最低賃金の引き上げ等に関する要請書

2012年4月20日

愛知労働局長
新宅 友穂 様

愛知県労働組合総連合
議 長  榑松 佐一

 

日頃から労働行政の発展に尽力されていることに敬意を表します。

さて、私たちは全国一律最低賃金制の確立・地域最低賃金の引き上げを求めて、とりくみをすすめています。

愛知の最低賃金は昨年5円引き上げられ、750円になりました。しかし、この時給額は私たちが、実際に生活していくうえで必要な「生計費」(25歳単身男性/時給1285円、月額223,230円、年額2,678,760円)からみればほど遠い水準です。この「生計費」は、実際に働いている人の生活実態および「手持ち材」を調査、マーケットバスケット方式によって得た額です。したがってこの「生計費」は、① 人間の生理的・生物的存在を保障する「生活の質」、②人間の社会的存在を保障する「生活の質」を維持するための「最低生計費」です。全国的に見ても時間給1200円から1300円なければ最低限度の生活を送ることができないことは、私たちの仲間が各地で調査した結果からも明らかになりました。

ところが実際には、厚労省も認めるように「働く者のうち1割以上が生活保護水準以下」で、年収200万円以下の労働者は1100万人と労働者の5人に1人がワーキングプアです。貧困率は16%、非正規労働者は35.2%にのぼります。労働者全体の賃金が長期に下落していることが今日の日本経済を深刻なデフレに陥れ、不況からの脱出を困難にしています。この原因はひとえに歴代政府・財界にあります。大企業は「国際競争力」の名のもとに徹底したコスト削減のしわ寄せを労働者・下請中小零細企業に押しつけてきました。また歴代政府は下請企業等へのコスト削減に下請二法など法の遵守さえいわず、大企業の横暴を放置してきました。野田内閣にいたってはこのうえさらに「消費税増税」を強行しようとしています。

いま、日本経済を立て直すには、労働者の賃上げ、下請中小企業の経営を安定させ、内需拡大をはかる以外にありません。大企業・金融資本など一部の富裕層だけが利益を吸い上げる経済構造を変え、最低賃金を大幅に引き上げて労働者のふところをあたためることで、デフレからの脱却や被災地の復興をめざすのが、一番の早道です。政府・行政が方向を明確にし、今期の最低賃金の大幅引き上げをめざすよう、私たちは、以上の立場から下記の項目について、貴職に強く要求するものです。

 

◇要請項目◇

  1. 地域最低賃金を時間額1000円以上に引き上げ、「時間額1000円以上、日額7500円以上、月額16万円以上」の全国一律最低賃金制の実現を図ること。
  2. 最低賃金審議会や専門部会を公開し、非正規労働者、あるいは最低賃金生活体験者自身が意見陳述をおこなう機会を設けること。
  3. 最低賃金に関わる監督官を増員し、監督行政の強化をはかり、違反企業に対する罰則を強化すること。
  4. 上記3項目実現のために、中小企業予算を増やし、中小企業の経営支援策を拡充すること。中小企業への代金の買い叩きや支払い遅延等をなくすため、中小企業憲章をふまえた下請二法、独占禁止法、中小企業基本法の改正と公契約法(公共事業における適正な報酬確保のための法)を制定すること。など、経産局と連携しての協力を中央省庁へ働きかけていただくこと。

以上

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