東日本大震災と福島第一原発事故の発生から、1年が過ぎました。この間、世界ではチュニジアに端を発した人民の蜂起による中東諸国の民主化が起こり、この流れは先進資本主義諸国の格差と貧困に苦しむ人々にも大きな影響を及ぼし、「占拠(オキュパイ)」を合い言葉にした運動が世界に広がりました。
日本では、震災と福島第一原発事故によって、原子力ムラと呼ばれる原子力開発・原発を軸とした政・官・財・学の癒着が国民に知れわたり、脱原発を訴える集会やデモが全国に広がりました。99%の多数者の声と行動が、社会、政治を変えるにつながることを今日の行動で示しましょう。
東北大震災の被害に加え、EUの債務危機と急激な円高が起こり、さらにタイでは大洪水が発生しました。東北をはじめ失業がひろがり、震災などを口実にした派遣切り、解雇などが起きています。
派遣村の出現で社会問題化した格差と貧困の問題、非正規労働者など低賃金・不安定雇用を解消する課題は、今も切実な課題となっています。然るに、政権交代によって、労働者・国民が期待した労働者派遣法の改正が、野田内閣によって逆行させられました。
野田政権は、労働者派遣法改正案をわずか4時間の審議で、3月28日に参院本会議で強行採決しました。労働者派遣法の抜本的な改正という見地からは問題を残しながらも、製造業への派遣の原則禁止、登録型派遣の禁止などが盛り込まれた原案を、製造業への派遣と登録型派遣を「原則禁止」する項目を削除し、違法派遣があった場合に労働者に派遣先企業が直接雇用を申し込んだとみなす「みなし雇用」規定を3年先送りするなど、到底、労働者保護とはいえぬ内容に改悪しました。政府に抗議するとともに、引き続き労働者派遣法の改正を強く求めます。
3月29日・30日にJAL乗務員・客室乗務員訴訟に対し、東京地裁は整理解雇4要件を真っ向から否定する不当判決を下しました。私たちはこの判決に抗議するとともに、断じて許さないことをここに明らかにします。
野田内閣は人事院勧告を無視して、公務員の賃金切り下げを強行しました。これは政府への批判をかわし、意図的に公務員に振り向けようとする流れのもとで行われました。
被災地での公務員の働きは目を見張るものがあることは、広く知られながら、ことさらに国民との対立をあおっています。今日の赤字財政の原因は、長きにわたる自民党政権の下での政治にあることは自明です。私たちは、このような公務員へのいわれなき批判を払拭し、国全体の賃金水準を根底で支える指標となる公務員賃金の不当な切り下げに断固として反対です。
さらに、野田内閣は社会保障と税の一体改革を唱え、消費税率の引き上げを画策しています。国民の過半数が消費税率の引き上げに反対し、財政支出における無駄をなくすことを求めています。私たちは環境に多大な影響を及ぼす不要不急の大規模公共事業の見直し、軍事費の削減などを求めると同時に、消費税率の引き上げに反対します。
雇用を安定させ、人間らしく働き、生きるために、民間・公務員、正規・非正規の違いをこえて、働くものは連帯し、声をあげ行動することをよびかけます。本日のスローガンを確認します。
以上、本日の集会において決議します。
2012年3月31日
雇用とくらし・いのちを守れ 3・31労働者決起集会