「まるで派遣村が無かったかのようだ」。昨年末、骨抜きにされた労働者派遣法「改正」案が衆院を通過した日、反貧困ネットの役員がこう言いました。「派遣切り」が行われてわずか2年しかたっていません。
昨年3月11日、東日本大震災が発生し、福島第一原発事故が世界中に放射能をまき散らしました。メルトダウンした核燃料の実情すら把握できていないにも関わらず、政府は原発事故の「収束」を宣言しました。テレビで映像が流されなくなり、過去のことのようにされようとしています。わずか1年もたっていないというのに。
名古屋に続いて大阪で知事・市長のダブル選挙が行われました。支持を得た両首長に共通するのはこれまでの政治を「ぶっ壊す」というメッセージでした。この根底には国民を裏切り続けてきた政治への不信と生活の不安があります。しかし方や「南京大虐殺は嘘だ」と公言し、方や「労働組合を追い出す」と言う両者には民主主義を否定する共通点があります。
「貧困競争に巻き込まれている」。新聞労連の東海林委員長は今の状況をこう言っています。この10数年にわずか1%の富裕層が利益を独り占めするようになり、世界中に格差と貧困がひろがりました。正規と非正規、公務と民間、農民と労働者を貧困競争に巻き込み、対立と不満を利用して政治権力をかすめ取っています。
東海地方にも大きな震災が予想され、原発の危険は全国どこにもあります。派遣切り労働者の怒り、震災で家族を失った悲しみ、放射能の苦しみなど、「当事者」の心に寄り添い支援を続けましょう。民主主義を否定するものに対し、99%の「絆」をつよめ、「まともな働き方」「まともな社会保障」の実現をめざして奮闘しましょう。
2012年1月1日
愛知県労働組合総連合
議 長 榑松 佐一