展開、憲法違反の「特例法案」の撤回を求めてたたかってきました。愛知では11月4日、栄広場で秋季年末闘争の勝利をめざす全県労働者決起集会が開かれ、約800人が参加。公務員賃金で人勧は実施せず、7.8%の賃金削減法案を成立させるとした政府の姿勢を強く批判、廃案においこむまでがんばろうと意思統一をおこないました。

 ③ 愛労連は公務共闘と共同で9月27日、愛知県人事委員会に要請、また10月13日には名古屋市人事委員会に申し入れをおこないました。とくに名古屋市人事委員会には福保労や建交労学童保育支部などが連名でマイナス勧告はおこなわないよう強く求めました。

 ④ 自治体の賃金闘争では、マイナス人勧のもとでも各単組で非正規職員の賃金や休暇などいくつかの処遇改善が前進しました。職場からの要求をもとにきちんと要求書を提出し、交渉に臨んだこと。しゃべり場や対話集会などさまざまな形で、切実な要求をもとに確定闘争に位置づけたとりくみが前進させる教訓となっています。また、非正規の要求実現を力に未加入者への働きかけが豊橋や蒲郡、西尾などでおこなわれ、同じ非正規の立場からの加入のよびかけに応えて加入者が生まれています。要求実現と組織拡大強化では今年の確定闘争で前進させてきたことをすべての単組にひろげることが今後の課題となっています。

 

(2)民間年末一時金闘争

 ① 中小企業の業績悪化が長引くなかで一時金闘争も年間労働協約から夏・冬季別の交渉に移行しているところが増えています。

 ② 建交労は単純平均で33万7461円、昨年を3497円上回りました。しかし、運輸関係では昨年比マイナスとなった組合もあります。全国一般・名古屋情報学園労組は年間一時金として144万の回答を得ました。

 ③ 全体として要求提出は6~7割程度で、回答水準にもばらつきがあります。賃上げが思うようにならないもとで、せめて一時金の上積みをと執念をもって交渉にとりくむ必要があります。

 

(3)秋の地域総行動と中小企業実態調査のとりくみ

 ① 11.16地域総行動は、すべての地域労連が早朝宣伝を実施しました。昼の行動を配置するところが減少していますが、西三河労連や東三河労連では行政機関、商工会議所などへの要請行動がおこなわれました。

 ② 11月21日に、名古屋市内の中小企業調査について、10年10月に実施して回答をいただいた事業所(724件)をふたたび訪問する調査活動をおこないました。東日本大震災以降の経営実態を把握するための再訪問で、415件の回答が得られました。この間の調査をとおして、実行委員会では調査結果の分析と名古屋市内の中小企業の実態、名古屋市の産業振興ビジョンなどを分析のうえ、一定の提言をまとめていくことにしています。

 

(4)全労連「全国集会2011」への参加と議論

 ① 全労連は11月19日~21日の3日間、静岡・浜松市で「全国集会2011」を開催し、全国から700人、愛知から200人をこす参加者でとりくみに寄与しました。

 ② この集会は「東日本大震災で明らかになった日本社会の矛盾の解消をめざす全労連の政策を議論し、全労連20年の歴史で培った運動の教訓をもちよって普遍化し、運動を担う全労連組織の拡大・強化と全労連の影響力拡大の取り組みの決意を固め合う」場としてもたれたものです。

 ② 全体講演では森岡幸二・明治大学名誉教授が講演。働き方を問いかける提起でした。特別報告では震災とたたかう宮城県労連、中小企業調査を実施した愛労連、東京医労連から職場での組合活動についておこなわれました。講演や問題提起、特別報告をうけて全労連「目標と展望」についての見直し、当面する課題を分科会・分散会で議論をおこないました。

 

2.2012国民春闘のとりくみ=中間総括(案)

(1)12国民春闘における愛労連・愛知春闘共闘のおもなとりくみ

1)愛知春闘共闘の役員会と総会、春闘討論集会など

 ① 11年9月25日に、春闘共闘の役員会を開催し、12国民春闘のたたかいについて意思統一をおこないました。また11月22日に総会をもち、役員の確認と春闘共闘として12国民春闘方針を確立しました。

 ② 12月4日に12国民春闘勝利をめざして「春闘討論集会」を開催しました。この討論集会には107人が参加しました。午後の討論については賃金闘争、TPPと地域問題、税・社会保障、組織拡大強化の分科会討論とし、要求の組織化などで議論を深めました。

 

2)新春宣伝・新春大学習会などのとりくみ

① 12国民春闘のスタートとして1月6日・7日、名古屋駅とJR刈谷駅での新春大宣伝行動をおこないました。名古屋駅ミッドランド前での宣伝には33人が参加して、ビラ1500枚を配布しました。刈谷には20人が参加し、1300枚を配布しました。

② 新春大学習会は145人が参加しました。家田愛子氏(札幌学院大教授)、木村明氏(岩手宮古民商事務局長)の2人が講演しました。家田教授はJALの不当解雇問題に触れながら、労働組合の役割、大企業の公共性などについて話をしました。木村事務局長は復興にいどむ宮古市民の奮闘、民商の奮闘など被災状況をスライドで上映しながら報告しました。参加者は昨年を上回りました。

 

3)春の地域総行動および自動車パレードなど

 ① 2月19日の自動車パレード:稲永埠頭を出発し、120人がトラックやタクシー・乗用車55台をつらねて名古屋市役所までパレードしました。賃上げや規制緩和反対などの要求をアピールしました。

 ② 2.23春の地域総行動:地域総行動では、すべての地域労連で早朝宣伝行動をおこないました。今回は主要駅等で声をだして宣伝をおこなうなどアピールを強めることにして実施しました。昼の行動は年々配置が困難になっています。夜の学習交流会や集会が積極的にとりくまれました。

 ③ 金属労働者のつどい:2月26日に浜松で、春闘勝利をめざす東海金属労働者のつどいが開かれ、200人が参加しました。

 

4)3.15全国統一行動 労働者決起集会とストライキの配置

 ① 3月14日の集中回答を受けて、翌15日に全国統一行動が配置されました。愛知は春闘勝利をめざす労働者決起集会を開催し、300人が参加しました。この集会では、全港湾・建交労保育パート支部・愛知国公の代表がそれぞれ決意表明。保育パート支部は翌16日に、組合結成37年目ではじめてストライキを決行、名古屋市の保育の質の維持・向上とパートで働く労働者の雇用・賃金の確保を訴えました。

 ② ストライキでは、賃上げゼロまたは定昇のみとする回答を不服として、JMIU川本支部は12日、藤栄精密分会が3月23日に2時間スト、文化シヤッター支部が4月23日に2時間ストを実施ました。15日には通信労組、郵産労、全印総連・中部共同印刷労組および繊研労組が時限スト、16日に建交労保育パート支部が実施しました。建交労保育パート支部は指名ストというスタイルではじめてのストライキでした。

 ③ 全労連・全国一般アクリル分会は15日、定昇のみという回答に抗議し、昼休み決起集会を開催しました。アクリルではダウケミカル本社が物流センター化をすすめてきましたが、今年に入り、会社が生産活動を継続することを表明しました。しかし会社は新規採用を抑制しており、引き続き人員増の要求を全面に交渉を強化していくことにしています。

 

(2)賃金闘争 結果とその評価・総括について

1)12国民春闘賃上げの結果など

 ① 国民春闘共闘の集計(6月5日)によると、要求の提出率は63.4%(2521組合)。これは昨年を上回ったものの一昨年の65.8%を下回っています。うち1622組合(64.5%)が回答を引き出しています。  回答のあった1622組合のうち額・率の提示があったのは1343組合。平均賃上げは単純平均で4692円・1.94%で昨年(4661円・1.71%)は上回ったものの、一昨年(4847円・1.82%)より下回っています。

 ② 県内民間単産は、すべての単位組合で要求書の提出、回答引き出しを求めて奮闘してきました。建交労では景気状況を反映して流通業関係はきびしい回答になっています。多くが「定昇のみ」あるいは「回答ゼロ」も見受けられます。そうしたなかでも「ブラザーロジテック(トラック)」では5519円の引き上げ(第一基本給1089円)を実施し、知多重機では若年層に2000円の賃上げをかちとっています。

 ③ 全国一般愛知地本では、回答はほとんどが定期昇給のみにとどまっていますが、そうしたなかでもエレックヒシキ労組が時間外・深夜勤務手当の改善、ナトコ労組が住宅手当・時間外手当の引き上げなどをかちとっています。

 ④ JMIU愛知地本関係では平均で昨年(4569円・1.70%)を下回る4415円・1.61%にとどまっています。それでも年齢給+1号俸アップをかちとるなど成果をあげています。東海キャスター分会では時給12.4円の引き上げを実現しています。

 ⑤ 全港湾・検数労連では、スミケイ運輸3500円、由良海運3000円、検数は55歳以上4500円、56歳以上3400円(全検)、日検は4000円(35歳標準者)となっています。

 ⑥ 中小企業には定期昇給制度のない事業所が多く、賃上げを要求していくしかありません。この点からも要求書の提出・交渉していくことは欠くことのできないとりくみです。

 

2)賃金闘争の到達と総括の視点

ⅰ)すべての労働者を視野に入れた賃金引き上げを強調

 ① 97年以降、10数年来賃金は下がり続けています。全労連・愛労連は、停滞する日本経済を打開するために、すべての労働者の賃金の引き上げ・底上げが必要であることを前面にかかげた賃金闘争を提起してきました。

 ② 大企業労組が賃金闘争を放棄するもとで、いまや賃金は日本経団連「経営労働政策委員会報告」にみられるように、大企業・多国籍企業が一方的に決定、「ゼロ回答」を押しつけ、それを連合労組が合意するという流れが「定式化」して賃金は抑えられています。

 ③ 大企業の賃下げや人減らし、下請企業に対するコスト削減はとどまるところを知らず、下請企業の廃業・倒産ははげしくなっています。トヨタをはじめ大企業はのきなみ内部留保をためこみ、その額は266兆円(資本金10億円以上の企業)にも達しています[5]。「大企業は内部留保をはきだし、賃金・雇用拡大に還元せよ」と愛労連は主張し、賃上げこそ経済活性化の道であることを訴えて12国民春闘をたたかってきました。賃下げのスパイラルをたちきることでしか、デフレを克服することはできません。

 ④ 全国的な賃下げ攻撃のもとで、労使交渉が非常にきびしくなっています。中小企業・流通業などの業態は長期にわたって経営状況が上向きにはなっていません。このような状況のもとで賃金要求実現は困難です。賃金闘争のあり方・すすめ方について本格的な議論が求められています。

 

ⅱ)「最低生計費」調査結果を重視した賃金闘争の追求

 ① 愛労連は一昨年・昨年2回にわたって「最低生計費」を明らかにしてきました。この「最低生計費」を要求の基礎にすえてすべての職場で要求討議をすすめることを提起しました。また職場での賃金要求討議とともに地域では「賃上げ当たり前」「25歳単身者で年収300万円の賃金」をという要求をかかげて訴えてきました。「最低生計費」調査は、最低賃金闘争を前進させるうえでも要求に根拠をあたえるものとなりました。しかし最低生計費はまともな生活をするうえで必要な賃金であるという理解はあまり広がりませんでした。それは、会社側の賃金抑制や経営状況等の事情が先だち、要求討議が深まらなかったこととも関連しています。賃金闘争は企業単位だけでの交渉では前進しません。春闘全体の傾向として現在の春闘相場(賃上げゼロ)を決めているのは財界です。財界の横暴に対して労働組合が力をあわせてたちむかうことが重要です。あわせて中小企業への下請単価切り下げ[6]などを犠牲に大企業・多国籍企業だけが利益をあげるという構造のもとで、私たちの賃金闘争は中小企業や国民諸階層と連帯したたたかいのなかでこそ前進させていくものとならざるを得ません。

 ② そのためには、まずすべての組合が要求書を提出することが決定的です。今春闘における要求提出率は6割程度にとどまっており、単産によって低いところでは5割以下です。これではどんな事情であっても賃金要求は実現しません。あきらめずねばり強く要求討議をかさね、そのうえで会社の経営状況や苦しい状況に追いこんでいる背景などについて経営者とも共有していくことが重要です。「賃金引き上げこそ景気回復の道」という認識を経営者にもひろげる努力が必要です。

 ③ 職場の非正規労働者の要求について、どれだけ組織しているかが問われます。非正規との均等待遇なくして労働者の賃金は上がりません。どの職場でも非正規労働者が増え、その多くが組織されていません。正社員の要求とともに、非正規労働者の時給要求をかかげて、その引き上げのために奮闘することが重要になっています。

 ④ 地域での賃金引き上げ要求をどれだけひろげたかが問われます。最低賃金引き上げ要求とともに、「25歳単身者で年収300万円の賃金」という要求は、スローガンですが、賃上げは当たり前の世論を高めていく運動です。しかしこの点では前進はありませんでした。最低賃金をはじめ賃金の底上げとともに賃上げに対する世論の結集が重要なたたかいになります。

 ⑤ この4月から国家公務員の賃金が平均7.8%も引き下げられました。これが民間賃金を押し下げることは必至です。国公労連はこの賃下げ「特例法」の廃止を求めて裁判闘争にとりくんでいます。これが消費税をはじめとする国民負担増の〝露払い〟であることは明らかです。国家公務員に限らず、自治体における一部首長による人事院勧告制度など賃金決定システムを無視し、一方的な切り下げを強行する流れがあります。

 

3.最低賃金・公契約条例制定をめざすとりくみ

(1)最低賃金引き上げをめぐるたたかい

 ① 昨年の最賃をめぐる情勢では、3.11の大震災を理由に中央賃金審議会の目安が低く抑えられ、愛知では目安プラス1円の5円引き上げで750円という結果になりました。前年の2桁引き上げや2020年までに「最低800円、平均1000円」と打ちだされた「雇用戦略対話」合意はおきざりにされ、被災状況・経済状況・春闘の賃上げ状況の議論に終始しました。

 ② 引き上げにむけて早朝宣伝、最賃審議会労働者委員の連合独占という偏向任命への異議申し出、意見書提出や目安答申後には緊急に一言メッセージのとりくみなどおこない署名を提出しました。大きな効果をもたらすことにはなりませんでしたが、専門部会の議事録をとりよせ、労使の考え方について確認できたことは一つの成果となりました。

 ③ 1月26日、最賃・賃金問題学習会をおこない、43人が参加しました。2月1日からスタートする最賃生活体験と家計簿チェック行動について、とりくみ方と意義を提案。学習会では神奈川労連副議長の福田裕行氏から「最賃1000円以上!裁判」の報告を受けました。

 ④ 2月17日には「最賃体験中間激励会」、4月24日には「最賃体験報告学習会」を開催し、「1か月だけならなんとかできるが、こんな生活がつづけば自殺したくなるのではないか」など感想をだしあいました。

 ⑤ 最賃生活体験は全体で60人、家計簿チェックには約250人がとりくみました。最賃体験した36人のうちクリアできたのは10人。家計簿チェックは愛知の最低生計費調査結果を裏付ける結果になりました。この結果をもとに、最賃審議会公益委員との懇談(4/17)、労働局賃金課への要請(4/20)、愛知県中小企業団体中央会(6/29)との懇談などで資料として活用しました。

 ⑥ 6月15日には栄で750分間のハンガーストライキにとりくみました。激励を含め57人が参加しました。早朝・昼・夕方宣伝や愛知の時給マップなどを作成しました。

 

(2)公契約条例制定にむけたとりくみ

 ① 千葉県野田市に続き、神奈川県川崎市や東京都渋谷区、多摩市や国分寺市など各地で公契約条例制定[7]の動きがすすむなか、愛知ではまだ条例化した自治体はありません。愛知県は大村知事が昨年末の議会で検討を表明して以降、県庁内に研究チームをたちあげ、他都市などへの視察もすすめています。労働者の賃金・雇用が守られ、地域経済の活性化につながる内容となるよう愛労連として県に働きかけていくことが必要です。稲沢市では自民党の提起で意見書がだされています。

 ② 5月15~18日にとりくまれた自治体キャラバンで、公契約条例の制定について各自治体に要請しました。自治体はおおむね他都市の動向把握という段階にとどまっています。また担当部局からは人員不足によって総合評価や一定の確認作業さえ困難、また議会筋からの〝圧力〟等もあり、担当者に意欲があってもとりくめない状況もあります。全国的な事例、とくに新宿区「労働環境チェックシート」などは事業者に記入させる方式で合理的な方法もひろげていく必要があります。

 ③ 今回の自治体キャラバンは愛知生公連のメンバーがそれぞれ参加し、公共工事の現状やあり方について、積算の方法や最低制限価格制度のもとで、実際の落札状況などで意見交換をおこないました。5月20日の東海自治体学校でも公契約条例制定にむけた運動の強化などが議論されました。

 

4.大企業の横暴とたたかう-トヨタ総行動などのとりくみ

(1)第28回トヨタシンポジウムを開催

 ① 11月13日に開催した第28回トヨタシンポジウムには87人が参加しました。講演は名城大・井内尚樹教授。井内教授は3.11大震災が日本の経済・社会を一変させたとして、原発に依存してきた日本のエネルギー政策を批判、自然エネルギーへの転換をよびかけ、名古屋での製造業が新しいものづくりとして自然エネルギーをおこしていく必要性を強調しました。

 ② 基調提起では、大震災以降トヨタ依存のものづくりのあり方を中小企業が生きる経済のあり方に転換していくことを強調しました。特別報告もリアルな内容が伝えられました。はじめての試みとして討論を4つの分散会としました。人数が毎年減少していますが、これに歯止めをかけるにはマスコミへのよびかけ、会場の選定など工夫していく必要があることが指摘されました。

 ③ トヨタシンポジウムを受けて11月16日、トヨタ本社に要請をおこないました。参加は愛労連・豊田加茂労連・西三河労連・豊田市議の4人。会社側は2人が対応。土日出勤問題やジャストインタイム方式の見直し等を要請しました。しかし、あいかわらず「上層部に伝えることはしない」という姿勢をくずしていません。

 

(2)第33回トヨタ総行動

 ① 第33回トヨタ総行動は、決起集会に1000人が参加しました。集会に先だつ宣伝行動(名古屋駅、豊田市駅)、市民ビラ配布をおこなったほか、中小企業アンケート(500)部を豊田・安城・刈谷市内に配布しました。宣伝行動等の参加を含めて1200人が参加しました。決意表明でJMIU中外分会、岡崎民商、東京大気汚染裁判原告が発言しました。デモ行進は豊田市街で「トヨタの社会的責任」「賃上げ」をアピールしました。

 ② 愛労連は5月27日、トヨタ総行動時に配布した中小企業アンケートの集約結果をビラにし、アンケート配布地域へのビラ配布行動をおこないました。28人が参加しました。林浅吉氏(岡崎民商会長)が講演。下請企業・業者の実態を赤裸々に語りました。アンケート結果のビラは3地域で2800枚を配布しました。これらの行動をうけて、5月30日にJR刈谷駅での早朝宣伝、トヨタ自動車をはじめグループ企業への訪問要請行動をおこないました。トヨタ自動車本社には東京大気裁判原告団からも参加して要請をおこないました。

 

5.権利・労働条件を守る、労働法制の規制緩和を許さないたたかい

(1)労働時間短縮、労働法制の規制強化を求めるたたかい

 ① 長時間労働に反対するたたかい[8]は、ますます重要な課題ですが、きわめて弱くなっているのが現状です。職場でも地域でも、労働組合運動の第一義的課題にはなっていません。賃金の低下と裏腹の関係にあり、長時間残業によって生計費を確保しているという実態があります。時間短縮で要求の統一、団結が困難になっています。長時間労働が労働者を組合活動や家庭・地域から遠ざけているといえます。

 ② 長時間労働が労働者の健康を害し、過労死や過労自死に追いこんでいます。過労死の労災認定件数は近年増えています。「過労死防止基本法」制定をめざす署名運動が提起されています。労働時間短縮にむけたたたかいの方向と要求の確立にむけて本格的な議論が必要になっています。

 

(2)労働者派遣法改悪反対、雇用共闘などのとりくみ

 ① 三菱電機で派遣切りされ、現在裁判でたたかっている労働者のたたかいを積極的に支援してきました。裁判は11年11月に名古屋地裁で判決がだされました。その内容は派遣先企業である三菱電機の横暴を断罪したものの、「黙示の労働契約」を認めるまでには至らず、原告・被告とも控訴、現在名古屋高裁にかかっています。「勝たせる会」は、名古屋高裁前、名古屋駅(三菱中部支社前)での宣伝をかさねてきました。また6月28日には三菱電機株主総会にあわせて東京(丸の内)での宣伝、全労連などへの要請行動をおこないました。

 ② 法曹団体が主催した「労働者派遣法の骨抜きに抗議する3.22集会」に愛労連として参加をよびかけました。参加者は約100人。骨抜き派遣法「改正」が強行されたため「抗議集会」にしました。情勢について、東海労働弁護団・樽井直樹弁護士、派遣労働者当事者からの報告があり、過酷な労働実態が明らかになりました。

 ③ 雇用共闘の決起集会を3月31日に開催しました。これは労働組合の立場をこえて、雇用を守る、労働者派遣法改正などの要求でとりくんできたものです。西柳公園に約120人が参加しました。国公の代表から7.8%の賃金カット反対、JAL闘争団からの訴え、ふれあいユニオンの決意表明があり、集会後名古屋駅周辺をデモ行進しました。

 ④ 就職連絡会は、今日の学生の就職状況がますます悪化するなか、シンポジウムを12月3日に開催しました。全労働・河村副委員長の講演に続き、名高教・私大教連から学生の就職状況について報告。中小企業家同友会の役員から中小企業での採用と教育について報告がありました。

 

(3)労働委員会委員の任命、労働審判員制度について

 ① 11年12月1日、労働委員会労働側委員について愛知県はまたも偏向任命をおこない、連合独占としました。愛労連は今度こそと志水八郎・全国一般愛知地本委員長、平田英友・JMIU愛知地本委員長をたててとりくみました。しかし任命にはいたりませんでした。

 ② 愛労連は当日、三の丸で抗議の宣伝を実施し、県の対応の不当性を明らかにしました。12月20日には小川副知事と面談し、正式に抗議の意を伝えるとともに、県内の労働者の実態や衰退する地域経済問題などで意見交換をしました。

 ③ 個別労使紛争が増加するなか、労働審判にかける件数が増えています。昨年度で申立は09年の275件をピークに、10年170件、11年9月までで134件となっています。うち2回目の期日で和解がもっとも多く、目的である早期の解決がなされています。労働審判員は現在64人で、労働者側委員は32人、愛労連枠は現在2人が労働審判員として登録されており、およそ2か月に1回程度のペースで審判がおこなわれています。

 

6.大企業のリストラ、社保庁職員・JAL不当解雇撤回のたたかい

 ① 社会保険庁職員の不当解雇から2年半が経過しました。人事院の審理が続いています。愛労連として、社保庁職員の不当解雇撤回支援共闘会議を軸にとりくみをすすめ、毎月1の日宣伝では不当性を訴えてきました。

 ② JALの乗員客室乗務員の解雇に対して東京地裁は3月末、きわめて不当な判決[9]をだしました。

3月31日、ウインク愛知でJALの不当解雇に反対し、原告団を支える「愛知の会」が80人の参加で結成されました。6月2日には判決内容の学習会と激励の集会がおこなわれました。62人が参加し、不当判決の分析と今後のたたかいなどで意思統一をしました。

 ③ NTTの「50歳定年制の廃止」「広域配転の撤回」と賃金切り下げ攻撃がセットで提起されました。広域配転など、通信労組が中心になり裁判を含むたたかいで撤回させたものの、NTTは賃金切り下げ攻撃で35歳前後から賃下げをおこなうという方向をうちだしました。新たなたたかいがはじまっています。

 

7.労働安全衛生活動・職業病のとりくみ

 ① 「愛知働くもののいのちと健康を守るセンター」の活動は、働く者の相談窓口として職場から労災事故をなくす活動や労災裁判の支援活動をおこなっています。愛労連として理事会に参加するなかで労災裁判支援、要求署名行動などにとりくんできました。

 ② 今年度、愛知での労災・職業病認定のとりくみは、堀・豊川市職員過労自死、小池・マツヤデンキ過労死、小出・ソフトバンク過労自死、田中・ジェイテクトうつ病解雇の裁判で勝利することができました。引き続き名古屋高裁(鳥居裁判)、最高裁(倉田刈谷市職員過労死)裁判がたたかわれています。

 ③ 「過労死防止基本法」制定の100万署名が提起され、愛労連としても積極的にとりくんできました。7月 日現在、愛労連として  筆を集約しています。引き続き職場や地域でとりくんでいきます。

 ④ 愛労連は健康センターと共催で、6月16日(土)と30日(土)に、労働安全衛生教室にとりくみました。団塊の世代が退職をむかえたなかで職場安全衛生活動の継承の一環としてとりくみ、安全衛生法の学習、安全衛生活動の重要性を学びました。

 ⑤ 職場での安全衛生活動は、労働者がいきいきと長く働き続けるためにきわめて重要なとりくみです。不安定雇用・長時間労働・パワハラなど、異常な働かせ方がひろがり、労働組合が「いのちの番人」として人間らしい生活・働き方を要求していくことが今ほど重要になっているときはありません。

 

8.第83回メーデー5500人

5月1日に第83回愛知県中央メーデーを白川公園で開催し、4000人が参加しました。野田民主党政権による大飯原発再稼働策動や「社会保障と税の一体改革」、TPP参加などの悪政に対し労働者の怒りをアピールするメーデーとなりました。長期的には参加者数の減少傾向にありますが、メーデーの意義と歴史を語り、よびかけた組合では参加をひろげており、世代交代がすすむなかで学ぶことからはじめる原則的なとりくみが必要となっています。地域メーデーは6会場(東三河・安城・一宮・尾北・尾中・尾東)で開催され1120人が参加しました。

 

【2】国民のいのちとくらしを守る

1.消費税増税に反対するたたかい

 ① 野田内閣のすすめる消費税増税・社会保障改悪とのたたかいを重点として位置づけ、たたかいをすすめてきました。消費税増税反対のたたかいは「消費税を止めさせる会」を中心にした署名や宣伝行動が中心になりました。愛労連独自のとりくみについては、5月中旬に職場学習会用「消費税本当に必要なの?リーフレット」を4万4000部作成し職場での学習会を提起しました。

 ② 政府の執拗な引き上げにむけた世論誘導にもかかわらず、国民の世論は消費税増税反対が上回っています。将来の国民に借金は回せないなどといいながら、大企業の負担は軽減していることから野田首相の消費税増税論はまったくのごまかしです。リーフレットはこうした政府のごまかしを切る内容で、すべての職場、地域での学習をよびかけました。しかし消費税増税反対の運動を地域でひろげるという提起に対しては十分な行動が配置できませんでした。

 ③ 3.13重税反対統一行動が3月13日に名古屋市内のほか、地域でもとりくまれました。名古屋市内では国税局への要請を中心に、中税務署では民商会員などが確定申告を実施しました。12年は消費税導入から24年。毎年とりくんでいる3.31ロングラン宣伝ですが、今年は暴風のため、延期を余儀なくされ4月2日に実施しました。さらに6月15日にも栄三越前で宣伝行動がおこなわれました。

 

2.社会保障と税の一体改革とのたたかい

(1)社会保障の充実をめざす愛知自治体キャラバン

 ① 社会保障の充実をめざす愛知自治体キャラバン(愛労連・自治労連・社保協・新婦人の4団体主催)は11年10月におこなわれ、前年を上回るのべ831人が参加しました。

 ② 自治体キャラバンは、子どもの医療費無料制度の拡大、高額療養費や出産育児一時金の受領委任払いの実施、国保一部負担金減免制度の拡充、介護保険料・利用料の減免制度の拡大、地域巡回バスなどの外出支援、配食サービスの拡大、ヒブ・小児用肺炎球菌・HPV(子宮頸がん)ワクチンへの助成拡大など、市町村の医療・福祉施策の改善に大きな役割を果たしています。

 

(2)第13回あいち社会保障学校

2月19日、社保協と愛労連の共催で開始した第13回愛知社保学校には94人が参加しました。講演には立教大学の芝田英昭教授を招き、「国民をだます『社会保障と税の一体改革』の本音」をテーマに学びました。「消費税増税」に対する国民の反対世論はひろがってきており、一体改革の本質と政府の本音を広げてストップをかけよう」とよびかけました。

 

(3)愛知社保協総会

6月30日に2012年度社保協総会が開催されました。記念講演には、社会保障総合研究センター事務局長の三成一郎さんを招き「『社会保障と税の一体改革』で暮らしと経済はどうなる」をテーマに学びました。総会では、新議長に森谷光夫氏(保険医協会)、事務局長に小松民子氏(愛労連)を選出しました。

 

(4)社会保障の大改悪、消費税の大増税を許さない3.11集会

 ① 社保協がよびかけた「社会保障の大改悪、消費税の大増税を許さない3.11集会」には800人が参加しました。リレートークでは、野田政権が消費税増税の一方で社会保障の大改悪を狙っているもと、保育・年金・医療・消費税・介護・障害者の各分野から現場の実態と改善を求める発言が相次ぎました。集会後、参加者は錦通まで元気にパレードし、4か所にわかれて宣伝行動を実施。社会保障拡充署名を中心に協力を訴えました。

 ② 同日の午後に「3.11明日につなげる大集会」が開催され、各組合・団体ともに構成員に積極的に両集会を成功させることの意義を伝え、終日の行動にもかかわらず多くの参加をかちとりました。

 

(5)安心年金つくろう愛知の会

 ① 2011年10月28日に「社保庁不当解雇撤回闘争愛知支援共闘会議」第2回総会とともに「安心年金つくろう会」の第4回総会を開催しました。毎月の1の日宣伝にも参加してきました。年金制度の充実をもとめ、支援共闘とともに東海北陸厚生局や民主党県連に対し要請を実施しました。

 ② 今国会で政府が提出した「社会保障と税の一体改革」法案では年金の引き下げ強行、さらに年金支給開始年齢の繰りのべなどをねらっているもとで、とりくみの強化が求められます。

 

(6)第13回あいち高齢者大会

 10月18日、名古屋市公会堂で開催され500人が参加しました。記念講演には市営森の里荘自治会長で大高南学区区政協力委員長の小池田忠さんを招きました。同氏は自らの貴重な体験も交えながら無縁社会とコミュニティづくりについて語り、参加者の共感をよびました。午後からは9つの分科会が開かれ、地震・原発問題、介護問題、マスコミ問題など多彩な内容で学習と交流を深めました。

 

(7)社会保障各分野のとりくみ

1)年金者組合、年金者一揆、命輝く行進など

 ① 政府は来年度からの年金支給開始年齢の切り下げを画策。名古屋では河村市長が事業仕分けで敬老パスの「見直し」を検討。原発ゼロもかかげて全国で年金者が「一揆」にたちあがりました。愛知では名古屋・岡崎・豊橋の三か所で集会を開催しました。名古屋集会(若宮公園)には300人が集まり、高齢者の〝怒り〟をアピールしました。岡崎市菅生川河川敷(太陽の城側)では、年金者組合西三河ブロック主催で集会とパレードを開催。地元民商代表、愛労連・田中副議長、共産党岡崎市議が来賓あいさつ。口々に野田政権と民自公の社会保障切り捨てと高齢者いじめを批判しました。

 ② 年金者組合は、大阪をスタートし東京までの500㌔㍍を「命輝く社会を願う行進」をおこない150人が参加し、6月7日には名古屋栄広場での集会のあと鶴舞までデモ行進をおこないました。10日に静岡にバトンタッチし、20日、東京日比谷公園までの距離を行進しました。

 

2)医労連、医師・看護師増やせの運動

 ① 毎年12万5000人の看護師が退職、時間外労働は恒常的に50~60時間。長時間過密労働、交替制勤務による健康被害の実態は深刻です。この実態を改善するために医師・看護師・介護職員の大幅増員・夜勤改善を求めて国会請願署名を毎年とりくんできました。2011年秋は「いのちまもるキャラバン行動」を全国47都道府県でとりくみました。日本看護協会は「夜勤の負担軽減と長時間労働の是正を」めざすとし、政府厚労省は「看護師等の『雇用の質』の向上のための取り組みについて」の5局長通知を発出し、看護師等が健康で安心して働ける環境を整備し、「雇用の質」を高めていくことが喫緊の課題と位置づけ国と自治体が動き出しました。

 ② 愛知県看護協会、愛知労働局との懇談、医療機関・介護施設の未組織事業所にも賛同をよびかけ共同が大きくひろがり、15事業所から賛同が得られました。交付金の継続を求める介護ハガキのとりくみは加盟組織と未組織18事業所を含め1000枚回収しました。自治体への意見書採択運動は、医師・看護師・介護職員の大幅増員を求めて県内9自治体、介護職員の処遇改善交付金継続を求めて名古屋市をはじめ10自治体が意見書採択をおこないました。国会請願署名は、組合員1人10筆を目標に掲げ9か月で52%を到達し9組合が目標達成しました。署名推進のために「100筆チャレンジャー」でクオカードをゲットしようと楽しくとりくみ、82人が達成しました。紹介議員・賛同議員を求めて、3回の国会議員要請をおこない3人の紹介議員を獲得しました。

 ③ 11月、3月、4月(名古屋市と豊橋市)年4回のドクター・ナース・介護ウェーブは、社保協の日程にあわせて「大幅増員」と「社会保障と税の一体改革」を許さない行動に参加。毎月1回の署名宣伝・リレートーク行動にとりくみました。

 

3)福祉保育労・自治労連 子ども・子育て新システム許すなのたたかいなど

 ① 「福祉労働者の処遇改善を求める」たたかい

 2012年は介護保険報酬改定の年にあたっており、「処遇改善交付金」を報酬単価のなかに組み込ませず継続予算化することを求めて、医労連や自治労連、福保労などがとりくみました。医労連は自治体議会への陳情にとりくみ、名古屋市議会で「介護職員の処遇に関する意見書」が採択されました。しかし、交付金は報酬単価の加算に組みこまれ、同時に生活援助やデイサービスの単価の基本時間の変更などもおこなわれ、現場経営は圧迫されています。介護・障害では、賃金労働条件の引き下げのある職場もあるなか、福祉労働者が必死になって専門性を守りながら働いています。民主党政権の「介護労働者の賃金平均4万円アップ」の約束はどこへ行ったのか、怒りがひろがっています。

 ② 「障害者自立支援法を継続するな」のたたかい

 国は、自立支援法廃止・新法制定の約束を無視し、法律の名前だけを「障害者総合支援法」と変え、実質自立支援法「改訂」ですます方向で動きました。全労連や社保協からのFAX要請の行動提起で、福祉職場だけでない労働組合もともに行動しました。

 ③ 「子ども・子育て新システム許すな」のたたかい

 保育制度で公的責任のある現行のしくみを維持することは、介護や障害においても「人権」としての現物給付をとりもどすうえで重要であることをおさえ、「新システム」反対の運動にとりくんできました。10/23の愛知県民集会では、保育関係団体ではハロウィンパレードでアピールし、11/3の保育大集会に結集し、個人署名を意欲的にとりくみました。2月28日には愛知の保育関係団体が共同で緊急に「新システムとりまとめ」を読み解く学習会をおこない、3月3日の愛保協ひな祭り宣伝の力としました。法案内容が明らかになって以降は、5月13日の保育フェス参加や、FAX要請、自主的な「ちひろリーフ」配布で多彩な行動をひろげてきました。

 

3.名古屋市内中小企業調査活動など

 ① 愛労連や名古屋市職労など労働組合が中小企業の実態について調査をおこなったことは、新たな運動分野として全国的にも高い評価をえました。中小企業が元気かどうかは、労働者の雇用にも影響します。中小企業と労働組合の共同は、地域経済活性化という今日の大企業・グローバル企業が支配する経済のあり方ではなく、中小企業が〝主役〟の経済に転換していくきっかけをつくりました。運動ははじまったばかりですが、愛知県が中小企業振興条例制定にむけてうごきだしたこと、また名古屋市でも検討課題にのぼったことはこうした運動の成果でもあります。

 ② 調査結果をもとにおこなわれた12月9日のシンポジウムでは「新しいものづくり」が提唱され、実行委員会として7月末までに報告書をまとめ、政策的な提言にしていくことにしています。

 

4.震災復興、脱原発のとりくみ

 ① 愛労連は7月・11月、中部電力・浜岡原発の廃炉をめざして集会等に参加してきました。3.11東日本大震災1周年には「3.11明日につなげる大集会」をさまざまな団体との共同で成功させました。当日は市民を含む5000人が参加しました。4月にもチェルノブイリの医師を招いて講演会を成功させました。「チェルノブイリ原発事故」でも幼児の甲状腺がん・白血病の発生率は異常に高く、福島でも今後10年間20万人の子どもたちが発病する恐れがあるとの指摘もあります。11月26日に「浜岡原発はいらない東三河の会」を東三河労連などが中心になって結成しました。

 ② 3月11日には東三河で800人、西三河で400人が参加したほか、瀬戸・尾張旭・海部市など県下でも集会が開催されました。「明日につなげる」実行委員会では市民が中心となって集会を準備し、これを愛労連や民主団体が支援する新しいスタイルで開催しました。原発ゼロをめざす運動は今後10年、20年と続く新しい市民運動になる可能性をもっており、青年や若い母親が主体になって集会を準備できたことはたいへん重要です。

 ③ 5月5日、日本のすべての原発は止まりました。関電大飯原発の再稼働について地元おおい町、福井県は再稼働にゴーサインをだし、野田首相も「再稼働」を決定。しかし福井県民のたたかいは、その後も県庁前すわりこみ行動・抗議行動が連日展開されています。

 ④ 愛労連は東海北陸ブロック「脱原発リレー宣伝」にとりくみました。3月15日、富山を起点に静岡・浜岡原発までをつなぐ宣伝行動で、電力会社・県庁などへの要請をおこないました。愛知では中電本社に申し入れましたが、中電は〝世界一の原発をつくる〟〝核廃棄物の処理技術は確立している〟などと原発推進の姿勢を露骨に示し、浜岡原発についても津波対策(防潮壁)を建設していると強調しました。しかし地震予知連絡会が発表した3連動地震(東海・東南海・南海)ではM9.0、18㍍の防潮壁をはるかにこえる21㍍の津波予測がだされました。それでも中電は建設中の防潮壁で対応できるなどと警告を無視しています。

 ⑤ 4月22日には大飯原発再稼働に反対し、福井県小浜市で集会とデモがおこなわれました。6月1日には愛労連・東海北陸ブロックなども参加して福井県庁への要請を実施しました。6月17日の県民集会にも参加しました。

 ⑥ 5月27日におこなわれた国会での事故調査委員会で、当時の閣僚・官房長官の証言では「伝言ゲームのようだった」などと、当時まったく官邸が機能せず、右往左往していた様子が浮き彫りになりました。ところが野田首相は、規制庁の設置さえしないまま、大飯原発の再稼働を強行しました。「収束宣言」といい今回の再稼働といい、まったく国民の安全を無視したやり方に批判の声が集中しました。

 ⑦ 6月15日、首相官邸前で再稼働に反対して11000人が参加した抗議行動がおこなわれました。その後も官邸前での「再稼働反対」の運動はますますひろがり、29日には20万人が参加しました。名古屋でも関電東海支社前での抗議行動がおこなわれ、回を重ねるごとに参加者が増えています。6月には電力会社各社の株主総会が開かれ〝脱原発〟の意見がだされたもののこれらをしりぞけました。関西電力・八木社長は会見で「原発は重要な電源。脱原発は全く(考えに)ない」(中日6/30)と言い放ちました。

 

5.小さな政府・自治体、道州制に反対するたたかい

(1)住民が主人公の地方自治を考える交流集会

 ① 11年11月12日、住民が主人公の地方自治を考える交流集会(7団体実行委員会主催)を開催し、労働会館東館ホールに98人が参加しました。記念講演で二宮厚美・神戸大教授(当時)は、来年焦点となる消費税について「消費税の『社会保障目的税』化は危険であること」にあわせ、地域主権改革の実験場として『子育て新システム』により、国が福祉・保育の責任を放棄している問題点を強く指摘しました。実行委員会では、関西で異常な人気を得ている橋下市長の問題について5月25日、学習会をおこないました。「どうなる大阪・橋下「改革」?~関西からすすむ究極の自治体構造改革を斬る~」と題した講演(二宮厚美氏)は会場いっぱいの108人が参加し、「橋下改革」の本質をえぐりだしました。

 ② 愛労連・愛知公務共闘・中部ブロック国公などで構成する実行委員会主催の「地域主権改革」シンポジウムが3月3日に開催されました。講演は二宮厚美神戸大教授。民主党がすすめる「地域主権改革」という概念がきわめてあいまいであることや道州制の導入につながるものであることなどをきびしく批判、また国土交通省の地方整備局の廃止やハローワークの移管・廃止、福祉施設の設置基準の緩和など住民の生活権をおびやかすことになると批判しました。

 

(2)春の自治体キャラバンの到達

 ① 5月15日~30日にかけておこなわれた春の自治体キャラバンは、のべ330人が参加しました。自治体の非正規の待遇改善、住民サービスの向上などの要請項目で懇談をすすめてきました。

 ② 非常勤職員の時給ではいまだ700円台がありますが、その改善や公契約条例の制定などを要請しましたが、他市の動向をみながらすすめるという自治体がほとんどです。県・豊橋市では研究会をたちあげています。とくに今年めだったのは、高校生・中学生の就職問題で「自衛隊への体験入隊」をさせる自治体が増えていることが明らかになりました。

 ③ 知立市議会は6月議会で、キャラバン実行委員会が要請していた国に対する意見書のうち「憲法9条を生かし、核廃絶、非核3原則の厳正遵守を求める意見書」「TPP(環太平洋経済連携協定)への参加に反対する意見書」「原発をなくし、自然エネルギーへの転換を求める意見書」について、委員会では不採択でしたが、本会議で可決しました。キャラバンの大きな成果です。

 

6.TPP参加に反対するとりくみ

 ① 野田首相は、TPP(環太平洋経済連携協定)[10]参加を表明しました。しかし関税の完全な撤廃、非関税障壁の撤廃を前提とするこの自由貿易協定に日本が参加することは「農業ばかりか日本社会そのものが崩壊する」という懸念が全国にひろがっています。愛労連は参加反対の立場から、11月18日、市民団体とも協力し大妻女子大・田代洋一教授をむかえて学習会を開催。田代氏は農業破壊だけでなく、TPP参加は労働・医療・共済などすべてにわたって、アメリカの要求が押しつけられてきます。食料自給率の低下によって食料主権がうばわれる危険性を指摘し、食の安全・食料主権確立の課題で国民的運動が必要だと強調しました。

 ② 愛労連はTPP参加問題で職場討議用のリーフレットを作成し、職場での学習運動を提起しました。労働分野ではどのような影響が出るのか、関税(傾斜関税[11])撤廃などで食品加工業従事者340万人が失業(農水省発表)することや公共調達をとおしてアメリカの資本の参入、アジアの低賃金労働者の流入によるいっそうの低賃金化などを指摘しました。

 ③ 愛知食農健が毎月とりくんでいる宣伝行動にも参加し、TPPの危険性を訴えてきました。また6月30日に愛知食農健が主催するTPP学習会にも積極的に参加してきました。この学習会に対して愛知食農健は医師会やJA愛知にも参加をよびかけましたが、両団体は不参加を表明。TPPそのものには反対しているものの、運動のひろがりという点ではまだ不十分です。引き続き共同がひろがるような運動の強化が必要です。

 

7.憲法と平和を守るたたかい

(1)九条の会、憲法と平和を守る愛知の会の活動

 ① 国会で憲法審査会が始動しました。民主党の「憲法調査会」会長は改憲論者・前原政調会長が就任。自民党改憲案は「天皇の元首化、君が代・国旗の明確な位置づけ」をはじめ、大震災など非常時には内閣への権力集中や96条を改悪し「改憲のハードルを下げる」ことまで含まれています。また一部自治体首長のなかにも平和憲法を否定する発言が相次いでいます。こうしたなか愛労連は「憲法と平和を守る愛知の会」「愛知九条の会」に参加しながら憲法・平和を守るとりくみをすすめてきました。

 ② 「愛知九条の会」には事務局として参加し、11月の県民のつどい、2月の7周年のつどい、6月の地域の会交流会、7月の西三河県民のつどいなど、とりくみをすすめてきました。

 ③ 「憲法と平和を守る愛知の会」の活動は2011年の通常国会途中に定例宣伝は中断したままになっており、再開なども含めて世話人会で確認していくことにしています。

 ④ 5月3日(憲法記念日)に開催された「憲法施行65周年記念市民のつどい」(愛知憲法会議主催)は、近年にない2600人が参加しました。愛労連は、要員派遣やチケットの普及などに協力してきました。

 ⑤ 2011平和のための戦争展に積極的に協力してきました。20回目となった愛知平和のための戦争展は、8月12~15日に名古屋市公会堂4階ホールを中心におこなわれ、1750人が会場を訪れました。12年は満州事変80年・太平洋戦争開戦70年・日米安保60年という節目とも重なり、多彩な展示がおこなわれました。満州事変80年の特別展示では、発生当時の1930年代前半の新聞号外が展示され、日本軍の侵略の実態が生々しく伝えられました。また20周年記念行事として前宜野湾市長・伊波洋一氏をむかえた講演と東日本大震災支援チャリティーコンサートもおこなわれました。平和を語る8月名古屋集会に参加してきました。8月15日に開催した「平和を語る8月名古屋集会」には70人が参加しました。原発の問題を中心にしたテーマでした。

 

(2)原水爆禁止世界大会(長崎)への積極的な参加

 ① 11年8月9日、原水爆禁止世界大会が長崎で開催されました。組合員も全体で100人が参加しました。日本政府はイラン核開発疑惑、北朝鮮の〝ミサイル発射〟など不安定な情勢を口実に、アメリカの「核の傘」に固執しています。「核の傘」では平和は守れません。核兵器廃絶はますます重要になっていることが強調された大会になりました。

 ② 福島第一原発の事故で原発の危険性が明らかになりました。「原発は核抑止力」というのが日本政府の立場です。全国の原発には使用済み核燃料・プルトニウムが貯蔵[12]されており、全国で1万3530㌧(広島型原爆1000発分)にも達しています。脱原発が強調された大会で、核兵器廃絶にむけた国際条約制定にむけて各国政府はテーブルにつくよう求める署名の全国的な展開をよびかけました。

 

8.諸課題での共闘

(1)消費者大会

第42回愛知県消費者大会は「これでいいのか私たちのくらし」をテーマに、2011年8月22日から2012年4月1日までに食品安全・エネルギー・防災・税金・平和・自然など多彩なテーマで分科会を10企画、悪質商法被害をテーマとした消費者庁主催の消費者グループフォーラムin中部にも参加しました。メインの講演会は、名古屋大学の高野雅夫准教授を招き「エネルギーシフトをめざして~脱原発と自然エネルギー社会へ」をテーマに学びました。

 

(2)愛知食農健

 ① 愛知食農健(日本の食糧・農業・健康を考える愛知の会)は昨年2月に、県下一円でTPP参加反対の宣伝行動以降、毎月宣伝行動を実施しています。愛労連もこの宣伝行動に積極的に参加してきました。

 ② 5月26日に開かれた第24回総会に参加し、TPP参加反対のたたかいをともにすすめていくことを確認しました。また6月30日のTPP学習会に積極的に組合員の参加をよびかけました。

 

(3)反貧困ネットワーク

 ① 「格差と貧困」がいっそう深刻になっており、生活保護受給者が史上最高になっています。そのなかで反貧困ネットあいちの活動も継続されてきました。政策部会では「税と社会保障」に関わって生活保護・医療福祉・年金などの連続講座を開催してきました。厚労省は生活保護基準の引き下げとあわせて自治体の生活保護窓口に警察官OBの配置をすすめており、ネットワークでは県と名古屋市への要請をおこなってきました。

 ② またこの運動を若い世代にひろげるために大学生などとともに実行委員会をつくり2回の「フォーラム 県内の若者集まれ」を開催し、それぞれ100人が参加しました。5月27日には春日井市で「反貧困なんでも相談会」を開催しました。この実行委員会には尾中労連も参加しました。

 

(4)国際人権活動愛知連絡会、国民救援会など

 ① 国際人権活動愛知連絡会の活動は、国際人権の立場から女性差別撤廃条約(10月)、総会・記念講演(12月)、比例定数削減のねらいを斬る(4月)などをテーマに学習会を重ねてきました。

 ② 国民救援会は、社会からえん罪をなくす・弾圧を許さない・国民の自由を守るなどの活動を中心に、おもなとりくみとして名張毒ぶどう酒事件全国支援集会(9月)、大会(10月)、新春宣伝行動・3団体共同旗開き(1月)、えん罪事件の支援、労働事件など裁判の支援活動を中心にすすめてきました。

 

(5)市民と言論実行委員会

マスコミ関係の市民団体と労働組合で構成する市民と言論実行委員会は今年度2回のシンポジウムを開催しました。10月におこなわれた第26回では「原発『安全神話』はどうつくられたのか」をテーマに原研労組の花島書記長、名大名誉教授の柘植新さんが講演しました。今年3月の第27回シンポではいち早く秘密保全法を問題にし「秘密保全法と国民の知る権利」をテーマに討論しました。

 

(6)鉄道フォーラムあいち

 ① 2011年度も愛知での利用者アンケートにとりくみながら、国民の交通権や鉄道の安全問題などについて討議をすすめてきました。

 ② 国鉄闘争を支援する東海の会では、愛知・岐阜・三重・静岡各県それぞれの会に状況の違いはありますが、国鉄闘争の終結のもとで発展的解消方向を模索しています。2012年の「利用者アンケート」は継続を確認してきました。

 

(7)憲法改悪反対愛知共同センター

 ① 2011年9月から5月にかけて8回の事務局会議と1回の学習会、運営委員会と地元国会議員要請も1回おこないました。11月の学習会を、愛知憲法会議、自由法曹団愛知支部と共催し、その後の共同行動を深めることを討議しました。

 ② 9の日行動は、2月から革新愛知の会グループと行動を統一しました。地域の共同センターとの連携や署名の集約などに弱さがあり、今後とりくみを強めようと動きだしています。2月の学習会を契機にメーリングリストを作成し、隔週の栄バスターミナル宣伝をはじめました。4月2日に「秘密保全法に反対する愛知の会」が結成されました。その後も学習会や宣伝活動が継続され、通常国会では上程を断念させました。しかし息の根をとめるまでと運動しています。

 

(8)非核名古屋港の会

「核兵器も放射能汚染もない非核名古屋港の会」(略称「非核名古屋港の会」)をたちあげ、名古屋港管理組合議会に、核兵器搭載艦船や原子力艦船の入港拒否、それに「非核証明書」の提出と放射能汚染貨物の搬入をさせない措置の実施を求める請願署名をすすめる会が2月24日発足し、運動がはじまりました。5月27日には名古屋港の空間放射線量を測定するなど、多彩な行動にとりくんでいます。 

 

9.愛知県政、名古屋市政をめぐるとりくみ

 ① 愛知県は「産業労働ビジョン」もとづき、航空宇宙産業を軸とする新産業立地に力点をおき、大企業のために100億円を上限とする補助金を具体化しました。一方で廃業の流れがとまらない中小企業支援については海外進出の支援や貸付金にとどまっています。知事公約の中小企業振興条例については各団体の意見を聞く懇談会を設置し、9月議会での成立にむけて準備をすすめています。県民生活に関わる施策では「地域主権改革」をみこして、医療・福祉分野で県や市町村独自の「上乗せ・横出し」をことごとくなくしてきています。その結果、今年度から協会けんぽ・介護保険料が大幅な値上げになっています。保険料や税金の滞納が増えるなか、県は市町村の困難事例を「滞納整理機構」に集中させ、差し押さえなどを強めています。

 ② 名古屋市の河村市長は昨年末に市民税の5%「減税」を成立させました。その財源確保を目的に「事業仕分け」をおこないましたが「敬老パスの見直し」「女性会館の廃止」など、市民の反発で大半が今年度実施は見送られました。一方で職員の賃下げ、市民病院の閉鎖・民間売却など減税の犠牲押しつけがおこなわれています。「減税」条例が成立以後、自公民のすりよりが強まり「金シャチ横町」設置など自民党からの要求がとり入れられるようになり「オール与党化」を強めています。河村市長の「南京発言」もこの動きのなかで起きています。

 ③ 革新市政の会はこの間「住民要求」を軸にすえてたたかいを強めてきました。事業仕分けについては各組織が分担して利用者の声を集めて反撃しました。年金者組合を中心に高すぎる国保料や介護保険料を下げる運動や、保育関係者と協力して保育・学童保育を守る運動などをすすめてきました。

 

【3】組織拡大強化のとりくみ

1.組織拡大のとりくみ

(1)秋の組織拡大月間(10月~12月)

 ① 秋の組織拡大月間を10月~12月の3か月間に設定し、拡大目標を2000人としてとりくんできました。9月28日に組織拡大決起集会を開催し、単産・地域から54人が参加しました。講演はJMIU中央本部書記長・三木陵一氏。JMIUにおける未組織労働者の組織化について具体的な事例を学びました。実践報告では福保労が事業所いっせい訪問とその後の訪問で分会をつくってきた経験、生協労連が「何でも話そう会」、東海法労はアンケート活動で要求をあつめ、弁護士会への要請など地道な活動で組合員を増やしていることなどが報告され、元気に月間のスタートを切りました。

 ② 各単産は独自に目標をたててとりくみをすすめました。月間を通して689人の加盟をかちとり、全国一般では労働相談をきっかけに安城の犬猫病院で分会を結成しました。

 ③ 民間部会のキャラバン宣伝を秋と春の2回にわたってとりくんできました。秋には西三河を中心に実施し、春の宣伝では尾張地域を中心にとりくんできました。

 ④ 月間中に組織拡大推進委員会を2回開催し、単産・地域労連のとりくみについて経験交流をおこないました。宣伝資材としてはティッシュと権利手帳を準備し、活用をよびかけてきました。

 ⑤ 秋の組織拡大は、職場未加入者やまわりの非正規労働者をどれだけ組織するかが課題です。とくに非正規労働者については、公務関連組合は意識的に拡大を追求しています。また民間では職場での未加入者が多くいますが、統一的な行動の配置など、思い切った加入のよびかけが必要になっています。

 

(2)春の組織拡大月間(3月~5月)

 ① 春の組織拡大月間は3月~5月を月間に設定し、3000人の拡大目標をかかげてとりくみをすすめてきました。とりわけ、新規採用者の100%加入を獲得するとともに、非正規労働者の積極的な加入よびかけを重視してきました。月間中の到達は2682人になりました。

 ② 医労連は年間目標の1万2000人組織めざして奮闘しました。春の月間(3月から5月)では1181人を拡大し、その後も7月8日の定期大会に向けて奮闘。大会時現勢で昨年を302名上回る11,371人となりました。年間での拡大数は1541人で初めて1500人を突破しています。2月におこなった組織合宿で新人100加入をめざして意思統一。昨年新人100%加入を達成した名南会労組の加入を訴える際の「15分シナリオ」を活かし、説明会では若い仲間がそのシナリオを使って訴え、名南会労組では2年連続の100%、名大や名市大での3桁拡大など多くのところで成果を上げました。

 ③ 福祉保育労では6月6日段階で昨年の大会水準を上まわる824人に到達。拡大のヤマ場に設定した新歓行事「グリーンフェスティバル」(5月12日)をめざしたとりくみで、年度末の退職などに伴う脱退を回復し、この時点で過去最大の現勢を実現しました。また、このとりくみには加入対象者も誘っており、とりくみまでに16人が加入しています。今年度の目標である850人地本の実現にむけてとりくみを強めています。

 ④ 自治労連では、6月末日現在、県下1463人の採用に対して832人の新規採用者を組合にむかえ入れています。しかし、今年は採用人数が多いこともあり加入率では56%と前年を下回っており、6月末をめざして新規採用者の100%加入をめざして奮闘が続きました。同時に、新規採用者だけでなく職場の非正規労働者や転勤者、再任用者などへの加入訴えも重視し、全体では1191人の拡大となりました。

 ⑤ 年金者組合では、すべての支部が目標を持つことを重視してとりくみをすすめ、5月28日現在で、7043人を達成。6月も平和行進やかがやけ命の行進などのとりくみを通じて仲間増やしを追求し、6月末段階で過去最高の7133人を達成しています。

 ⑥ 検数労連では9人の新人全員が加入し、建交労では各組織が計画を持ち、その計画を県本部に提出してもらうことを重視してとりくみをすすめ72人を拡大しています。きずなでは、企画や行事などでつながった関係を発展させ拡大に結びつけています。

 

(3)労働相談から組織拡大へ

 ① 労働相談活動は、月によって相談数の変動はあるものの、内容は深刻さを増しています。組織の拡大につながるように、積極的に単産への加入をよびかけています。

 ② また、産別に相談があっても専従者がいない、あるいは対応がわからないなどの場合もあり、単産で相談体制の強化が必要です。

 

2.組織強化のとりくみ

(1)第1回愛労連「特別セミナー」

愛労連特別セミナーは5月11~13日の3日間、蒲郡市内でおこないました。この「特別セミナー」の目的はこれからの労働組合運動をになう人を対象に、経済・哲学・労働組合論を中心に労働組合にとって必要な理論学習として実施したものです。今回30人と参加者は少なかったものの参加した人は一様に「学習内容のすばらしさ」を強調しています。労働組合運動の前進が困難ななか、何が必要かを学ぶことが今ほど大事なときはありません。この特別セミナーは、2回目以降も実施する方向で議論し、内容を確定していきます。職場・地域で役員が交代し、若返りがはかられているなかで、労働組合の歴史や実務分野はもちろん、「ものの見方・考え方(哲学)」なども学習する場が必要となっています。

 

(2)第3回愛労連セミナー(勤労者通信大学「労組コース」による)

今年で3回目となる愛労連セミナーは、今年度尾中地区労連の協力のもとでおこないました。受講生は13人で、3月から6月までの4か月間、月1度のペースで開催。勤労者通信大学の労組コースを使用して班討論と講義をあわせたものとしました。また地元の「課題」をテーマに「小牧基地問題」「春日井民商の実態」「尾中地区労連の歴史」「ツイッターなどの活用法」のテーマで学習をあわせておこないました。

 

(3)機関紙宣伝学校など教宣活動のとりくみ

 ① 11年10月29日・30日の2日間、第16回あいち機関紙・宣伝学校を開催し10単産・1地域などから91人が参加しました。初日の全国革新懇ニュース編集長・阿部悦子さんの講演は、自身の経験をもとに「相互理解を深めるために継続的な関わりをもつ」ことの重要性を強調しました。2日目の実践講座は、Ⅰ紙面で新聞づくり、Ⅱデジカメコース、Ⅲパソコンでチラシづくり、Ⅳパソコンで新聞づくりの4講座にわかれておこないました。パソコンでのチラシづくりコースは、Ⅳ講座同様、参加人数が増えると運営がきびしく、実行委員を集中させる必要があります。

 ② 愛労連新聞の編集体制は、通信員制度としました。登録者は現在15人です。職場・地域のできごとをできる限り紙面に反映させるための制度です。2回の通信員会議をもち、制度のあり方も含め意見交換をおこないました。

 ③ 愛知学習協に常任理事を派遣し、勤労者通信大学の推進、「学習の友」を使った「学ぶ集団づくり」などをすすめてきました。今年度は勤通大受講者120人目標のうち95人(6月17日現在)で、全国的にも東京についで2番目と奮闘しています。

 

(4)共済活動について

 ① 全労連共済発足にともない、全労連共済愛知支部(呼称:愛知共済会)がスタートして2年余がたちました。この間、組織委員会や事務局組合を中心に拡大にとりくんできましたが、基本共済は加入者数微減が続いています。しかし任意共済や自動車保険では、構成員にねばり強く加入を訴えるなかで、わずかですが増勢で総会をむかえることができました。労働組合の自主共済運動を前進させ、増勢に転じる新しい流れに本格的にとりくむことが求められています。

 ② 愛労連として共済活動の強化・前進のために愛知共済会事務局と愛労連四役との懇談を5回開催しました。愛労連傘下の単産・地域労連での共済加入実態についての調査、愛労連としての共済活動交流会の開催、愛労連機関紙で共済活動をとりあげることなどを申しあわせました。

 ③ 愛労連としてはじめて共済担当者学習交流会を開催し、7単産から15名(愛知共済会・講師・事務局)が参加しました。講演には全労連共済専務理事の長谷川栄さんを講師に迎え「共済活動の今日的意義と現状、TPPで共済がどうなるか」について学びました。交流では、各単産から共済活動における苦労と同時に共済があるからこそ組織を減らさず強化や拡大に結びついていること、他単産の共済メニューを比べながら改良にとりくんでいること、産別共済にないメニューを全労連共済でカバーできることなど、今後の活動に役立つ交流がされました。学習交流会にむけて共済活動実態調査にもとりくみ、愛労連加盟組合における共済加入実態を明らかにしました。

 

3.各機関のとりくみ

(1)女性協議会のとりくみ

 ① 11年7月2日に第22回定期総会をおこない、女性の権利向上にむけて、職場の実態をだしあい、交流を深めました。8月11日には、国際交流あいち平和女性のつどいがおこなわれ70人が参加。ジョセフ・ガーソンさん(アメリカ)、ロラン・オルダムさん(タヒチ・核実験被害者組織「ムルロアと私たち」会長)の2人と交流しました。

 ② 9月18日には第57回あいち母親大会が瀬戸市文化センターを全体会場として開催され、1300人が集まりました。記念講演は伊藤千尋氏。「憲法を活かして平和を創る―原発も基地もない世界を」と題した講演がおこなわれました。午後の分科会では女性協として「女性のしゃべり場」分科会を担当しました。

 ③ 一泊幹事会は10月8日の原発学習会に参加後、役員・幹事の10人が「ウィルあいち」に宿泊し、職場の状況などを交流しました。翌日は愛労連事務所へ移動し、幹事会を開催しました。

 ④ 10月30日には「はたらく女性の愛知県集会」を開催し、100人が参加ました。森住卓さんが講演。森住さんは「福島の危険区域に住民がいるのに、警察も病院も役場もたよれる人は誰ひとりいない」という現実を写真で示し、マスコミが報道していない実態を語りました。

 ⑤ 12月3日は民主会館で女性協9条の会第5回総会をおこないました。参加は51人でした。「東京原発」のDVDを鑑賞後、原発センター代表委員の三枝豊明さんからDVDの補足の部分と「福島原発事故で何が起こったのか」について詳細を聞きました。総会の前には愛労連女性協がよびかけ、自治労連女性部や国公女性協の仲間と栄・丸栄スカイル前で約30分間の署名宣伝行動をおこない、原発廃止署名を19筆、核兵器なくそう署名を1筆集めました。

 ⑥ 1月9日には女性協新春のつどいをおこない、62人が参加しました。記念講演は伊豆市の住職・佐治妙心さん。佐治さんは自作の紙芝居で平和の大切さを語り、各地で講演をおこなっています。参加者は「本当に胸に響くお話だった」と一様に感銘をうけていました。

 ⑦ 3月11日の震災から1年目を迎えた日、女性協の宣伝として30分間、栄丸栄スカイル前で、憲法や春闘・原発などさまざまに訴えて、署名とチラシ配布をおこないました。

 ⑧ 全労連女性部に常任委員を送り、全国のとりくみにも積極的に参加してきました。5月19~20日には、東海北陸ブロック女性交流会が富山県で開催され、愛知からも3人が参加しました。

 

(2)青年協議会のとりくみ

 ① 東海北陸ブロック青年部サマーセミナーin焼津(9月23~25日)では、参加者は120人と過去最高を記録。東日本大震災と労働組合の力というテーマで、青年が社会や自分たちの将来について真剣に考える契機となりました。

 ② 全国青年大集会にむけて、3つのステップでとりくみました。Stand up集会で青年の雇用実態を学び、栄スポーツ広場でおこなわれた“若者コレクション”では愛知の青年の実態を共有し、署名宣伝活動にもとりくみました。全国青年大集会には愛知からも多くの青年が参加しました。

 ③ 11月3日に青年協学習会「私たちの未来のために学ぼう」を開催しました。講師に全労連・伊藤圭一氏を招き、資料やデータ上からも今の雇用情勢のきびしさが表れていることを知り、青年独自の問題意識や要求をつくりだすことの重要性を学びました。

 ④  11月8日に代表委員会を開催し、愛知の青年運動で青年協が中心的役割を果たしてほしいという期待があるものの、活動が困難になってきている実態が明らかになりました。

 ⑤ 12月3日、第22回定期総会を開催しました。記念講演は生田武志さん(NPO野宿者ネットワーク代表)を講師に、野宿者の実態と世相について講演をしてもらいました。第2部の総会では、活発な意見がだされ、次年度にむけて団結がんばろうで閉会しました。

 ⑥ 2月18日と3月3日の2回にわたり「学びのカフェ」をおこないました。労働組合アンケートにもとづいて「面白い労組VSめんどうくさい労組」と「人生、仕事派VSプライベート派」をテーマに討論し、率直な意見交換をおこないました。

 ⑦ 平和のとりくみとして「日米地位協定を変える実行委員会」で活動。昨年のクリスマス街頭宣伝、3月18日の学習会にとりくみました。

 ⑧ 新歓企画として「青年協新歓地引網バスツアー」にとりくみ、46人が参加。これまでにない新たな交流とオリエンテーションができました。

 ⑨ つながればかえられる実行委員会や青年ネットでの活動を通じ、民主団体と共闘・連帯をはかることができました。

 ⑩ 東海北陸ブロックでの青年部活動の確立・交流・拡大にむけて、第21回サマーセミナーの実行委員会を愛知でも立ちあげました。

 ⑪ 月2回の幹事会を定例化し、会議のはじめに勤通大「基礎コース」にとりくみ、学習と役員の交流にいかすこともできました。今年は役員の数が多いことから、例年以上に多分野での活動の幅をひろげてきました。また会議で不足する部分は、メーリングリストを活用して運営するなどの工夫もしました。不定期ですが、愛労連機関誌で青年協のとりくみを紹介・発信することができました。

 

(3)専門部・部会

1)パート・臨時労組連絡会のとりくみ

 ① 9月1日、「学習会&職場交流会」を開催しました。参加は21人。健康センター・宮崎脩一さんを講師に「パワハラ・セクハラ問題にどう対処するか」というテーマで学習会をおこない、学習後は参加者から職場での問題点が次々とだされました。率直な意見交換の場になり学習交流の必要性を感じる中身でした。

 ② 11月27日、第16回パート・臨時などの元気の出る集会をおこないました。参加は51人。午前中は分科会、昼休みの交流、記念講演の三部構成で実施しました。講演は福島県労連事務局長・福島一般労組委員長の野木茂雄さんを招き「たたかって希望をひらく-原発事故とのたたかい・福島からの報告」と題した話を聞きました。県民アンケートでは「福島第一原発は廃炉に」が86.9%にも達し、こうした要求実現のために全力をあげていると報告がありました。終了後は金山駅北口で15人が参加し、「原発廃炉」を求める宣伝行動をおこないました。

 ③ 3月30日、パ臨連第8回総会をおこない参加は32人でした。前半は全労連パ臨連事務局長の江花新さんをむかえ「正規雇用が当たり前の社会をめざして」と題した学習会。現在国会に提出されている「有期雇用法案」の中身・問題点を学びました。総会では議案の提案後、短時間で職場のとりくみ報告がおこなわれました。12国民春闘ヤマ場にストでたたかった郵産労や建交労保育パート支部のストライキ支援のお礼の発言に、あたたかい拍手が送られました。

 

2)民間部会

 ① 定期的に事務局会議・幹事会を開催しました。2011年8月8日、民間単産代表者会議を開催し、民間部会としての体制を確立し、その後事務局会議を8回、幹事会を1回開催しました。

 ② 民間単産の共通の課題である未組織労働者の組織化のために、秋は9月29日に一宮・津島地域で、9月30日に岡崎・豊田地域で未組織宣伝行動をおこないました。春は3月21日に西三河地域で、同22日に春日井・瀬戸・日進地域でおこないました。21日の参加は朝の宣伝が11名、終日行動は6名。22日の参加は朝宣伝が12名、終日行動が6名。配布物はビラ2400枚、トヨタ総行動ビラ500枚、権利手帳650部、ティッシュ2000個です。

 ③ 不安定雇用をなくすたたかいと争議支援にとりくみました。

 ④ 11月22日に中小企業家同友会との懇談を実施しました。民間部会三役・愛労連が参加しました。愛労連がとりくんだ中小企業調査の結果を報告し、愛知の製造業・運輸業の実態について意見交換しました。同友会側からは「中小企業憲章」についてのパブリックコメントについて報告があり、今後中小企業経営者と共同をすすめるうえでの手がかりとなる懇談でした。

 

3)交運部会

 ① 11年8月11日:第18回定期総会(6単産・部会から20名が出席)。毎月定例的に幹事会を開催してきました。

 ② 12年2月19日:12年春闘勝利・震災復興、愛知自動車パレードの開催。今年度は輸送の安全・安心と交通運輸労働者の賃金・労働条件の改善のほか震災復興・脱原発のスローガンもかかげ、車両約55台・参加者約120人で港区・稲永埠頭から三の丸まで自動車パレードをおこないました。

 ③ 行政交渉:中部運輸局・愛知運輸支局・中部地方整備局・愛知労働局・愛知県・名古屋市・NEXCO中日本に対し、交通政策要求をかかげ11年7月下旬~8月上旬にかけて交渉を実施しました。また各交通モードの要求内容を理解するための要求交流集会を6月14日に開催してきました。

 ④ AICHI陸海空港湾労組連絡会とJAL争議支援のとりくみ:AICHI陸海空港湾労組連絡会は、愛知県内の交通運輸関係労組が連帯して「平和課題」を中心に活動を展開しています。今年度はJAL不当解雇事件に対する支援行動を本格的にとりくむことになり、3月31日に「JAL解雇撤回愛知の会」を発足させてきました。

 ⑤ おもなとりくみ:11年8月5日「放射能の内部被ばく問題」学習会(於:ウィンクあいち)/12月20日「JAL争議支援準備会発足&学習集会」(労働会館東館)/12年2月3日「解雇4要件についての学習会」(於:名古屋市教育館)/3月31日JAL不当判決糾弾宣伝行動(名古屋駅前)/ 「JAL解雇撤回愛知の会」結成集会(ウィンクあいち)/6月2日「JAL解雇撤回、学習決起集会」(於:労働会館東館)

 

4)労働相談活動のとりくみ

 ① 労働相談センターによせられる11年の相談件数は1176件で前年並みとなりました。依然として「賃金・残業等未払」や「解雇・雇い止め」が多く、パワハラやいじめで自主退職に追い込むような悪質な解雇が多くなっています。

 ② 相談を契機に組合に加入したたかう仲間も少なくなく、全国一般では安城の犬猫病院の仲間が加入・組合結成する経験も生まれています。単産に相談者を紹介することを通じて、労働相談センターが把握しているだけでも93人が加入しています。

 ③ 全労連が提起する全国一斉「労働相談ホットライン」を11年12月6日と12年3月2日にとりくみました。それぞれ9件と8件でしたが「6か月更新で4年間働いたが業績悪化で来年は更新できなくなった」「更新のたびに条件を切り下げられる」などの相談がよせられています。

 

4.地域労連のとりくみ

(1)地域労連のおもな活動

 ① 地域労連のとりくみは、消費税・平和の課題のほか、その地域独自の要求をもとにさまざまなとりくみをすすめています。結成当初からのとりくみやそのときどきの課題で地域諸団体との共同、住民との共同がひろがっています。

 ② 名古屋中地域センターも参加する栄総行動は毎年春と秋にとりくまれ、4月18日の行動で第77回をかぞえました。労働局や愛知経営協などへの要請、また争議支援など多彩な要求をもちよっての行動で昼休み集会には300人をこえる労働者が参加しています。

 ③ 中川地域センター「フェスティバル」、瑞穂区労連「夏祭り」など、地域の団体と協力して市民参加の行事を継続してとりくんでいます。また千種・名東労連は、香流川をきれいにする会、水道道桜まつりなど住民との協力で地域と結びついた活動をすすめています。

 ④ 東三河労連は、消費税廃止を求め毎月1回豊橋駅で宣伝行動を実施しています。また昨年11月26日には「浜岡原発いらない東三河の会」を結成しました。地引き網も定着し、多くの組合員と家族からよろこばれています。

 ⑤ 西三河労連、豊田・加茂労連は、トヨタ総行動で力を発揮し、とくにJR刈谷駅前での宣伝には毎回多くの組合員が参加しています。港地区労は地域総行動で常時50人以上の参加でとりくみをすすめるとともに、地域での定例的な消費税廃止、核兵器なくせなどの課題で宣伝活動をおこなっています。

 ⑥ 名北労連では地域労連の運動を支える集団づくりをめざし「ひろげようキタクノワ」と題して連続講座を開催してきました。大阪・橋下問題や組合がなくなると私たちの生活はどうなるのかなどをテーマに参加者も20人前後で成功させました。

 ⑦ 地域労連は、愛労連が提起する春と秋の地域総行動を担っています。すべての地域労連が早朝宣伝を実施してきました。昼の行動は困難になっていますが、それでも労働基準監督署や企業への要請行動などがとりくまれてきました。夜は学習交流会、決起集会・パレードなど多彩な行動を展開しています。

 

(2)地域労連の強化のとりくみ

 ① 地域労連は役員の選出や会議の運営もきびしくなっているのが現状です。愛労連として単産・地域労連が相互に力を発揮しつつ運動をすすめていくとしていますが、現状打開のために引き続き地域運動の交流会や必要に応じて単産・地域労連代表者会議を開催し、地域労連運動を強化・発展させていきます。

 ② 今年度、地域運動交流集会は実施できませんでしたが、こうした交流をとおして地域労連運動の活性化、地域との結びつきをいっそうつよめていきます。

 

第2章 情勢の特徴とたたかいの展望

1.若年層の貧困→日本社会崩壊の兆し

 ① 高校・大学を卒業しても就職先がない……。就職難と若年労働者における非正規・低賃金化は、生活保護受給者、自殺者の増大という深刻な貧困を生みだしています。非正規率は15~19歳で71.8%、35~39歳で27.9%。非正規労働者の9割が年収200万円以下の低賃金労働者で、若年正規労働者のなかにも年収300万円以下が45.4%(25~29歳)など年齢各層で2割以上に達しています。自立できない若年層。自分の収入だけでは生活できず、親の収入にたよらざるを得ない状況です。親はこれから年金生活に入っていくことになります。しかも年金支給開始年齢の繰り延べがはじまります。「子どもの生活を支えられるのか」不安がひろがっています。生活保護受給者や国民年金未納者の増大は税・社会保険収入を低下させ、社会保険制度、社会の基盤を掘りくずすことになります。

 ② 「貧困」は放置できない事態になっています。総合研究開発機構(NIRA)は08年の「報告書」で、93年から約10年間で生まれた非正規労働者が低賃金・無権利のまま老後をむかえた場合、77.4万人が生活保護受給者になり、そのための追加財政支出は20兆円にのぼると試算しています。09年5月にNHKが放映した「“35歳”を救え あすの日本 未来からの提言」は、大きな衝撃をあたえました。「35歳1万人アンケート」をもとに分析し、このまま雇用の非正規化や所得の低迷が続くという最悪のシナリオの場合、20年後には1)実質経済成長率はゼロ、国民生産は横ばいに。消費は伸びず、失業率は10%台・780万人になる、2)増税や福祉予算のカットで超コスト負担社会になる、3)消費税は18%になるというものです。国立社会保障・人口問題研究所は50年後に日本の人口は8674万人になると予測しています。まさに社会の崩壊です。最悪のシナリオをさけるために、生活できる賃金・安定した雇用の確保は緊急の課題になっています。

 ③ 労働者の賃金は97年以降、毎年低下し続けています。家のローンさえ組めず子どもへの仕送りも30年前よりも下がるなど、労働者の大部分は生活水準が低下しています。職場では成果主義と長時間労働で、労働者は心身をむしばまれ、過労死やうつ病の発症者が増えています。

 ④ 社会が崩壊にむかうという現実に、労働組合としてどう立ちむかうのかを正面からとりあげ、行動をおこさなければなりません。

 

2.なぜこんな事態になったのか―経済のグローバル化、新自由主義・構造改革の果てに

 ① こうした事態を招いた最大の原因は、新自由主義・構造改革路線の強行にあります。1985年の「プラザ合意」以降、急激な円高がすすみ大企業の海外進出、海外労働者との賃金・労働条件切り下げ競争がはじまりました。同年労働者派遣法が制定され、間接雇用の拡大に道を開くとともに、労働法制の全面的な規制緩和がすすみました。89年、「労働戦線の右翼再編」[13]がすすめられ「連合」が発足しました。財界はこれを歓迎し、反労働者・国民的な政策推進を一気にすすめることになりました。95年の日経連「新時代の日本的経営」をへて、新自由主義・構造改革路線が本格化します。大企業・多国籍企業はみずからの利益を第一に、新規採用の抑制(就職氷河期)、賃金の低下と成果主義賃金の導入、長時間労働を常態化させ、猛烈なコスト削減をすすめてきました。国や自治体も「集中改革プラン」などで新規採用を極端に押さえてきました。このため企業も公務職場でも非正規労働者が急増しました。04年には製造業派遣も解禁され、リーマンショックによる派遣切りが全国で吹き荒れたのは08年~09年です。「経済のグローバル化」「国際競争力強化」の名のもとに日本社会にはかつてない「貧困と格差」が拡大していったのです。

 ② 東日本大震災以降、経済はますますグローバル化しています。多国籍企業として日本の大企業は、円高を口実にますます海外での展開をつよめ、国民経済を顧みようとはしていません。トヨタは12年度870万台生産のうち、はじめて6割を超える530万台は海外生産とすることを明らかにしました。電気産業[14]に至っては、いまやテレビ・パソコンなどの「単品売り」をやめ「システム売り」と称して「原子力・水・鉄道等」を海外での売り込みをすすめようとしています。さらに国内では「スマートシティ(コミュニティ・ビレッジ)」など再生エネルギーによる「都市丸ごと」建設から管理まで請け負う事業の展開をすすめるとしています。そのためソニー・NECをはじめ、電機産業各社は1万人をこえる規模の大量リストラを計画しています。

 ③ 大企業・グローバル企業は目先の利益のみを追及し、労働者のくらし・下請企業の経営を切り捨ててきました。ため込んだ内部留保は使い道がなく、金融投資にまわしています。こんな経済運営に、国民の未来はありません。大企業・多国籍企業への規制の強化と「多国籍企業に依存しない経済」の確立がいまほど求められているときはありません。

 

3.多国籍企業の利益優先政治、国民には大増税と社会保障解体

 ① 野田民主党内閣は6月26日、「社会保障と税の一体改革」で自公と合意のうえ、国会を延長して今国会での成立を強行しました。その内容は消費税を2014年8%・15年10%にひきあげる、一方社会保障は「社会保障制度改革推進法案骨子」[15]にもとづき、民自公3党による「社会保障改革推進国民会議」という密室ですすめ、国会での審議を抜きに強行しようとしているのです。大企業には法人税減税[16]をすすめる一方、労働者・国民には増税・社会保障改悪を押しつけるという「背信政治」そのものです。増税は不況をさらに深刻化させ、増税を上回る税収減をもたらすものです。「一体改革」法案の廃止、実施させない運動が重要になっています。

 ② 野田首相は国民の切実な願いをふみにじって、大飯原発再稼働を決定しました。国民の安全・健康よりも電力会社・原発利益共同体の利益を優先させました。大飯原発の安全性は何も担保されておらず、福島原発事故の究明もされないまま、電力会社・財界の意向を鵜呑みにした許しがたい〝決断〟です。さらに許せないのは、自公と密室で「原子力規制委員会設置法」の成立を強行しましたが、このなかで「原子力基本法」の「原子力平和利用原則」に「安全保障に資する」という一文を入れました。これはアメリカの核戦略の一環を日本が担うというもので、原子力の軍事利用に道を開くものです。

 ③ 福島原発事故は解決どころかこれからの見通しさえたっていません。炉心がどういう状況にあるのかさえ把握できず、いまだに放射性物質を放出しているため福島県は16万人が避難(うち6万人が県外) 生活を余儀なくされています。6月20日の東電による事故調査報告書は「想定外の津波が原因」などといいわけと開き直りに終始した内容で、何も反省していません。中電・浜岡原発は震源地の真上に建設された世界一危険な原発であり、また「廃棄物処理技術は未確立である」[17]と日本学術会議が発表したことで中電の主張はくずれました。政府・財界、電力会社はこれだけの事故をおこしながら何も反省せず「原発を海外に輸出」するため〝再稼働を〟急いでいるのです。

 ④ 脱原発・自然エネルギーへの転換はまったなしです。政府・財界は「夏の電力不足」を口実に再稼働を強行していますが、まったく根拠はありません。自然エネルギーの普及による地域経済の活性化と雇用の創出は緊急の課題になっています。

 

4.沖縄をはじめとする米軍基地問題、日米同盟優先の政治にふみにじられ

 ① アメリカが沖縄普天間基地に配備を計画している新型輸送機・オスプレイ[18]は6月13日、フロリダ州で訓練中に墜落。米軍が環境審査報告書を公表し「安全」を宣言した直後のことでした。6月17日、宜野湾市で5200人の県民がオスプレイ配備反対の集会を開催、地域自治会や少年野球チームなども参加し、文字どおり「オール沖縄」で配備反対、普天間基地撤去を主張しました。ところがアメリカは、オスプレイの飛行訓練を日本本土の真上で実施する計画を明らかにしました。これは九州・四国・本州にわたって、いつ墜落するかわからないオスプレイ飛行訓練を年間で300回ほどおこなうというものです。こんなことを許しておくわけにはいきません。

 ② 野田首相は、沖縄県民の願いをふみにじり普天間基地の辺野古移設、グアム基地移転など、日米同盟強化を打ち上げています。日米同盟強化では日本とアジアの平和は守れません。小牧基地の機能強化反対など、平和を守るために労働組合として安保条約廃棄にむけた運動を強化しなければならない時期にさしかかっています。

 ③ 国民の反対・慎重論がうずまくなか、野田首相はTPP参加を表明しました。参加表明以後、アメリカ議会で日本のTPP参加にあたっての公聴会では「コメも含めて例外なしにせよ」「早く牛肉の輸入規制を取っ払え」「食品表示などは『非関税障壁』だ」など恫喝ともいえる〝要望〟がだされました。それでも財界は参加すべきと主張、政府に迫っています。JA・医療団体、また北海道をはじめ農業県を中心に反対運動がひろがっています。「ISD条項」[19]は国の主権・国民のくらしを根底から脅かすものです。

 ④ 8月4日~6日の原水爆禁止世界大会(広島)に大きな期待が高まっています。エジプト・メキシコ・オーストリア・スイスの政府代表、アメリカ・ヨーロッパの反核平和団体、アジア太平洋諸国の平和運動・核兵器禁止世代の青年代表などが参加準備をすすめています。安保条約・「核の傘」にしがみつく民主党政権の危険性を国民に知らせていく必要があります。

 

5.憲法改悪、道州制導入、大阪・橋下市長らの台頭の意味

 ① 大阪橋下市長のような〝政治家〟の台頭は何を意味するのでしょうか。彼の主張と政策は「小泉構造改革」への回帰そのもので、徹底した「自己責任」と公務・公共性の解体です。しかも「憲法改悪」「教育改悪」を強行する「独裁体制」の確立をねらっています。閉塞感の打破や「変化」を求める国民に対し「改革」を強く押しだすことで支持を集めるという〝ポピュリズム[20]〟です。橋下氏の「政策」のルーツは、米ウィスコンシン州・ウォーカー知事(共和党急進派TP出身)の政策[21]です。

 ② 「自己責任論」の影響は想像以上に深いものがあります。とくに若者を中心に拡大しています。派遣切りで「クビを切られたのは自分のせい」「就職できなかったのは自分の努力が足りなかったから」などの声が絶えません。政府や財界はこの「自己責任論」を、東日本大震災の復興・被災者にまで押しつけています。復興構想会議「復興への提言」[22]でそのことが明記されています。

 ③ 原発再稼働・消費税増税をめぐって、これまで以上にメディアの退廃ぶりが明らかになりました。とりわけ消費税増税では大手新聞(朝日・毎日・読売)はこぞって野田首相の〝決断〟を評価する始末です。民自公による〝増税談合〟に対して「決められる政治」などともちあげ「一体改革」の本質にせまる報道は皆無でした。原発再稼働に反対する首相官邸包囲行動は1万人、4万5000人とひろがりをみせているのにメディアは報道しないという体たらくです。「メディアが黙殺すると権力は暴走する」といわれるように、財界・政界・官界・学会・メディアによる癒着の権力構造があらわになりました。

 ④ 『自己責任論』は国・自治体の政策、社会保障分野でも〝相互扶助論〟や連帯・支え合いなどと称して強要し国・自治体、財界の責任逃れを「合法化」する思想(イデオロギー)攻撃にほかなりません。しかしそれでも世論は健全で、脱原発・消費税増税ノーの世論は高まっています。マスコミの執拗な〝誘導〟にも関わらず、民主党政権・増税談合勢力を追いこんでいます。これは国民のたたかいの成果にほかなりません。全国、地方・地域、職場における労働組合の積極的なたたかいが大きな役割を果たしているといえます。

 

6.愛知県政、名古屋市政の情勢と市長選挙を見すえたとりくみ

 ① 大村知事が「中京都構想」、河村名古屋市長が「尾張名古屋共和国」構想を打ち上げています。いずれも自治体を広域化し、航空機産業や次世代自動車産業の育成と誘致をすすめることが目的です。県の「産業労働ビジョン」、「名古屋市産業振興ビジョン」では、大企業の誘致と海外に進出する企業を応援が中心で、地元に残ってがんばろうとしている下請中小企業に対する具体的な手立てはだされていません。

 ② 名古屋市内の中小企業(製造業23業種)は2010年4762、09年と比較して-7.9%減少しています。その前年は-11.2%と大幅な減少が続いています。これにともない、従業員数も-4.6%減の10万5404人で雇用数も減少しています。県全体でも同様の傾向です。ものづくりを標榜してきた愛知県・名古屋市ですが、いまその基盤が失われようとしています。県中小企業団体中央会の担当者は「空洞化とともに技術者が海外に流出すると、とりかえしがつかない」と危惧しています。自動車一辺倒の産業構造から脱却し、新たなものづくりへの転換が求められています。愛知県は中小企業振興(活性化)条例の制定を9月議会でおこなうとしていますが、実効あるものにしていく必要があります。

 ③ 県民・市民のくらしという点では県も名古屋市も削減という方向を打ちだしています。県は医療福祉制度の見直し、名古屋市は事業仕分け第2弾として敬老パスを含む見直しを予定しています。とくに名古屋市は河村市長がごり押しした「5%減税」の財源として市民のくらしを犠牲にして福祉のいっそうの削減をすすめています。

 ④ 来年4月、名古屋市長選挙がおこなわれます。今度の市長選挙は若者の貧困・雇用対策をどうするのか、地域経済のたてなおしや福祉・医療・くらしなど大きな争点での選挙戦となります。愛労連は革新市政の会に結集し、市長選挙勝利にむけ、全力をあげていきます。

 

7.重要性増す労働組合の役割

 ① 政府・財界の新自由主義的攻撃・構造改革推進に対して、労働組合の有効な反撃が求められています。連合は「構造改革」推進、原子力政策の推進、「社会保障と税の一体改革」推進をかかげるなど労働組合の本来の役割を投げ捨てています。労働者・国民の利益に反する連合のこうした否定的役割に連合職場からも批判の声があがるのは当然です。消費税増税反対など国民世論の形成に全労連や愛労連が大きな役割を果たしていることは明らかです。野田内閣や多国籍企業の暴走をとめるには、私たち全労連・愛労連組織がさらに大きな影響力をもたなければなりません。

 ② 職場の忙しさや、賃金・労働条件の改善がすすまないもとで、労働組合からの脱退が少なからずあります。また産別・地域結集からの離脱という声もではじめています。これは労働者個人にとっても職場の労働者にとっても何の解決にもならないばかりか、経営者や当局、支配者層にとって思うつぼです。今日、労働者の苦しみの根源は大企業・多国籍企業とその利益を優先する新自由主義・構造改革路線にあります。新自由主義・構造改革路線、財界の横暴と対決する労働組合=全労連・愛労連をさらに大きく強くしていくことがいまほど求められているときはありません。

 ③ 県内の労働者は圧倒的に未組織です。視野を思い切りひろげ「第3次組織拡大強化3カ年計画」にもとづく組織拡大を大いにすすめていきましょう。愛労連を大きく強くし、すべての労働者が人間らしく働くことができる「ルールある社会」、青年が希望のもてる社会をめざしましょう。

 

第3章 2013年のたたかいのかまえ

【1】たたかいの基本的なかまえ

2013年度のたたかいは、“労働組合の出番”ともいうべき年になります。

第一は、貧困問題に労働組合がどうむきあい立ちむかっていくかということです。若者の貧困問題は「日本社会崩壊の兆し」と指摘されています。貧困問題は、雇用・賃金の破壊、労働法制の規制緩和、社会保障のあいつぐ改悪によってもたらされました。貧困の克服は賃金と雇用の安定、安心できる社会保障制度の確立が不可欠です。これは労働組合本来の課題そのものであり、貧困が何によってもたらさせたのか、どう克服していくのか、役員はもちろん、職場でも積極的な議論をとおして、組織全体でのたたかいにしていきます。

第二は、大企業・多国籍企業の横暴とのたたかいです。海外進出・海外生産をつよめていますが、企業の社会的責任の追及と規制の強化を求めてたたかいます。法人税減税をはじめ多国籍企業・大企業は政府の手厚い〝保護〟を受けてやりたい放題をくり返しています。労働者の賃金切り下げや雇用破壊をやめさせること、内部留保を社会に還元させ、中小企業の経営を守り、地域経済の活性化、自然エネルギーへの転換など内需循環型経済に責任を発揮させるたたかいをすすめます。TPP参加など国をこわす自由貿易に反対し、国内の経済を守る運動に積極的に参加していきます。

第三は、新自由主義・構造改革路線との対決です。二大政党制の限界を明らかにし、国・地方の政治において、真に国民のくらしを守る政治への転換を訴えていきます。震災復興は、被災住民のくらしを基本にした復興、脱原発の世論をより高める運動、増税に反対するたたかいをこれまで以上にひろげていきます。憲法改悪の策動に反対し、沖縄県民と連帯したたかいなどを通して、日米安保条約・日米同盟をなくす方向と運動をつよめます。

第四は、組織の強化・拡大です。世論形成に絶対的な影響力をおよぼす愛労連を築くことを目標に、圧倒的未組織労働者の組織化をすすめます。中小企業分野、医療・福祉分野を軸に大規模な拡大運動を単産・地域ですすめていきます。組織強化は喫緊の課題です。今後5年を目途に青年がいきいきと参加できる組合活動と、これからの労働組合運動をになう役員の育成をめざして、労働組合運動の基礎からの学習を積み重ねていきます。

第五に、政治革新のたたかいです。来年4月名古屋市長選挙、7月参議院選挙と選挙戦がたたかわれます。また今年中にも衆議院解散総選挙があり得る情勢です。「政権交代」に期待した国民を裏切った民主党。談合をくり返す自公、私たちの未来を託すわけにはいきません。二大政党制の弊害が明らかになっています。愛労連は、賃下げ・人減らしなど労働者の要求を押しつぶしたのはだれか、労働者のくらしを守るのはだれかを明確にしていくとともに、一連の選挙戦で組合員が「主権者」として権利を行使するようよびかけていきます。「大阪維新の会」「減税名古屋」など新自由主義反動派ともいうべき動きをきびしく批判し、平和と民主主義、くらしを守る政治の実現をめざして奮闘するものです。

 

【2】要求実現のたたかいと共同の追求

1.賃金と雇用、働く権利を守るたたかい

(1)   賃金引き上げのたたかい、職場・地域から

 ① 「25歳単身者で年収300万円の賃金を」「賃金引き上げこそ貧困克服の近道」という立場から賃金闘争を積極的に推進します。十数年にわたって労働者の賃金が低下している状況のなかで「要求しても無理ではないか」という発想や「うちはめぐまれているから」など消極的な対応になる傾向があります。賃金闘争は財界全体と労働者全体のたたかいであり、個別企業の枠をこえて世論に訴えていきます。

 ② 要求を提出しなければ前進はありません。一昨年の「最低生計費(時間額換算で1285円)」を要求の基礎に、職場・地域での賃金闘争をすすめます。賃金の底上げ、企業内最低賃金の構築をめざします。職場の非正規労働者に視野を広げ、賃上げをめざします。最賃引き上げ要求では、職場や地域での宣伝署名行動を軸に、とりくみをひろげます。

 ③ 「思想攻撃としての賃金切り下げ攻撃」とどれだけたたかうことができるか、職場での議論によって賃上げに対する「あきらめ感」を克服していきます。そのため早い段階から役員を中心に学習をくり返すなど、とりくみをすすめます。

 ④ 均等待遇の実現をめざします。同一労働同一賃金の原則の確立をめざします。男女賃金格差、雇用形態別の賃金格差など、実態を明らかにしながら格差をなくす運動をすすめます。労働者を分断し、限りない長時間労働においこむ成果主義賃金に反対してたたかいます。

 ⑤ 国公労連がとりくむ「公務員賃下げ違憲訴訟」を支援し、関係単産と民間単産共同でのたたかいを強めます。政府がすすめる「公務員制度改革案」は、さまざまな問題点・制約があります。制度改善とともに、労働協約締結権の早期回復を求めます。

 ⑥ 来年から年金支給開始年齢の繰り延べがはじまります。定年から年金支給開始年齢までの間の所得保障が大きな問題になります。高齢者雇用のあり方について、公務・民間単産の実態をもとに要求を確立します。

 

(2)公契約法・条例化、最低賃金引き上げのたたかい

 ① 公契約法・条例制定を求める運動を引き続きすすめます。公務関連職場における官製ワーキングプアの解消、公共サービスの質の向上をめざします。また条例化にいたらなくても、全国的なひろがりをみせている「労働条項を含む総合評価方式」や新宿区の「労働環境チェックシート」などを参考に、「価格のみによる入札制度」の改善を求めます。公契約懇談をすすめます。

 ② 総務省自治行政局長の通達などを活用し、指定管理者制度や市場化テストの問題点などを明らかにし、これらも公契約の対象として、歯止めをかけるとりくみをすすめます。

 ③ 最低賃金引き上げのたたかいに全力をあげます。「800円・平均1000円」の早期実現と全国一律最賃制確立をめざします。経団連の圧力や円高・不況、震災を口実にした最賃抑制に反対し、賃上げと同様、震災復興・経済再生の基本に「最賃引き上げ」をすえてとりくみます。また中小企業支援策の実現を求めて共同をひろげていきます。

 ④ 第3次最賃デー中央行動(7月25日(水))に参加します。 

 

(3)非正規労働者の使い捨て反対、労働者の権利・雇用を守るたたかい

 ① 低賃金の改善とともに不安定雇用をなくす運動が焦眉の課題です。均等待遇の実現、骨抜き労働者派遣法の抜本改正、パート労働法の公務職場への適用など、非正規労働者の実態・組織調査をパ臨連と協力してとりくみ、賃金・労働条件を守る運動を職場・地域ですすめます。「個人請負」であっても実態からみて「労働者」であることが明らかな場合は、組合への結集と待遇改善のとりくみをすすめます。

 ② JAL不当解雇に対する東京地裁判決は「会社更生法のもとでの解雇は有効」という新たな論理で解雇を容認したものとなっていますが、高裁での勝利にむけて支援を強化します。

 ③ 社保庁職員の不当解雇撤回を求めて「社保庁不当解雇撤回闘争支援共闘会議」の活動を軸にとりくみをすすめます。

 ④ 「労働契約法」改正にむけた「有期労働契約」の中身は、ⅰ)臨時・一時的業務にすべきという「入口規制」がなく、ⅱ)上限を5年にのばす、ⅲ)6か月の空白期間の活用など、有期雇用を拡大させ「解雇権の濫用」を是正できない中身です。問題点を改善させ、不安定雇用をなくし、正規化を実現させるとりくみをすすめます。

 ⑤ 労働法制連絡会の活動を推進し、11月17日(土)に「権利討論集会」(仮称)を開催します。パ臨連・争議団などとも共同し、雇用や貧困の実態告発など労働法制をめぐる情勢討議、とりくみの強化にむけた意思統一の場をつくります。

 ⑥ 東日本大震災後は労働者だけでなく、中小事業者や農林水産業従事者にも新たな貧困問題がひろがっています。また原発など先がみえない不安やコミュニティの破壊による問題も顕著になっています。反貧困ネットワークではこれまでにつくられた「ネットワーク」をひろげるとともに「生活保護問題対策委員会」など専門的な力を強めていくことにしています。愛労連としてもこのとりくみに協力し、労働分野での役割を発揮していきます。また改正法施行から1年が経過した「外国人技能実習制度」について「廃止」も含めた抜本的な改善を求めるなど、日本ではたらく外国人労働者の権利を守るとりくみをおこないます。

 

(4)職場での権利確立のたたかい――不払い残業、労災のない職場をめざす

 ① 職場は人員が極端にへらされ、長時間・過密労働が日常化しています。とくに長時間労働を規制する労働時間短縮のたたかいは、労働者の「健康で文化的な生活」をいとなむうえで欠かせない課題です。労働時間短縮の要求確立にむけて職場での討議をすすめます。

 ② 不払い残業の一掃・年休取得率の向上など労働基準法を生かし、身近な要求の獲得に力を入れた運動をすすめます。不払い残業一掃や年休取得率向上が「新たな雇用を生みだす」ことをひろく宣伝し、経営者団体などへの要請にもとりくみます。

 ③ 労災、セクハラ・パワハラをなくすたたかいを職場からすすめます。また労災・過労死をめぐる裁判がたたかわれていますが、積極的な支援をすすめます。職場における労働安全衛生活動の強化をめざします。

 ④ 増加している過労死事件、労災事故不認定事件、不当解雇、差別事件などへの支援を強めます。また、愛知争議団と協力して、全国の争議支援・連携を強化して争議を勝利させ、職場・地域から労働争議をなくす運動をすすめます。

 ⑤ ディーセントワーク[23]の意義、「人間らしい働き方」を職場や地域でひろげ、毎月第3金曜日におこなわれている宣伝を職場内でも地域でも展開します。

 

(5)中小企業の支援、地域経済の活性化と雇用を守る

 ① 地域運動交流集会などをふまえ、労働組合が地域の課題で積極的に参加できるようにしていきます。すでにいくつかの地域労連や単産では経験があり、こうした活動を全県的にひろげていきます。地域労連で「地域調査」ができるようにしていきます。

 ② 住宅リフォーム助成制度、公契約条例制定は地元企業の支援、地域の活性化の目玉として全国的にも拡大しています。県内自治体が実施するよう要請していきます。その際そこに働く労働者の賃金・雇用の確保なども保障させていきます。

 ③ 地域経済の活性化や商店街の振興などで自治体当局への要請行動を、業者団体とも共同してとりくみをすすめます。

 ④ 名古屋市内の中小企業アンケート活動の経験を生かし、調査活動が県内の地域でも独自におこなえるように援助します。中小企業振興条例の制定を自治体にひろげていく運動を各団体と協力してすすめます。

 ⑤ 農林水産業の活性化をめざし、農民連や関係団体との共同で学習会や政策提言、行政機関への要請行動に積極的にとりくみます。このとりくみを発展させ、脱原発・自然エネルギーの拡大による雇用創出を求めていきます。

 

2.大企業の社会的責任を追及するたたかい

 ① 今年も秋(11月予定)に第29回目となるトヨタシンポジウム、2013年2月には第34回トヨタ総行動を計画します。

 ② 中小企業調査のとりくみの経験を生かして円高・震災による被害やトヨタの海外生産シフトが愛知の地域経済にどのような影響をあたえるのか、自動車産業に依存しない産業のあり方や地域経済の活性化などについて行政機関等への要請行動と、学習をくり返しすすめます。

 ③ 東海地震の震源地の真上にたつ浜岡原発は廃炉以外にありません。中部電力に対する責任追及をすすめるとともに、中部経済産業局などへの要請行動を強めます。

 ④ 三菱電機派遣切り裁判は高裁でたたかいが続いています。早朝宣伝や裁判傍聴など支援をすすめていきます。解雇を撤回させ、職場復帰と正規社員への登用をめざすたたかいを積極的に支援していきます。当面9月18日(火)に、早朝宣伝(8:00~・三の丸)と高裁裁判傍聴(11:00~・高裁前)が計画されています。

 ⑤ 電機産業の大リストラ計画があいついで発表されています。ソニーは全国で1万人の削減計画をうちあげていますが、愛知県内の稲沢工場・幸田工場への影響が懸念されています。ソニー・NECなどのリストラ強行に反対するとともに、東芝・日立・三菱などがすすめる「原発の海外輸出」に反対していきます。

 

3.社会保障改悪・消費税増税反対、教育の拡充、国民のくらしを守るたたかい

(1)社会保障拡充のたたかい

 ① 民主党政権が他党と強行した「社会保障と税の一体改革法」の阻止にむけて中央行動・国会議員要請や愛知社保協の宣伝行動に積極的にとりくみます。

 ② 単産がすすめている社会保障拡充のたたかいを積極的に支援していきます。年金者組合がとりくんでいる最低保障年金の確立・後期高齢者医療制度廃止のたたかい、医労連による医師・看護師増員のとりくみ、介護職員の待遇改善、福祉保育労・名古屋市職労などがすすめる保育を守る運動、障害者自立支援法廃止など、社会保障制度前進のたたかいを共同してとりくみます。

 ③ 愛知県が見直しを検討している福祉医療制度(子ども医療・障害者医療・母子家庭等医療・後期高齢者福祉医療)を守り拡充を求め、愛知社保協作成の署名を全組合員・家族を対象にとりくみます。

 ④ 10月18日(木)に開催される第14回あいち高齢者大会の成功をめざします。

 ⑤ 10月28日(日)に開催される「福祉予算けずるな!福祉を金儲けにするな!愛知県民集会」への参加をよびかけます。

 ⑥ 秋の自治体キャラバンを成功させます(10月23日~26日)。キャラバンにともない、地域で開催される事前学習会と、10月16日(火)に開催される団長・事務局長会議に参加をよびかけます。

 ⑦ マイナンバー制、子ども子育て新システム許すなのたたかいをすすめます。

 

(2)消費税増税、負担増に反対するたたかい

 ① 消費税増税は低所得者ほど負担が重く、まして被災者にまで被害がおよぶものです。国民的な世論で「やむを得ない」という声をはね返すため、職場・地域で学習会をおこない、消費税に頼らない道と、大企業・金持ちへの応分の負担をせまっていく運動とあわせて、消費税増税は逆に税収減になることをひろく訴えていきます。

 ② 消費税増税反対の署名や宣伝を強化します。宣伝においては名古屋中心街でのとりくみのほか、地域でおこなえるようにします。

 ③ 消費税をやめさせる会に結集し、増税阻止にむけたとりくみを強化します。

 

(3)子どもがいきいきと育つ教育の拡充と若年層の就職難を支援するとりくみ

 ① 貧困の連鎖により、子どもが危機的な状況におかれています。子どもの権利条約の視点にたった教育の改善をめざす運動にとりくみます。とくに愛高教・愛教労などがおこなう署名行動などに積極的にとりくみます。

 ② 中・高・大学生の就職は困難な状況にあり、毎年1000人にのぼる若年層の無業者がうまれています。関係単産と協力し、就職連絡会の活動をつよめ就職問題や教育問題など学習会やシンポジウムなどを開催し、情勢の共有と改善にむけてとりくみをすすめます。

 

4.地方自治拡充、道州制導入反対、公務の民営化に反対するたたかい

(1)地方自治拡充のたたかい

 ① 住民に身近な行政組織の構築は、東日本大震災でも問われました。愛知県大村知事の「中京都構想」、河村名古屋市長の「尾張名古屋共和国構想」に反対して、住民が安心してその地域でくらせる行政の確立をめざします。

 ② 「地域主権改革一括法」にもとづく自治体が条例化する際の基準とされる政省令案と都道府県等における条例化に対して基準を引き上げさせ、改善させるとりくみを強化します。国土交通省地方整備局の縮小・廃止、ハローワークの移管・廃止に反対してたたかいます。

 ③ 住民のくらしを守る公共サービスを拡充するために、民間委託・指定管理者制度・市場化テストの手法をやめさせ、公共サービスの質の維持・向上に努めるよう自治体に求めていきます。

 

(2)公務員制度「改悪」に反対のとりくみ

 ① 政府は公務員労働者の「労働基本権付与」として、人事院勧告制度を廃止し、労使交渉による賃金・労働条件の決定システムを導入しようとしています。しかし全面的な「労働基本権」ではなく「労働協約締結権」に限定され、憲法にもとづく労働基本権保障にはほど遠い内容です。民主的公務員制度の確立をめざします。

 ② 国・自治体によって対応が異なりますが、認証制度や登録制度では、労働組合の自主性を制約する内容もあります。問題を明らかにするなかで、完全な労働基本権回復をめざします。

 

5.TPP参加に反対するとりくみ

 ① 政府がすすめるTPP(環太平洋経済連携協定)参加阻止のために全力をあげます。TPPへの参加は農業のみならず、日本社会を根底から破壊し、取り返しのつかない事態をまねくものです。食健連や農民連等とも連携してとりくみをすすめるとともに、労働者自身の問題でもある点をひろく宣伝していきます。

 ② 「食料主権の確立」をめざし関係団体と共同して、TPP参加が何をもたらすかなどについて、シンポジウムや学習会などを積極的におこないます。

 ③ 愛知食農健やTPP参加反対の団体と共同をひろげ国や自治体への要請をすすめます。

 

6.「原発ゼロ」「再稼働反対」をめざすとりくみ

 ① 福島第一原発の「収束」や中電・浜岡原発の廃炉、「再稼働反対」の諸行動に積極的にとりくみます。愛知県にとってもっとも危険な原発は、福井県敦賀湾の原発群です。日本原子力発電所の美浜原発は1970年の運転開始から40年が経過しています。高速増殖炉・もんじゅは再三の事故をおこし、現在も運転を停止していますが、即時廃炉を求めてとりくみをすすめます。福井県でのとりくみを積極的に支援していきます。

 ② 復興計画について、政府はこれを機に道州制や「特区」など、大企業本位の「復興計画」を押しつけようとしていますが、これに反対し、被災住民の目線にたった復興計画を求めていきます。

 ③ 「3.11明日につながる大集会」実行委員会に参加する各団体との共同をひろげ、原発ゼロにむけたねばり強いとりくみをすすめていきます。

 

7.憲法改悪に反対し、平和と民主主義を守るたたかい

 ① あらゆる憲法改悪の策動を許さず、改悪のうごきに対して機敏な行動を配置してとりくみをすすめます。国民投票法を発動させないたたかいを展開します。憲法をめぐる情勢などの学習をすすめていきます。憲法改悪反対共同センターの地域版づくりと活性化にとりくみます。愛労連・憲法ニュースを発行し、単産・地域労連のとりくみを紹介し、激励していきます。

 ② 職場・地域での反核・平和のとりくみをいっそう強化します。原水爆禁止世界大会、3.1ビキニデー、平和行進への参加を強めます。普天間基地の撤去を求める沖縄の運動に連帯し、オスプレイの配備・飛行訓練反対、在日米軍基地撤去・拡充反対の運動にとりくみます。安保破棄愛知県実行委員会とともに、安保条約(廃棄)について学習と宣伝をすすめ、中立・平和の日本を築く運動をすすめます。

 ③ 組織人員数を目標に核兵器廃絶の新署名の集約にとりくみます。「被爆者が生きている間に核兵器の廃絶を」という強い思いをもって、新署名の活動をすすめます。原水爆禁止世界大会や国連総会などの節目に集約していきます。

 ④ 2012年原水爆禁止世界大会(広島)への参加をよびかけます。

  日程  世界大会国際会議                       8月2日(木)~4日(土)
      世界大会(広島)                          8月4日(土)~6日(月)

 ⑤ 空中給油輸送機の配備など小牧基地の機能強化がすすんでいます。名古屋港周辺で予定されている「航空宇宙ショー」でブルーインパルスの展示飛行が計画されています。安保破棄実行委員会・平和委員会や港地区労・尾中地区労連などとも協力して反対運動をすすめます。10月28日(日)(=変更の可能性あり)に開催される小牧平和県民集会への参加をよびかけます。自衛艦などの名古屋港入港、武器を携行しての行軍訓練、平和をおびやかす動きには安保破棄実行委員会・平和委員会などとも連携して、関係自治体などに要請していきます。

 ⑥ 春の自治体キャラバンで、自治体が職場体験の一環として「自衛隊への体験入隊」がひろがっていることが判明しました。豊川市では職員を一定期間派遣していることも明らかになりました。これをやめさせるよう関係組合とも協議して県や実施自治体に抗議と要請をおこないます。

 ⑦ 国民の多様な意見や要求を圧殺する衆議院の議員定数削減反対のとりくみを強めます。

 ⑧ 11月3日の県民集会(記念講演:大江健三郎氏)などに積極的な参加をよびかけます。

 

8.政治革新、名古屋市長選挙と参議院選挙での勝利をめざす

(1)名古屋市長選挙

 ① 来年4月に予定されている名古屋市長選挙は、地域経済・雇用を守る、若者の貧困問題、福祉など200万名古屋市民のくらしにとどまらず、愛知県民のくらしにもかかわる重要な選挙戦になります。河村市長の動向は不透明な部分もあります。いずれにしてもこれからの名古屋市政を左右するたたかいとなります。

 ② 愛労連は「革新市政の会」に結集し革新市政の実現に全力をあげます。そのために、積極的に政策づくり、団体・地域代表者会議に単産・地域労連(地域革新市政の会)が参加するようよびかけていきます。

 ③ 市政の会がとりくむ市民大集会(仮称)などに積極的に参加していきます。

 

(2)参議院選挙および総選挙に対する愛労連の対応

 ① 国政のあり方は、私たちのくらしに直接影響をあたえます。来年7月には参議院選挙が予定され、また衆議院の解散が浮上しており、総選挙が年内にも実施される可能性があります。

 ② 国政選挙は党派選挙です。愛労連は要求実現の政治をめざす立場から地域での宣伝、職場での政治討議が活発におこなえるよう全力をあげます。

 ③ 組合員の政治活動の自由を保障します。

 

【3】組織強化・拡大の飛躍をめざして

1.組織拡大について

 ① 県内の労働者は圧倒的に未組織です。ここに焦点をあてた組織拡大計画をたててすすめます。上部団体に所属しない組合との共同・加入の働きかけを愛労連・単産・地域で具体化し、加入訴えのとりくみをすすめます。すべての地域で「組織拡大総がかり作戦」にとりくみます。中立組合や事業所訪問などをおこない、愛労連・地域労連への加盟をよびかけていきます。単産・地域労連の組織担当者の会議を重ね、以下のとりくみを具体化します。

ⅰ)中立組合への加入よびかけ・訪問活動をすべての単産・地域労連ですすめます。

ⅱ)業界訪問・事業所訪問などを計画し組織化への足がかりを把握します。

ⅲ)労使共同セミナー(建交労)や円卓会議(全印総連)などの経験に学び、中小零細企業の経営安定化と組織化を追求するとりくみを具体化します。

 ② 「組織拡大を愛労連運動の基本に」することを追求し、すべての単産が大会を純増で迎えられるようにします。

 ③ 職場の未加入者を対象に加入をすすめます。直雇用、間接雇用にかぎらず、職場で働く労働者全員が愛労連の組合員対象者です。そのため職場ごとに全労働者の雇用形態と数の把握、新入職員数を把握し職場地図を作成します。

 ④ 引き続き、非正規労働者への加入のよびかけを重視します。

 ⑤ 全組合員が参加する組織拡大を追求します。単産のリーフレットや愛労連の権利手帳を組合員の手から未加入の労働者に広げる運動を展開します。各組織で「組織拡大推進ニュース」を発行することが大切です。メールやブログなども活用して、「組合員が増やす組織拡大」を促進します。

 ⑥ ティッシュなど宣伝物を活用します。愛労連ティッシュ(千個3000円)をつくります。各単産・地域労連宣伝物への愛労連広告(クレジット)補助をおこないます。

 ⑦ 地域での組織拡大をすすめます。地域労連の事務所や民主団体に「権利手帳」をおきます。自治体や公共施設にも権利手帳をおいてもらうよう要請します。

 ⑧ 組織拡大月間を設置します。秋の組織拡大月間(10~12月)、春の組織拡大月間(4~6月)を設定します。秋の月間では職場のすべての未加入、非正規労働者の組織化にむけたとりくみをおこないます。

 ⑨ 12年秋の組織拡大月間にむけた「組織拡大決起集会」をおこないます。

   日時  9月27日(木)18:30~
   場所  労働会館東館ホール

 ⑩ 単産・地域労連の組織(増減数)を毎月集約していきます。

 

2.職場・地域組織の強化について

 ① 全組合員参加の運動を追求します。いま職場組織は人員が削減され、残業が慢性化するなどゆとりのない働かされ方のなかで組合活動が困難になっています。愛労連「職場活動活性化交流会」を開催し議論をすすめ、職場における機関会議の定着やニュースの発行、世話役活動などの先進的な経験を把握し、ひろげていくようにします。

 ② 単産・地域労連がさまざまな課題を地域で推進するうえで、単産・地域労連が連携を強めて地域労連の強化・拡大に単産がどういう役割を果たすのかなど、要求運動と組織の強化をめざし、単産書記長会議のほか単産・地域労連代表者会議を年3回程度開催します。

 ③ 名北労連の経験に学び、地域労連として継続的な労働講座・労働学校がとりくめるよう援助していきます。

 

3.役員の育成と組合員教育について

 ① これからの労働組合運動をになう役員の養成について、来春をメドに第2回「特別セミナー」(2泊3日程度)を開催します。前回と同様、単産・地域からの推薦をうけて参加者を募集します。規模を50人程度とします。

 ② 役員の養成は、すべての単産・地域労連にあてはまるさしせまった課題です。四役会議でも特別に時間をとり「第2次組織拡大強化3カ年計画」にもとづくとりくみをすすめていきます。

 

4.地域労連の活動援助と活性化のために

 ① 地域での労働組合の役割を明確にしていく活動を重視します。地域に責任を負うのは地域労連だけではなく、単産も積極的に地域にでていく運動ができるようにします。

 ② 地域労連の役員配置など、地域労連はさまざまな課題をかかえています。単産・地域労連代表者会議等で問題を明らかにし、解決にむけて引き続き協議をすすめます。

 ③ 秋の地域総行動について11月15日(木)とし、内容等については9月2日(日)の第1回評議員会で具体的な提起をします。秋の栄総行動に積極的な参加をよびかけます。

 ④ 地域運動交流集会を秋に開催します。

 

5.補助組織・部会・委員会の活動

(1)女性協議会

 ① 働く女性の権利、女性が働き続けるための環境整備や男女平等をめざすとりくみを強化します。各単産での女性部活動の強化のために、母性保護の学習会などにとりくみます。

 ② 愛労連女性協9条の会第6回総会(12月1日(土)、労働会館)を成功させます。街頭宣伝やニュースの発行などをおこない、憲法9条の大切さをひろく世論に訴えるとりくみをすすめます。

 ③ 国際交流女性のつどい(8月12日(日)ウィルあいち)、愛知母親大会(9月30日(日)、稲沢)、はたらく女性の愛知県集会(11月18日(日)、労働会館東館ホール)、3.8国際女性デー愛知県集会など、県下の女性団体との共同で女性の地位向上の運動をひろげます。日本母親大会(8月25(土)~26日(日)・新潟)への参加のよびかけをおこないます。

 ④ 男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法を活用し、働く女性の声を職場・地域社会・自治体などへ反映させていきます。

 ⑤ 役員の担い手や選出が困難になっていますが、女性労働者の要求をすくいあげる「女性協議会」の存在意義について語り、とりくみへの参加をこれまで以上に積極的によびかけます。

 ⑥ 引き続き全労連女性部に常任委員を送り、全国やブロックのとりくみへの参加をひろげます。

 

(2)   青年協議会

 ① 役員の選出について、引き続き単産と協議し、全単産からの幹事の派遣を追求するため、青年の実態調査にとりくみます。 

 ② 幹事・役員の交流を深めるとともに、青年集会などのとりくみでつながった他団体とも協力して要求の掘りおこしや学習をすすめます。

 ③ 最賃生活体験・ハンガーストライキ・最低生計費調査など最賃の大幅引き上げにむけた署名や宣伝にとりくみます。

 ④ 原水爆禁止世界大会にむけての宣伝など、平和のとりくみをすすめます。

 ⑤ 9月21(金)~23日(日)におこなう第21回ブロックサマーセミナーin石川の成功のために、実行委員会に青年を派遣し、県内の参加者をひろげます。またサマーセミナーなどでつながる県外の青年との交流を大切に、全労連青年部のとりくみにも積極的に参加します。

 ⑥ 代表委員会や定期総会など、単産・地域から青年が多く集まる場所で、個々の思いを聞きとり、次年度の運営にいかすアンケートをおこないます。

 

(3)   パート・臨時労組連絡会

  ① 「改訂」が議論されているパートタイム労働法の抜本改正を求め、学習会の開催、法律や指針が職場で実施されるようにします。権利討論集会の成功にむけて協力します。

 ② 非正規労働者権利向上をめざし組織実態調査にとりくみます。

 ③ 賃金・労働条件の改善をめざし、春闘では職場の未組織労働者にも働きかけ、要求の掘り起こしをおこない、すべての職場での要求提出をめざします。

 ④ 非正規労働者の運動をリードし、最低賃金生活体験や引き上げをめざすハンガーストライキ・労働局賃金課交渉・宣伝行動などに参加します。「時間給1000円以上」の実現と全国一律最賃制の確立をめざし署名にもとりくみます。

 ⑤ 要求実現の基礎は仲間を増やすことです。職場のなかで労働組合を知る会などをひらき、加入への声かけも積極的におこないます。パート・臨時労組連絡会に参加する組織・幹事を増やせるよう、オルグにもとりくみます。

 ⑥ 第17回パート・臨時などの元気の出る集会(11月予定)」や第9回総会(来年春予定)を成功させます。

 ⑦ 同一労働・同一賃金など、非正規労働者の均等待遇実現をめざし、ディーセントワークの確立をめざして、宣伝に積極的に参加します。

 

(4)民間部会

 ① 民間企業で働く者の労働と生活実態に根ざした要求をもとに共同をひろげ、要求と組織の前進をはかります。

 ② 春と秋に未組織労働者むけ「労働相談」宣伝行動にとりくみます。具体的な内容については幹事会で決めていきますが、各節で地域を決め2日間の日程でおこないます。大量リストラが予定されている電機大手企業工場周辺での宣伝行動をとりくみます。

 ③ 最低賃金制度の改善と中小企業の経営安定をめざし、愛知中小企業家同友会との共同行動を追求していきます。

 

(5)交運部会                      

 ① 愛労連交通運輸部会は「交通運輸労働者の労働と生活実態に根ざした要求をもとに、広範な国民・労組・民主団体との共同をひろげ、労働者・国民の立場にたった交通運輸のあり方をめざし」た活動をすすめます。

 ② 今年度は「災害に強い交通体系、緊急時の交通網の確保」「超長時間労働の是正にむけ『自動車運転手のための改善基準告示』の改正」を重視したとりくみを展開します。

 ③ 具体的行動として、春闘時の「自動車デモ」の実施、政策闘争としての「行政機関への交通政策要求」「JAL不当解雇事件」への支援行動、交運共闘やAICHI陸海空港湾労組連絡会など交通大産別組織との共同のとりくみを重視していきます。

 

6.文化・教育・宣伝活動のとりくみ

 ① 勤通大学習交流会(スクーリング)の成功にむけて参加をよびかけていきます。

   日時  9月1日(土)15:00~
   場所  労働会館本館
   講演  松原 徹(労働組合日本プロ野球選手会事務局長)

 ② 機関紙の定期発行を堅持するため、引き続き通信員制度をおき、年に3回程度の会議を持ち、紙面の充実およびホームページの更新に努めます。

 ③ ブロックサマーセミナー

   日時  9月21日(金)~23日(日)
   場所  石川県

 ④ 第4回愛労連セミナーを開催します。勤労者通信大学の受講等を地域や職場で推進します。愛知労働学校、勤労者通信大学への積極的な参加をよびかけます。労働者教育協会が主催する全国学習交流集会への参加をよびかけます。

   日時  10月6日(土)~8日(月・祝)
   場所  岡山・倉敷芸文館

 ⑤ 文化・スポーツ行事として、青年協議会などと協力し、スポーツ交流企画にとりくみます。

 

7.共済活動の強化めざして

 ① 組織拡大と結合した加入者拡大をすすめます。同時に、賃金ダウンや税や社会保障の保険料など負担増が相次ぐもとで、組合員の生活改善に共済を活用するよう愛知共済会・単産共済ともに呼びかけを強めます。

 ② 全労連共済会の方針に基づいて、他の自主共済を守る運動と連帯し自主共済活動に対する規制とたたかいます。

 ③ 9月9日(日)に開催される愛知共済会ハゼ釣り大会、10月27日(土)に開催される職場担当者交流会を成功させます。

 ④ 愛労連として愛知共済会・単産共済の加入実態調査を実施します。

 ⑤ 愛労連として共済担当者学習交流会を開催します。 

 


[1] 2010・11年に愛労連がとりくんだ生計費調査。調査結果は25歳・単身者で年額267万8760円、月額で22万3230円、時間額換算で1285円(すべて税込み)という結果になった。「最低生計費」とは、健康で、社会的な生活が営める、人前に出ても恥ずかしくない生活をおくるために必要な生計費のこと。愛労連は、2012年春闘では調査結果をもとに「25歳単身者で年収300万円の賃金を」というスローガンを打ち立てた。現実からみると高い水準の要求であり、さらに議論を深めていく必要がある。

[2] 政府は労働基本権制約の代償である「人事院勧告制度による賃金決定」を無視して「復興財源」「増税のために身を切る」という口実で2年間にわたって国家公務員の賃金を平均で7.8%を削減した。「身を切る」というならまず政党助成金を廃止すべきだ。

[3] 「下請代金等支払い遅延防止法(下請代金法)」、「下請中小企業振興法(下請振興法)」。前者は「親事業者による優越的地位の濫用」を取り締まる法。違反を告発したことによる取引停止の危険性、罰則・賠償金が安いため法違反が常態化している。後者は下請中小企業の経営基盤の強化を効率的に促進する法。支援法の性格を有するものであるが、罰則規定はない。

[4] たとえば厚生年金・健康保険料の労使負担割合の改善、健康保険窓口負担の軽減、雇用保険における失業給付「給付期間の延長」「基礎給付日額の引き上げ」など、現役労働者が改善を要求していく必要がある。パート労働法の公務職場への適用や育児休業の取得率引き上げ、非正規労働者への適用拡大などが考えられる。

[5] 1995年を100とした場合、資本金10億円以上の企業の経常利益は06年で236に2.3倍に(09年で129)。同様に、賃金をみると97年の104をピークに年々減少。2010年には94まで下がっている。企業収益の一部が労働者に還元されなくなったことを意味している。大企業の内部留保(貯め込み)と、一方での賃金低・非正規労働者・低賃金労働者の急増は表裏一体である。

[6] 愛労連がトヨタ総行動時におこなった中小企業アンケートでは、東日本大震災・タイ洪水・円高などを口実に単価引き下げの要請があったことが明らかになった。10~15%は日常的で、なかには30%以上カットの要請をされた企業もあった。トヨタ自動車の内部留保13兆円は労働者の賃金抑制と下請への単価切り下げによるものであるといえる。

[7]大阪市では「総合評価方式」によって時給1000円を支給する事業者が優先的に落札されるしくみに変わったため、大阪市営地下鉄の清掃労働者は3~4万円の賃上げとなった。これまで低価格での落札のため、フルに働いても生活保護を受給せざるを得なかったが、時給1000円になったことで職場はいきいきとなり、仕事もていねいになったと報道されている。時給1000円以上への引き上げがいかに重要であるかを示している。

 

[8] 労働時間短縮のたたかいは雇用拡大のたたかいでもある。労働総研は「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」という政策提言のなかで、①不払い残業(サービス残業)の根絶で310.9万人、年次有給休暇の完全取得と週休2日制完全実施で154.2万人の雇用創出ができる、また年総労働時間を1800時間にすることによってあらたに369.5万人の雇用創出が可能と試算している。=詳細は「労働クォータリー2012年春季号」を参照。

[9] JALの乗員の解雇裁判に対する判決は29日、客室乗務員解雇裁判の判決は30日。判決の内容はいずれもこれまで確立してきた「整理解雇4要件」を否定し、「会社更生法」のもとでの解雇は認められるというもの。これまでの判決をくつがえし、大企業によるリストラ、大量解雇を容認するものである。原告はただちに控訴し、現在東京高裁でのたたかいになっている。

[10] TPP(Trans-Pacific-Partnership)。2006年に4か国でスタートしたが、2009年にアメリカが参加表明して以降「投資」や「労働」などの分野が加えられ、現在24部会で作業がすすめられている。 (参考) FTA(Free Trade Agreement=自由貿易協定)。二国間協定が多いが、NAFTA(北米自由貿易協定)など多国間協定もある。日本・アメリカはFTAを締結していないが、TPPはさらに「自由度が高い=例外を認めない」とされていることで、FTA以上に危険性が高いとされている。

[11] 「傾斜関税(タリフエスカレーション)によって、食品加工業は守られている。たとえば、生鮮トマト3%がトマト・ピューレやペーストになると16%に、温州みかん17%がオレンジジュースになると29.8%という具合になっている。もしこれが廃止されれば、わざわざ原料を仕入れず、加工品を輸入した方が手間ははぶける。しかしこれによって、国内の加工業者は廃業に追いこまれ、就業機会を失うことになる。

[12]中電が「廃棄物処理技術は確立している」とのべた根拠は「核燃料サイクル開発機構」報告書「地層処分研究開発第2次とりまとめ」(00年)。「10万年以上にわたって安定した地盤は日本の至る所にある」とのべている。いわば身内の研究機関の発表にすぎない。細野原発事故担当相は「核不拡散」の立場から海外に輸出した原発からでる使用済み核燃料を日本が引き取るとまで発言している(6/24「サンデーモーニング」金子勝氏の発言)。使用済み核燃料からプルトニウムを抽出・再利用するという「プルサーマル計画」は、諸外国は撤退しているにもかかわらず日本政府はあきらめていない。現在青森県六ヶ所村の「核燃料サイクル基地」に「MOX燃料工場」を建設中である。

[13] 大手民間労働組合が先行してすすめてきた再編に、旧総評の主力組合であった日教組・自治労なども89年に合流し「連合」を結成。しかし同年、この右翼再編に反対し労働組合の原点(①資本からの独立、②政党からの独立、③共通する要求での行動の統一)にもとづいて「全労連」が結成された。

[14] ソニーやNEC、三菱電機など家電メーカーは、80年代・90年代を通してテレビ・パソコンなどでトップのシェアを占めていたが、韓国サムスンや台湾企業に追い抜かれ、生産も国内からの撤退がすすんでいる。テレビやパソコンなど「単品」販売から手を引き、政府の成長戦略にそって、「原発・水・鉄道」などを日立・東芝・三菱が海外で建設から管理まで請け負う、また国内ではメガソーラーを活用した発電(東芝による宮城南相馬市での建設計画)、スマートシティなど〝エコ〟住宅と都市そのものを建設していく戦略を打ちだしている。原発は推進しながら、新エネルギーでもばく大な利益を得ようとしている。

[15] その基本的な考え方は「自助・共助・公助の最適バランスに留意し、自立を家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援していく」として、社会保障を憲法25条による生存権保障ではなく、自己責任・相互の助け合いに変更するものとなっている。社会保障すべての分野にわたって「見直し」や「適正化」するとして全面的な改悪をすすめていく内容となっている。

[16] 政府は昨年秋に、法人税率を30%から25.5%に引き下げる改定をおこなった。当面は減税額にほぼ見合いの「復興特別法人税」が課せられている。しかしこれも「3年間限り」で2015年には実質減税となる。2015年は消費税率を10%にしようとしている年で、ちょうど法人税引き下げと消費税引き上げが一致する。

[17] 政府の「大飯原発再稼働」に呼応し、日本原燃は6月18日、青森県六ヶ所村の「再処理工場」で高レベル放射性廃液のガラス固化試験を再開。経産省・原子力安全・保安委は21日、高速増殖炉「もんじゅ」について、10年8月の事故復旧作業を受け、新しい機器の正常な作動を確認したと発表。日本原子力研究開発機構は今年3月に試験計画の作成契約を東芝・三菱重工業と約1億円で発注していた(中日6/30)。

[18] 米軍の新型輸送機。2月にはモロッコで、6月にはフロリダで事故をおこし、これまでに30人以上のパイロットが死んでいる。オスプレイとは鷹の仲間・ミサゴのこと。上空で停止し急降下で獲物をねらう猛禽類。オスプレイの飛行は、日本の航空法に違反(エンジン停止の際、安全に着陸するための自動回転=オートローテーション能力がないこと)する。ところが日米地位協定で、航空法の特例法によって米軍機は航空法第11条の適用を除外されている。このためオスプレイは自動回転能力が欠けているのに飛行が禁止されていない。これを普天間基地に配備するのはもっとも危険で、さらに本土(九州・四国・本州)上空で飛行訓練するなどもってのほか。

[19]相手国政府が民間企業を国営化したり、資産を強制的に「接収」したり「収用」することに対して、投資家が損失した補償を政府に求めることができるというしくみ。最近では「間接収用」という概念を持ちこんで「収用・接収のおそれがある」と判断した場合にも補償を求めることができるというもの。被害を受けた投資家・ファンドは、世界銀行傘下の「ICSID(国際投資紛争センター)」に訴える。国際仲裁委員会と称する場で審議がおこなわれるが、すべて非公開、さらに判定については上訴できないというとんでもない制度である。

[20] 従来の〝政治的配分〟による支持調達がないまま、問題の単純化と二項対立の〝敵〟の設定をもって有権者の感情に訴えかけ、新自由主義の犠牲となる層からも支持を調達する点に特徴がある。メディアに映る政権担当者の「キャラクター」や政権担当者が設定した〝敵〟に対する「反感」といった合理性に欠けた情緒の要素に支配された場合が多く、「熟議」ないし「討議」という要素がみられない。その事例として小泉元首相、石原都知事、橋下大阪市長、河村名古屋市長などがあげられる。参考=「自治体ポピュリズムを問う」(榊原秀訓・自治体研究社)

[21]ウィスコンシン州・ウォーカー知事のおもな政策は、・公立学校や自治体への補助金削減、教育民営化と選択制の拡大、・低所得者向け医療保険の削減、・公務員労働者の団体交渉権の制限、・建設労働者の賃金保障の撤廃、・少年の労働時間規制の撤廃と延長、・自治体事業への企業参加要件の緩和などがあげられている(「経済」12年7月号参照)。

[22]復興構想会議の「提言」 (11年6月25日)は「復興が苦しいのもまた事実だ。耐え忍んでこそと思うものの、つい『公助』や『共助』に頼りがちの気持ちが生じる。しかし、恃(たの)むところは自分自身との『自助』の精神にたって、敢然として復興への道を歩むなかで『希望』の光が見えてくる」などとしている。

 

[23] 働きがいのある人間らしい仕事1999年国際労働機関(ILO)総会において21世紀のILOの目標として提案され支持された。decentは「きちんとした」「まともな」「適正な」といった意味がある。直接的な労働条件としては労働時間(1日あたり1週あたり)、賃金・休日の日数・労働の内容などが人間の尊厳と健康を損なうものでなく、人間らしい生活を持続的に営めることが求められる。さらに、それを保障する労働条件として、結社の自由団体交渉権失業保険・十分な雇用・雇用差別の廃止・最低賃金などが確保されている(つまり、労働者保護が十分である)ことが求められる。後半の労働条件は前半の直接的な労働条件を改善・維持するために必要な条件である。この両方の労働条件が確保された場合ディーセント・ワークが実現されたといえる。

 

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